上 下
38 / 41
二章

三十八話

しおりを挟む
「心湊! これ買っていいか!?」

「好きにして」

 なんで一々俺に聞くんだよ。勝手に買えばいいだろ。人気の無い店の中をアイスを持った毬藻が駆け回る。

 客観的に見たら妖怪が徘徊してるようにしか見えないわ。夜中に遭遇したら絶叫物だぞ。

「········妖怪毬藻小僧」

「あははっ。天使ちゃんセンスあるね」

 ──ゴソッ

 笑ってる暇があるならあいつを止めてこい。てかちゃっかりコンドーム入れんな。買う時気まずいの俺だぞ。カゴの中を指さしながら睨みつける。

「本当に"今"必要なんだろうな?」

 恥ずかしいから俺に買わせるとかだったらぶっ叩くぞ。

「え、天使ちゃん知らないの? 男同士でもゴムは必要なんだよ?」

「そのくらい知ってるわボケ」

 生々しい話すんな気持ち悪い。

「もしかして天使ちゃんって処女じゃ無いの?」

「·············知るか。それより差し入れ何が良い」

 お前と猥談する為に来たわけじゃないんだよ。毬藻を置いて食料品売り場を見る。

「んー、天使ちゃんの手作りだったら皆喜ぶんじゃ無いかな?」

「そんな面倒臭いことする訳ないだろ」

 お腹空いたなら食堂行けよ。

「今度俺だけに作ってくれたら嬉しいな」

「無理」

 なんで俺が作らないといけないんだ。自炊しろ自炊。寮長にカゴを渡して適当にお菓子を放り込んでいく。

「あ、心湊! これも買ってくれ!」

「カゴ入れといて」

「おう!」

 はぁ······なんでこんなに大声出すんだ。嫌がらせなのか? 客が居なくてほんと良かったわ。騒音で訴えられるぞ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

弟は僕の名前を知らないらしい。

いちの瀬
BL
ずっと、居ないものとして扱われてきた。 父にも、母にも、弟にさえも。 そう思っていたけど、まず弟は僕の存在を知らなかったみたいだ。 シリアスかと思いきやガチガチのただのほのぼの男子高校生の戯れです。 BLなのかもわからないような男子高校生のふざけあいが苦手な方はご遠慮ください。

眺めるほうが好きなんだ

チョコキラー
BL
何事も見るからこそおもしろい。がモットーの主人公は、常におもしろいことの傍観者でありたいと願う。でも、彼からは周りを虜にする謎の色気がムンムンです!w 顔はクマがあり、前髪が長くて顔は見えにくいが、中々美形…! そんな彼は王道をみて楽しむ側だったのに、気づけば自分が中心に!? てな感じの巻き込まれくんでーす♪

学園生活は意外と大変

白鳩 唯斗
BL
毎年恒例の親族達の日帰り旅行で、事故が起きた。家族を全員失った魁星は、葬式に参加する。 そこで、唯一生き残った親族、はとこの雪人の存在を知ることになる。 権利争いが起きないようにと、魁星が雪人を養子に迎えることになり、父親になってしまう。 15歳の魁星は高校に通いながら、6歳のはことの面倒を見ることになる。 面倒見の良い優しい主人公です。 シリアスは少なめかもしれません。

BlueRose

雨衣
BL
学園の人気者が集まる生徒会 しかし、その会計である直紘は前髪が長くメガネをかけており、あまり目立つとは言えない容姿をしていた。 その直紘には色々なウワサがあり…? アンチ王道気味です。 加筆&修正しました。 話思いついたら追加します。

王道学園にブラコンが乗り込んでいくぅ!

玉兎
BL
弟と同じ学校になるべく王道学園に編入した男の子のお話。

学園の支配者

白鳩 唯斗
BL
主人公の性格に難ありです。

真冬の痛悔

白鳩 唯斗
BL
 闇を抱えた王道学園の生徒会長、東雲真冬は、完璧王子と呼ばれ、真面目に日々を送っていた。  ある日、王道転校生が訪れ、真冬の生活は狂っていく。  主人公嫌われでも無ければ、生徒会に裏切られる様な話でもありません。  むしろその逆と言いますか·····逆王道?的な感じです。

お迎えから世界は変わった

不知火
BL
「お迎えに上がりました」 その一言から180度変わった僕の世界。 こんなに幸せでいいのだろうか ※誤字脱字等あると思いますがその時は指摘をお願い致します🙇‍♂️ タグでこれぴったりだよ!ってのがあったら教えて頂きたいです!

処理中です...