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二章

三十五話

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 あと何すれば良いんだっけ。よく考えたら指揮というより監視が仕事だよな。椅子運びとか死んでもやりたくないし。

「·········俺必要無くね?」

「いや、あのやる気見てよ」

「あぁ··········」

 そういえばあいつら馬鹿だったわ。先輩達は俺の方を見ては奇声を上げてを繰り返して凄い速度で働いている。

 ていうか気持ち悪いからこっち見んな。うっさいんだよ。耳栓代わりに結翔の胸元に顔を埋める。

「う"っ、監視なら俺がしとくから心湊は寝てたら?」

「は? どうせお前一人じゃ何も出来ないだろ」

 さっきから男同士の絡みが、とか言って食い入るように見てんだから。問題起きたら俺の責任になるんだよ。腕を叩いて壇上にある椅子の上に降ろしてもらう。

「はぁ·······自分で自分の首絞めてる気分だわ」

 何が悲しくて自分を歓迎する準備を自分でしなきゃならんのだ。その上鬼ごっこ+ご褒美デートだぞ。捕まっても捕まえても地獄だわ。

 ──トントン

「ん?」

「ヨッ、天使。ついに演技辞めたんだな」

「うえ、なんでこんな所に居るんですか。担任」

 一生職員室に引きこもってろよ。ていうか気安く触んな。

「まあそう睨むなって。それよりどうだ? 香水の匂い」

「·············ホストクビになったんですか?」

「ちげぇよ」

 ならなんで無臭なんだよ。ついに自分の臭さに気づいたか。

「お前が嫌だって言うから使うの辞めたんだよ。悪いか?」

「わー生徒思いな先生ですねー」

「チッ·······まだ転校生の件根に持ってんのかよ」

 ──ピクッ

 何言ってんだこのホストは。恨んでるに決まってるだろうが。お前が天使とか言わなければ絡まれずに済んだんだよ。

「悪かったって言ってるだろ。ほら、これやるから機嫌直せ」

「これは·········たわし、ですか?」

「あ、すまん。間違えたわ」

「·············」

 お前絶対喧嘩売ってるだろ。たわしで顔面磨いてやろうか?

「ほれ、これ副会長からだ」

「ありがとうございます。用件終わりですねさようなら」

「いや、もう少し話を······」

 ──ニコッ

「さようなら」

 これ以上お前と話す事なんて無いわ。さっさと失せろ。

「···ッ·······お前、あの腹黒に似てきたか?」

「は?」

 真似してんだよアホが。仕方ねえなぁ、と舌打ちして退職ホストは帰って行った。
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