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一章

十六話

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「··········きっっっしょ」

「え?」

 人が死にかけてんのに発情してんじゃねえよ。ていうか服が開けてるって、勝手に見るなし。確認するとYシャツが肘くらいまでだらんと下がっていた。

「ほらね、俺の言った通りでしょ? これじゃあ襲われても文句言えないよ?」

「文句しか無いわボケ」

 男に抱かれるなんて真っ平御免だ。咄嗟に自分の体を抱きしめる。

「ちょ、ちょっと待って? そういう意味じゃないからね? そんなに警戒しないで?」

「こんな狂った学園で警戒しない訳あるか。お前みたいのが一番危ない」

 昼夜問わず寮内でも襲ってくるような学園だぞ。警戒して当然だ。法律どこ行ったんだマジで。

「ほら見て、本当に何もしないか──」

 ──ガンッ

「オイッ! そこの生徒何してるッ!!!」

「ッ!」

 いやいやいやいや、お前こそ何してんだよ。扉ぶち壊して来るとか怖すぎだろ。屋上の入口の方を見ると、腕に腕章を付けた男子生徒が居た。

「あの腕章は、風紀委員?」

「多分そうだと思う·······」

 ならなんで扉破って来るんだよ。鍵かけた覚えないんだけど、まさか寮長やりやがったな。

「お前は、タチ9位の冴島か! 遂にこんな事まで仕出かすとはな······ッ···!」

「ふぇ? 一体なんの話を······」

「とぼけるなッ! そこの生徒が今にも犯されそうじゃないか!」

「え、ボクデスカ?·········」

 俺が寮長に犯されそうだって? そんな訳ないだろボケナスが。勝手に憐憫の眼差し向けてくんな。

「もう安心して大丈夫だ。ショックで上手く話せないんだな··········。こんな姿にされて可哀想に·······」

「はぁ·········」

 俺の姿が可哀想って、これ自分の夢で過呼吸起こしてなったんだぞ。普通に悪口じゃん。風紀委員は自分が着ていた上着を脱いで、俺に掛けてくれる。
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