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一章
一五話
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──心湊は桜って何色だと思う? ピンクだよね?
皆が美しいと見上げる桜は、僕には真っ赤な血にしか見えないんだ。
僕が異常なのかな? それとも───が可笑しいのかな?
「桜は綺麗だよね」
舞い降りてきた桜の花びらを握り潰しながら、奴はそう笑った。
「ッ!? 今のは、また、あの、夢·······が······奴が·······」
不味い不味い。呼吸が上手く出来ない。深呼吸しないと。いつも通り冷静に········。
「ちょっと!? 君大丈夫?!」
「だい·····じょうぶ、わけ·······ッ······」
この状況の何処が大丈夫に見えるんだ。視界がぼやけて誰だか分からないけどアホかッ。
「もしかして過呼吸!? とにかく落ち着いて呼吸して!」
「すぅ··········はぁ········ふぅ······」
「そうそうそんな感じ。ヒッヒッフーって」
それはラマーズ法だ。妊婦じゃないわボケ。イライラしたからか気が紛れて呼吸が落ち着いてきた。
「はぁ········死ぬかと思った·······」
何百回経験しても慣れないなこれ。こんな時に結翔は何してんだよマジで。口元に唾液が垂れてきて最悪だ。
「俺もびっくりし過ぎて死ぬかと思った」
「ん?」
そういえば俺に声掛けて来たやつ居たな。涙が溜まった目を拭いて声の方向を見る。
「うえ、お前まだここに居たのかよ」
「助けてあげたのにその言い草は酷いなぁ」
いやいや、お前意味不明な事言ってただけだろ。思わず声の主、寮長を睨みつける。
「ッ/// 自分の顔の状態把握してからそういう事して///」
「は、醜いとでも言いたいわけ?」
何処までも失礼な奴だな。確かにお前から見れば唾垂らして涙流して死んだ魚みたいな目した男が目の前に居るんだろうが。
「だ・か・ら! 君は今、顔中ぐちゃぐちゃで上目遣いしてるんだってば! 寝起きで服も開けてるし!」
「あ、なるほど」
そういう事か。通りで顔を真っ赤にしている訳だ。つまり俺は結翔に見せてもらった『受け』みたいな姿になっていると。ふむふむ·········。
皆が美しいと見上げる桜は、僕には真っ赤な血にしか見えないんだ。
僕が異常なのかな? それとも───が可笑しいのかな?
「桜は綺麗だよね」
舞い降りてきた桜の花びらを握り潰しながら、奴はそう笑った。
「ッ!? 今のは、また、あの、夢·······が······奴が·······」
不味い不味い。呼吸が上手く出来ない。深呼吸しないと。いつも通り冷静に········。
「ちょっと!? 君大丈夫?!」
「だい·····じょうぶ、わけ·······ッ······」
この状況の何処が大丈夫に見えるんだ。視界がぼやけて誰だか分からないけどアホかッ。
「もしかして過呼吸!? とにかく落ち着いて呼吸して!」
「すぅ··········はぁ········ふぅ······」
「そうそうそんな感じ。ヒッヒッフーって」
それはラマーズ法だ。妊婦じゃないわボケ。イライラしたからか気が紛れて呼吸が落ち着いてきた。
「はぁ········死ぬかと思った·······」
何百回経験しても慣れないなこれ。こんな時に結翔は何してんだよマジで。口元に唾液が垂れてきて最悪だ。
「俺もびっくりし過ぎて死ぬかと思った」
「ん?」
そういえば俺に声掛けて来たやつ居たな。涙が溜まった目を拭いて声の方向を見る。
「うえ、お前まだここに居たのかよ」
「助けてあげたのにその言い草は酷いなぁ」
いやいや、お前意味不明な事言ってただけだろ。思わず声の主、寮長を睨みつける。
「ッ/// 自分の顔の状態把握してからそういう事して///」
「は、醜いとでも言いたいわけ?」
何処までも失礼な奴だな。確かにお前から見れば唾垂らして涙流して死んだ魚みたいな目した男が目の前に居るんだろうが。
「だ・か・ら! 君は今、顔中ぐちゃぐちゃで上目遣いしてるんだってば! 寝起きで服も開けてるし!」
「あ、なるほど」
そういう事か。通りで顔を真っ赤にしている訳だ。つまり俺は結翔に見せてもらった『受け』みたいな姿になっていると。ふむふむ·········。
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