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一章

十三話

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 食事を終えて先に食堂を出た俺は屋上に向かう。

 結翔の前では平静を装ったものの、嫌な記憶がフラッシュバックしそうだ。気分悪い。

 まさかここに来てまで奴の事を思い出す事になるとは。結翔だって俺の地雷くらい知ってるくせに。

「はぁ········俺の情緒どうなってんの」

 最近はやけにイライラする。流石に物とかには当たらないけど、口が悪くなる一方だ。

 全部あの毬藻が、あいつのせいに違いない。あいつさえ、あいつさえ居なければ──目障りなやつは全員消して········

 ──ドンッ

「あ、すみません。大丈夫ですか?」

 ···········俺、何考えてたっけ。少し意識が飛んでいたようだ。ぶつかった衝撃で地面に座り込む。

「そっちこそ大丈夫? 明らかに君の方が重症に見えるけど」

「僕は大丈夫です。自分で立ち上がれますから」

 だから今すぐその手を引っ込めてくれ。ヌメヌメしてたら嫌すぎる。

「へぇ~? 皆俺に触られたら喜ぶんだけど、君変わってるね」

「はぁ、」

 お前みたいな誰だか知らんやつに触られても嫌悪感しかねえよ。ちょっと自分を過信し過ぎだわ。

「あはっ! 君可愛い顔して結構口悪いタイプでしょ(笑)。俺そういうの嫌いじゃないよ」

「そうですか。ではさようなら」

 こっちは寝床に向かってるんだ。邪魔しないでくれ。ニヤニヤと笑う男を無視して無事、では無いが屋上に到着する。

「ねぇねぇ、こんな所で何するの? もしかして誘ってるの?」

「·············」

 ダメだこいつ。絶対雄二と同じタイプだ。こんな奴とじゃれる位ならノラと遊ぶわ。

「おーい! 聞こえてるかな~? もしもーし~。おーい! 襲っちゃうぞ~? 聞こえて──」

 ──ガシッ

「へ?」

「お前さっきからうっさいんだよ」

 いくら俺でも我慢の限界だわ。相手の片手を掴んでそのまま背負って床に叩きつける。もちろん受身が取りやすいよう配慮して。
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