天使様はいつも不機嫌です

一章

十二話

　あれから色々あって昼休み。結局毬藻だの雄二だのが騒いで全く寝れなかった。瑞希先輩も急にキレだすし。

　寝不足で倒れたって知ってる癖に睡眠妨害とかマジ無いわ。

　わざわざ授業免除の俺があんな教室に居る理由はひとつ。E、Fクラスの不良共が遅刻魔だからだ。

　午前中は外で寝てると襲ってくるんだよ。ゾンビみたいに次々と。さっさと去勢すれば良いのに。

「って事があってさ、マジヤバくね？」

「お前の脳みそが想像以上に腐敗しててヤバいわ」

　男同士のセックス覗いて撮影までして来るとかまじキモイわ。食事中にそんなもん見せんな。

「腐男子として俺は至極真っ当な反応をしている！　見ろこれを！」

「見ないって言ってるだろカス。それより風紀委員の仕事は終わったの？」

　こんなやつでも風紀委員になれるとか世も末だわ。今朝結翔が教室に居なかったのは俺の代わりに風紀室に向かったからだ。何を言われたのかは知らんけど。

「あぁ········それは、うん。気にしなくて良いと思う」

「は？」

　だったら何かあった様な反応見せんな。気になるだろうが。

「お前ポーカーフェイス知らないわけ？　それとも詮索させる為にわざとやってんの？」

「え、そんなつもり無いんだけど。ほら、俺って素直で可愛いじゃん？」

「きも。冗談でも無理だわ」

　それにお前可愛いよりカッコイイ系だろ。勝手にキャラ変すんなや。

「俺の鋼メンタルがブレイクしそうッ！　もしかしたら手が滑って心湊総受けの薄い本を──」

　──ギラッ

「それ以上言ったら胴体と首がお別れするけど、良い？」

　もしも、そんな物が広まったら、奴に見つかるかも知れないだろ 。反射的に首元に当てたナイフをクルリと回し、机に戻す。

　これ、結翔がパンケーキ食べる時に使ってたナイフだわ。スイーツは大事にしないと。

「···········ごめん。確かに俺ちょっと調子に乗ってたわ······」

「別に良いよ。俺だって結翔の楽しみ奪いたくないし」

　総受けの薄い本は絶対に却下だがな。