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一章

九話

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 翌日──1-S教室──

 出来ることなら一生気絶しときたかった。教室に入ると待ってましたと言わんばかりに毬藻が駆け寄って来る。

「おはよう心湊! 昨日は大丈夫だったか!?」

「うん、ただの寝不足だったみたい」

 主にお前のせいで。

「そうだったのか! しっかり寝ないとダメだぞ!」

「···········心配してくれてありがとう」

 元凶が偉そうにすんなや。全部お前のせいだぞ。ベラベラと一人話を続ける毬藻を無視して席に着く。

 あいつの頭のネジ、マジで何本かぶっ飛んでるわ。当たり前のように騒いでるけど今授業中だから。

 圧力掛かってるのか教師は何も言わないし、誰かあいつをどうにかしてくれ。ストレスに限界が来ているので窓をぼーっと眺める。

「おい心湊! 聞こえてるのか!? 俺の話を──」

「そこの君、ちょっと煩いんだけど。少し黙れよ」

「ッ!」

 うわぁ······俺が言いたかった事全部言ってくれたわ。なかなかどぎつい言葉だし、もっと言ってやれ。気になって声の方向に視線を向けると、見知った顔が居た。

「え、雄二先輩がなんでここに?」

「やほ! みなちゃん」

 やほ!じゃねえよ。新入生歓迎会の準備で忙しいって言ってただろうが。サボりだったら俺が瑞希先輩に怒られるんだけど。

「倒れたって聞いたから心配で来ちゃった」

「·········」

 わー全く嬉しくないですー。つまるところサボって来たわけですよね、それ。

 俺の気も知らずに金髪ピアスジャラジャラ付けた高身長イケメンがてへぺろってしてるわ。うざ。

「そんな嫌そうな顔しないでよ。俺これでも抱かれたいランキング4位の人気者だよ?」

 は、なんだそれマウント取ってんの? 俺は抱きたいランキング1位だぞ、クソが。

「流石は生徒会書記様ですねー」

「棒読み過ぎ(笑)。みなちゃんも1回くらい俺に抱かれてみない?」

 ──ギロッ

 何気ない雄二の一言に、教室の温度が一気に下がる。俺の信者が暴走しそうだからこれ以上余計なこと言うな。貴重な睡眠時間を奪わないでくれ。

「僕そういうの興味無いから。おひとりでどうぞ」

「え~セックスってひとりじゃ出来ないよ?」

 ならそこの毬藻とヤっとけよ。幼馴染曰く変装無かったら可愛いっぽいし。

 ·········っていうかさっきから毬藻大人し過ぎない? 関わりたくないけど逆に気になってくるわ。嵐の前の静けさとか言う物騒な言葉もあるしね。
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