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一章

七話

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 気絶から覚めた時、俺の気分は絶不調だった。またビッグ毬藻の夢を見たからだ。

 もう完全にトラウマなってる。これ以上トラウマ増えたら俺の精神壊れちゃう。

 辺りを見渡せば真っ白な空間。薬品の匂いが漂う保健室のベッドに居た。

「あれ、結翔待っててくれたんだ」

 そもそもお前がこの学園を勧めたからこうなったんだけどな。

 少し恨みを込めて、俺の膝の上で眠る幼馴染にデコピンする。

「んっ·······いたい······」

「ならさっさと起きろ」

「··········無理」

 喋れてるなら問題ないだろ。膝から叩き落とすぞ。

「3秒以内に起きないなら制裁を加える」

 するりと首元に手をかけて、優しく撫でる。

「ッツツッッツッ!!! 起きました! 俺起きてます!」

「うん、最初からそうしようか」

「了解しましたご主人様!」

 お前みたいな駄犬の主人になりたくないわ。敬礼する結翔を隣に座らせ、状況を聞く。

「俺が気絶してから親衛隊の動きは?」

「制裁の話が上がったっぽいけど心湊が嫌がるって言ったらどうにかなった。後は風紀委員長が話あるから後で来いとさ。生徒会も」

「はぁ? 病人を呼び出すってどういう神経してんの?」

「まあ体調が治ってからで良いんじゃね? もう少し休めば?」

「言われなくてもそうするし。何もせずにずっと寝ていたい」

 ここ最近、毬藻のせいで寝不足が続いている。今までは1日12時間以上寝てたのにここ数日間はたったの8時間。3分の1だ。これ、致命的。

「結翔、俺の事運んで」

「はいはい」

 入学前は屋敷でよく運んで貰ってたからね。慣れた手つきで結翔に運ばれる。

 こう、母親の安心感的な感じ? 嗅ぎなれた匂いと一定のリズムでちょうどよく加わる振動に、俺は再び眠りについた。
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