天使様はいつも不機嫌です

一章

二話

　私立蔡鍔学園。小中高大一貫全寮制男子校。所謂王道学園。

　俺がこの学園に入学した理由はひとつ。成績トップの者は全ての授業が免除されるからだ。

　しかも部屋がめっちゃ豪華。ベッドなんてふかふか過ぎてスライムになりそうだった。一生寝ていたい。

　そんな訳でウキウキ入学した俺は顔も家柄もよく、王道的に親衛隊が出来た。これ、絶対総受けとかになるパターンだわって、入学早々絶望したよね。

　そこで考えた策がひとつ。親衛隊の掌握だ。嫌われ親衛隊総隊長とか言い返さないと気が済まないタチの俺には無理。

　かと言ってその地位に上り詰めないと掌握は難しい。悩んだ挙句俺は思考を放棄した。だって眠いんだもん。

　親衛隊の子には優しく接して好感度を上げる。全校生徒には生徒会に興味無いですよアピール。仕事は副隊長に任せてずっと寝る。

　まさに完璧な怠惰ライフを送って最高ルンルン気分。ついでに野良猫捕まえてずっと一緒に居る。もふもふしてて超可愛い。そして寝る。

　そんな生活を送っていたら白い髪も相まってか天使様と呼ばれ、何故か信者が出来てしまった。

　もう意味わからんよね。俺に王道知識を与えてくる司教様、幼馴染の壽美結翔は大爆笑していた。

　元はと言えば結翔にそそのかされてこの学園に来たんだが。俺は知らんと言わんばかりのあいつちょーウザイ。

　生徒会から嫌われることも無く、むしろお菓子とかくれて少し餌付けされてる気もするけどまあ良し。

　特に副会長の天王寺瑞希と書記の瀬戸口雄二とはLIME交換するくらい仲良くなった。

　この学園の最高権力者とのパイプもでき。親衛隊と信者を味方につけて学園ライフ満喫していたのだ。なのに、それをぶち壊す悪魔がやってきた。王道転校生朝比奈太陽が。