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第一部 第二章
四十七話
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帝国の法律には特殊な条文がある。
原始帝国法と呼ばれる初代皇帝が定めた法律で、皇帝ですら変えることが許されない法律。
1、帝国の主は、皇城が立てられたその地に身を置かなければならない。
2、帝国の主は赤い瞳を継承し、その血筋が途絶えることは赦されない。
3、皇帝は四つの家門を尊重し、その存在が絶えないよう務める義務がある。
この三つの条文があるからこそ、皇室とカディエゴ公爵家の関係は複雑化している。
公爵が俺を保護する理由があるとすれば、二つ目の条文を満たす為だろう。
「殿下? そんなところで何してるんすか?」
「お前こそ、なぜここに居るんだ?」
「俺は自分の部屋に戻る所っす」
廊下の向こう側から現れたハルトが、俺の部屋の隣を指差す。
皇城生活が長くて忘れていたが、護衛騎士が主人の周辺の部屋に配置されるのは常識だったな。
「そうか。明日に備えて早く寝ろ」
「何かご予定があるんすか?」
「ああ。明日は早朝に教会へ向かう」
提案を受けるか否か、もはや答えは出ている。
それよりも、北部に滞在するなら聖女ラフィーナに関する情報を集めたい。
小説通り、皇族の手にラフィーナが渡ることだけは阻止するつもりだ。
「で、殿下が信仰心をお持ちだったとは、知りませんでした・・・・・・」
「勘違いするな。俺は神など信じていない」
「そ、そうっすよね・・・! それでこそ、俺の殿下・・・!」
「くだらない事を言っていないで、さっさと寝ろ」
自室に戻って、ベッドの上に横になる。
小説の情報しか手がかりはないが、魔境の近くに教会があるということだけはわかっている。
その辺の住民に聞けば辿り着けるはずだ。
帝国の法律には特殊な条文がある。
原始帝国法と呼ばれる初代皇帝が定めた法律で、皇帝ですら変えることが許されない法律。
1、帝国の主は、皇城が立てられたその地に身を置かなければならない。
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この三つの条文があるからこそ、皇室とカディエゴ公爵家の関係は複雑化している。
公爵が俺を保護する理由があるとすれば、二つ目の条文を満たす為だろう。
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「そうか。明日に備えて早く寝ろ」
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「ああ。明日は早朝に教会へ向かう」
提案を受けるか否か、もはや答えは出ている。
それよりも、北部に滞在するなら聖女ラフィーナに関する情報を集めたい。
小説通り、皇族の手にラフィーナが渡ることだけは阻止するつもりだ。
「で、殿下が信仰心をお持ちだったとは、知りませんでした・・・・・・」
「勘違いするな。俺は神など信じていない」
「そ、そうっすよね・・・! それでこそ、俺の殿下・・・!」
「くだらない事を言っていないで、さっさと寝ろ」
自室に戻って、ベッドの上に横になる。
小説の情報しか手がかりはないが、魔境の近くに教会があるということだけはわかっている。
その辺の住民に聞けば辿り着けるはずだ。
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