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第一部 第二章
二十八話
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右腕が正常に動く事を確認して、ベッドに立て掛けられた剣を腰に携える。
俺の剣術の実力は、皇帝、カディエゴ公爵、皇太子、第二皇子に次いで、序列第五位。
これは帝国内に存在する、全ての騎士の統計から導き出された数字だ。
まだ俺は、エミリオよりも強いはずだ。
生き残る為に、剣術の鍛錬は毎日欠かさず行ってきた。実力も多少は隠している。
例え主人公補正があろうが――エミリオに、タダで殺られるつもりは無い。
目覚めて早々、気分が悪くなるものを見た。
魔術庁は皇城の敷地内に立てられ、魔術で保護されたタワー型の建造物だ。
外部から内部へ、内部から外部へ、どちらからも干渉されない様に魔術が施されている。
そして、その極めて高い秘匿性から、建物内では禁忌とされる実験も行われていた。
「あ、お兄様・・・腕は治ったんですね。治らなかったら実験の材料に使おうと思っていたのですが――ざんね・・・良かったです」
「ギィ・・・ギイエェェェ・・・!!!」
全身を赤黒い液体で染めた第五皇子が、
人と魔物を融合させたかの様な生物を掴みながら、笑顔で声を掛けてくる。
顔の半分がドロドロに溶け、下半身はドス黒い蜘蛛のように禍々しい。
「はぁ・・・研究室を汚すなと、いつも言っているだろう。またキメラを作ったのか?」
「はい! 今回は騎士を材料に作ってみたんです! 前回のメイドは、脆すぎましたからね」
「魔術庁所属の職員には手を出すなよ」
「おにいさまのごめいれいとあらば! えへへ・・・・・・!」
頬を赤く染めて、頭を差し出してくる第五皇子。
頭を撫でろと、上目遣いで訴え掛けてくる。
第四皇子同様、無視すれば癇癪を起こす。
頭を撫でてくれるお兄様を作ると言って、街中から俺に似た黒髪の民を攫って、改造し始めたことがあるくらいだ。
倫理や道徳を知らない第五皇子には、口で言ったところで心には届かない。
俺は求められるがまま、第五皇子の頭を優しく撫で続けた。
右腕が正常に動く事を確認して、ベッドに立て掛けられた剣を腰に携える。
俺の剣術の実力は、皇帝、カディエゴ公爵、皇太子、第二皇子に次いで、序列第五位。
これは帝国内に存在する、全ての騎士の統計から導き出された数字だ。
まだ俺は、エミリオよりも強いはずだ。
生き残る為に、剣術の鍛錬は毎日欠かさず行ってきた。実力も多少は隠している。
例え主人公補正があろうが――エミリオに、タダで殺られるつもりは無い。
目覚めて早々、気分が悪くなるものを見た。
魔術庁は皇城の敷地内に立てられ、魔術で保護されたタワー型の建造物だ。
外部から内部へ、内部から外部へ、どちらからも干渉されない様に魔術が施されている。
そして、その極めて高い秘匿性から、建物内では禁忌とされる実験も行われていた。
「あ、お兄様・・・腕は治ったんですね。治らなかったら実験の材料に使おうと思っていたのですが――ざんね・・・良かったです」
「ギィ・・・ギイエェェェ・・・!!!」
全身を赤黒い液体で染めた第五皇子が、
人と魔物を融合させたかの様な生物を掴みながら、笑顔で声を掛けてくる。
顔の半分がドロドロに溶け、下半身はドス黒い蜘蛛のように禍々しい。
「はぁ・・・研究室を汚すなと、いつも言っているだろう。またキメラを作ったのか?」
「はい! 今回は騎士を材料に作ってみたんです! 前回のメイドは、脆すぎましたからね」
「魔術庁所属の職員には手を出すなよ」
「おにいさまのごめいれいとあらば! えへへ・・・・・・!」
頬を赤く染めて、頭を差し出してくる第五皇子。
頭を撫でろと、上目遣いで訴え掛けてくる。
第四皇子同様、無視すれば癇癪を起こす。
頭を撫でてくれるお兄様を作ると言って、街中から俺に似た黒髪の民を攫って、改造し始めたことがあるくらいだ。
倫理や道徳を知らない第五皇子には、口で言ったところで心には届かない。
俺は求められるがまま、第五皇子の頭を優しく撫で続けた。
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