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第一部
十六話
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16話
話している最中に、顔を背けた俺に気を悪くしたのか、皇太子に頬をつつかれる。
カディエゴ公爵が来れば、いくら皇太子といえども無礼は働けない。
残虐皇子として、怒りを顔に滲ませながら待っていると、謁見の間の扉が小さく開いた。
「カディエゴ公爵がお見えです」
「通せ」
皇帝が短い返事をして、両扉が開かれる。
カディエゴ公爵を見かけたことは多々あるが、実際に話した事は殆ど無い。
彼は北部の守護で忙しいので、滅多に社交の場に姿を表さないからだ。
開かれた扉から現れたのは、とても子供を持つとは思えないほど若い顔の、真っ白な雪のような髪と肌を持つ、長身の男性だった。
玉座の正面に立ち、その蒼い瞳が皇帝を捉える。
カディエゴ公爵は立ったまま、少し腰を折って、胸に手を当てた。
「帝国の太陽にご挨拶を。此度は陛下へ、進言したいことがございましたので参りました」
「・・・・・・ほう。カディエゴ卿も偉くなったものだな」
皇帝と血の繋がった皇族である、俺達にすら許されない挨拶の省略。
この世で四人しか口にすることが出来ない言葉を、カディエゴ公爵は口にした。
話している最中に、顔を背けた俺に気を悪くしたのか、皇太子に頬をつつかれる。
カディエゴ公爵が来れば、いくら皇太子といえども無礼は働けない。
残虐皇子として、怒りを顔に滲ませながら待っていると、謁見の間の扉が小さく開いた。
「カディエゴ公爵がお見えです」
「通せ」
皇帝が短い返事をして、両扉が開かれる。
カディエゴ公爵を見かけたことは多々あるが、実際に話した事は殆ど無い。
彼は北部の守護で忙しいので、滅多に社交の場に姿を表さないからだ。
開かれた扉から現れたのは、とても子供を持つとは思えないほど若い顔の、真っ白な雪のような髪と肌を持つ、長身の男性だった。
玉座の正面に立ち、その蒼い瞳が皇帝を捉える。
カディエゴ公爵は立ったまま、少し腰を折って、胸に手を当てた。
「帝国の太陽にご挨拶を。此度は陛下へ、進言したいことがございましたので参りました」
「・・・・・・ほう。カディエゴ卿も偉くなったものだな」
皇帝と血の繋がった皇族である、俺達にすら許されない挨拶の省略。
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