16 / 57
第一部
十六話
しおりを挟む
16話
話している最中に、顔を背けた俺に気を悪くしたのか、皇太子に頬をつつかれる。
カディエゴ公爵が来れば、いくら皇太子といえども無礼は働けない。
残虐皇子として、怒りを顔に滲ませながら待っていると、謁見の間の扉が小さく開いた。
「カディエゴ公爵がお見えです」
「通せ」
皇帝が短い返事をして、両扉が開かれる。
カディエゴ公爵を見かけたことは多々あるが、実際に話した事は殆ど無い。
彼は北部の守護で忙しいので、滅多に社交の場に姿を表さないからだ。
開かれた扉から現れたのは、とても子供を持つとは思えないほど若い顔の、真っ白な雪のような髪と肌を持つ、長身の男性だった。
玉座の正面に立ち、その蒼い瞳が皇帝を捉える。
カディエゴ公爵は立ったまま、少し腰を折って、胸に手を当てた。
「帝国の太陽にご挨拶を。此度は陛下へ、進言したいことがございましたので参りました」
「・・・・・・ほう。カディエゴ卿も偉くなったものだな」
皇帝と血の繋がった皇族である、俺達にすら許されない挨拶の省略。
この世で四人しか口にすることが出来ない言葉を、カディエゴ公爵は口にした。
話している最中に、顔を背けた俺に気を悪くしたのか、皇太子に頬をつつかれる。
カディエゴ公爵が来れば、いくら皇太子といえども無礼は働けない。
残虐皇子として、怒りを顔に滲ませながら待っていると、謁見の間の扉が小さく開いた。
「カディエゴ公爵がお見えです」
「通せ」
皇帝が短い返事をして、両扉が開かれる。
カディエゴ公爵を見かけたことは多々あるが、実際に話した事は殆ど無い。
彼は北部の守護で忙しいので、滅多に社交の場に姿を表さないからだ。
開かれた扉から現れたのは、とても子供を持つとは思えないほど若い顔の、真っ白な雪のような髪と肌を持つ、長身の男性だった。
玉座の正面に立ち、その蒼い瞳が皇帝を捉える。
カディエゴ公爵は立ったまま、少し腰を折って、胸に手を当てた。
「帝国の太陽にご挨拶を。此度は陛下へ、進言したいことがございましたので参りました」
「・・・・・・ほう。カディエゴ卿も偉くなったものだな」
皇帝と血の繋がった皇族である、俺達にすら許されない挨拶の省略。
この世で四人しか口にすることが出来ない言葉を、カディエゴ公爵は口にした。
47
お気に入りに追加
193
あなたにおすすめの小説




結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、転生特典(執事)と旅に出たい
オオトリ
BL
とある教会で、今日一組の若い男女が結婚式を挙げようとしていた。
今、まさに新郎新婦が手を取り合おうとしたその時―――
「ちょっと待ったー!」
乱入者の声が響き渡った。
これは、とある事情で異世界転生した主人公が、結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、
白米を求めて 俺TUEEEEせずに、執事TUEEEEな旅に出たい
そんなお話
※主人公は当初女性と婚約しています(タイトルの通り)
※主人公ではない部分で、男女の恋愛がお話に絡んでくることがあります
※BLは読むことも初心者の作者の初作品なので、タグ付けなど必要があれば教えてください
※完結しておりますが、今後番外編及び小話、続編をいずれ追加して参りたいと思っています
※小説家になろうさんでも同時公開中
乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について
はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

無自覚な
ネオン
BL
小さい頃に母が再婚した相手には連れ子がいた。
1つ上の義兄と1つ下の義弟、どちらも幼いながらに
イケメンで運動もでき勉強もできる完璧な義兄弟だった。
それに比べて僕は周りの同級生や1つ下の義弟よりも小さくて
いじめられやすく、母に教えられた料理や裁縫以外
何をやっても平凡だった。
そんな僕も花の高校2年生、1年生の頃と変わらず平和に過ごしてる
それに比べて義兄弟達は学校で知らない人はいない
そんな存在にまで上り積めていた。
こんな僕でも優しくしてくれる義兄と
僕のことを嫌ってる義弟。
でも最近みんなの様子が変で困ってます
無自覚美少年主人公が義兄弟や周りに愛される話です。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

悪役令息に転生したけど…俺…嫌われすぎ?
「ARIA」
BL
階段から落ちた衝撃であっけなく死んでしまった主人公はとある乙女ゲームの悪役令息に転生したが...主人公は乙女ゲームの家族から甘やかされて育ったというのを無視して存在を抹消されていた。
王道じゃないですけど王道です(何言ってんだ?)どちらかと言うとファンタジー寄り
更新頻度=適当
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる