BADエンド溢れる世界に転生した

白鳩 唯斗

文字の大きさ
上 下
4 / 4

しおりを挟む
 セシルと出会ったのはひと月前。俺はモブに徹する為に一人で過ごしていた。

 歪んだキャラ溢れるこの世界では、モブですら驚異になる。誘拐、監禁、強姦、暗殺なんて日常茶飯事だ。

 ゲームでも主人公がそういう目に遭うシーンは度々あった。大抵は攻略対象者に助けられて好感度が上がるイベントに繋がるのだが。

 モブである俺は違う。一度そういう目に遭えば壊れるまで追い込まれて、誰にも助けられずに物語から退場するのだ。

 そんな世界で過ごす内に、俺はこの世界の真理に気がついてしまった。最初はただ攻略対象者達だけが歪んでいるものだと思っていたが、その認識は大分甘かったらしい。

 俺には過去の記憶が無い。ゲームを起動したらいつの間にか主人公が居るように、俺もいつの間にかこの世界で『リアム』になっていた。

 もしかしたら過去なんて無くて、世界は生成されたばかりなのかもしれない。いくら考えても分かる問題では無いし、記憶が無い以上前世に未練も無いのだが。

 いきなり世界に放り出されて、意味も分からず勝手に入学が決まっていた時は流石に驚いた。

 最初はどうしようか迷ったのだが、家族が居ない以上自分でお金を稼ぐしか無いわけで。俺は魔術を学ぶために入学を決めた。

 前にも言った通り、俺はそこそこ顔が良い。もちろん男に告白されたりもしたわけで、強姦されそうにもなった。

 そこで助けに来たのがセシルだ。まあ、セシルが助けたのは俺ではなく犯人の方だけど。

 水属性は『受け、流す力』つまり防御に特化している。いくら俺がモブだとはいえ、相手もモブなら余裕のよっちゃん。

 普通にやり返して、口に水詰め込んでやったわけだ。お腹膨れすぎて死にかけてたけど、あれはあれで見応えがあった。

 途中でセシルが止めに来なければ、あいつはそのまま死んでいただろう。俺に手を出そうとしたんだから当然の報いだけどさぁ。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

無自覚な

ネオン
BL
小さい頃に母が再婚した相手には連れ子がいた。 1つ上の義兄と1つ下の義弟、どちらも幼いながらに イケメンで運動もでき勉強もできる完璧な義兄弟だった。 それに比べて僕は周りの同級生や1つ下の義弟よりも小さくて いじめられやすく、母に教えられた料理や裁縫以外 何をやっても平凡だった。 そんな僕も花の高校2年生、1年生の頃と変わらず平和に過ごしてる それに比べて義兄弟達は学校で知らない人はいない そんな存在にまで上り積めていた。 こんな僕でも優しくしてくれる義兄と 僕のことを嫌ってる義弟。 でも最近みんなの様子が変で困ってます 無自覚美少年主人公が義兄弟や周りに愛される話です。

真冬の痛悔

白鳩 唯斗
BL
 闇を抱えた王道学園の生徒会長、東雲真冬は、完璧王子と呼ばれ、真面目に日々を送っていた。  ある日、王道転校生が訪れ、真冬の生活は狂っていく。  主人公嫌われでも無ければ、生徒会に裏切られる様な話でもありません。  むしろその逆と言いますか·····逆王道?的な感じです。

愉快な生活

白鳩 唯斗
BL
王道学園で風紀副委員長を務める主人公のお話。

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

皇帝の立役者

白鳩 唯斗
BL
 実の弟に毒を盛られた。 「全てあなた達が悪いんですよ」  ローウェル皇室第一子、ミハエル・ローウェルが死に際に聞いた言葉だった。  その意味を考える間もなく、意識を手放したミハエルだったが・・・。  目を開けると、数年前に回帰していた。

ただの悪役令息の従者です

白鳩 唯斗
BL
BLゲームの推し悪役令息の従者に転生した主人公のお話。 ※たまに少しグロい描写があるかもしれません。

モブのままでいたいのに!

おはぎ
BL
ある日前世の記憶が蘇った九条雪斗(クジョウユキト)この世界は前世で読んでいたBL小説の『秘密の花園』だと気づく。 雪斗が入学する桜丘学園は全寮制の男子校だった、その中でも「特別特進クラス」は特別で選ばれた優秀の生徒しか入ることが許されないクラスである。 雪斗はそのクラスに入ることになった。 物語では「特別特進クラス」を中心に広がってく。 だが雪斗には疑問があった前世で読んでいた本では「特別特進クラス」に九条雪斗と言う登場人物は一切出てこないと言う事だ。 「僕ってモブなの?」 これは転生したらいつの間にかハイスペックになっていた主人公の話である

蔑まれ王子と愛され王子

あぎ
BL
蔑まれ王子と愛され王子 蔑まれ王子 顔が醜いからと城の別邸に幽閉されている。 基本的なことは1人でできる。 父と母にここ何年もあっていない 愛され王子 顔が美しく、次の国大使。 全属性を使える。光魔法も抜かりなく使える 兄として弟のために頑張らないと!と頑張っていたが弟がいなくなっていて病んだ 父と母はこの世界でいちばん大嫌い ※pixiv掲載小説※ 自身の掲載小説のため、オリジナルです

処理中です...