BADエンド溢れる世界に転生した

白鳩 唯斗

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 俺が転生したこの世界は王侯貴族や魔術が存在する世界だ。かくいう俺も子爵家の令息だったりする。

 当主不在で俺が全権を握っている事を除けば、まさにモブに相応しい地位だと言えるだろう。

 魔術に関しても特出した才能がある訳でも無く、中の上と言ったところだ。

 容姿も前世の基準で言えば整っている方ではあるが、メインキャラの後光で霞む程度。つまり俺は生まれるべくして生まれたモブなのだ。

 願望通りしっかりモブに転生出来たわけで、不満は無い。前世には無かった魔術もあれば、学園に通ってある程度新たな人生を満喫している。

 ちなみに、学園というのは魔術や歴史、哲学、経営など、幅広い分野を学べる便利な場所だ。そして主人公達がBLする場所でもある。

 あのゲームでは確か、平民だった主人公が珍しい光属性持ちで、お金を稼ぐ手段として、魔術を学びに来たんだっけか。

 光属性は癒しだったり祝福だったりで、色々便利だからなぁ。水属性の俺とは違ってまさに主人公らしい属性だ。

 まあ、ああいう特別な力持ってる奴って大抵面倒事に巻き込まれる運命にある訳だし? むしろモブとしてはこれで嬉しいんだけどね。

 それに、このゲームの攻略対象者達は水を除いた5つの属性から構成されている。

 火のヤンデレ変態騎士《ユーリス》。風のメンヘラ引きこもり皇子《アルフレド》。地の陽キャライケメン《セシル》。闇のサイコパス暗殺者ギルド長《ジェラルド》。光の隠れメンヘラ皇太子《リオハルト》。

 色々と絶望的な称号を持った奴らが攻略対象者だ。そして、俺はどのキャラとも被っていない水。本当に良い働きだ、神よ。

 と、一見完璧にも見える転生結果だが、しかしもちろん問題もある。それは──どのキャラと結ばれても国が滅ぶ以上のBADエンドしか用意されて居ないということだ。

 え、何言ってるのこいつ。と、思うかもしれない。しかしよく考えて欲しい。そもそも攻略対象者達はヤンデレかメンヘラかサイコパスだ。HappyENDなんてある訳が無い。

 しかも、攻略しないとしないで、色々拗らせた攻略対象者の無理心中に巻き込まれてゲームオーバーになる。つまり、どう頑張っても主人公はBADエンドを迎える運命にあるのだ。

 思い出しただけでも幸せな気持ちになる。ほんと、俺好みで最高の結末しかないゲームなんだよなぁ。是非この目で見届けたい。
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