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三
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「理事長先生! 俺の仕事量やばくないっすか?!」
「いやいや、どう考えても私の仕事の方が多いでしょう!?」
「俺様が1番働いている。俺様が1番偉い」
「え~、俺はみんな偉いと思うけどなぁ」
「「俺様(私、俺)が1番だ!」」
「············」
生徒会。彼らは数十人居る候補者の中から選ばれた、容姿成績家柄全てが秀でた生徒達だ。
入学してから常に成績一位を取り続ける生徒会会長の皇煌雅。会長に次いで好成績を取り続ける副会長の夜桜翔琉。穏やかな性格で人気者な会計の玖珂雪翔。勉強はそこそこだが特出した身体能力を持つ書記の氷室慶太。
互いが互いを補う形で構成された生徒会は、私が理想とする教育に近い。性格に問題が無ければ、だが。
「そもそもお前らの仕事が遅いから俺様が苦労してるんだ!」
「あんたが誤字脱字を繰り返すから私に回って来るんでしょうがッ!」
「俺だって頑張ってるんすよ! 部活で忙しいんだから仕方ないでしょ!」
「まあまあ落ち着こう?」
「···············」
私は事前に時間が限られていると、重要な話があると、そう連絡していたはずなのだが。喧嘩をしている時間で一体どれだけの書類を捌けたと思っているのだろうか。
思わず顰めそうになる顔を笑顔で隠し、口喧嘩が始まった生徒会メンバーの間に割って入る。驚いた表情の彼らを無視し、手頃な机に書類を置く。
「君達が元気そうで安心しました。生徒会は優秀な生徒が多いので注意する必要も無いですから助かってますよ」
「「············」」
生徒会とは生徒のお手本となるべき存在だ。上に立つものは相応の態度を示す必要がある。私が求める"完璧"は、ただ勉強が出来るからといって成立するものでは無い。
軽く皮肉を混じえた言葉に呆然と立ち尽くす生徒会の横を通り、生徒会長である皇君の肩に手を当て耳元に口を寄せる。
「公私の区別も出来ない愚か者を育てる趣味など私には無いので、どうぞお忘れなく」
「ッ··········」
生徒会の仕事ぶりには感心しているが、彼らに任せるより私一人でこなした方が手っ取り早い。しかし成長に経験は必要だ。私が不合理な選択だと知りながら一部業務を任せているのも生徒の為だと説明したはずなのだが、どうやら理解出来ていないようだ。
「私は仕事があるので失礼します。君達には期待していますよ」
本当は別の用件で来たのだが、予定外の喧嘩によりスケジュールが押している。申し訳なさそうに俯いた彼らを横目に生徒会室を出る。
扉が閉まる寸前に「すみません······」と聞こえた気がしたが、無視する事にした。
「いやいや、どう考えても私の仕事の方が多いでしょう!?」
「俺様が1番働いている。俺様が1番偉い」
「え~、俺はみんな偉いと思うけどなぁ」
「「俺様(私、俺)が1番だ!」」
「············」
生徒会。彼らは数十人居る候補者の中から選ばれた、容姿成績家柄全てが秀でた生徒達だ。
入学してから常に成績一位を取り続ける生徒会会長の皇煌雅。会長に次いで好成績を取り続ける副会長の夜桜翔琉。穏やかな性格で人気者な会計の玖珂雪翔。勉強はそこそこだが特出した身体能力を持つ書記の氷室慶太。
互いが互いを補う形で構成された生徒会は、私が理想とする教育に近い。性格に問題が無ければ、だが。
「そもそもお前らの仕事が遅いから俺様が苦労してるんだ!」
「あんたが誤字脱字を繰り返すから私に回って来るんでしょうがッ!」
「俺だって頑張ってるんすよ! 部活で忙しいんだから仕方ないでしょ!」
「まあまあ落ち着こう?」
「···············」
私は事前に時間が限られていると、重要な話があると、そう連絡していたはずなのだが。喧嘩をしている時間で一体どれだけの書類を捌けたと思っているのだろうか。
思わず顰めそうになる顔を笑顔で隠し、口喧嘩が始まった生徒会メンバーの間に割って入る。驚いた表情の彼らを無視し、手頃な机に書類を置く。
「君達が元気そうで安心しました。生徒会は優秀な生徒が多いので注意する必要も無いですから助かってますよ」
「「············」」
生徒会とは生徒のお手本となるべき存在だ。上に立つものは相応の態度を示す必要がある。私が求める"完璧"は、ただ勉強が出来るからといって成立するものでは無い。
軽く皮肉を混じえた言葉に呆然と立ち尽くす生徒会の横を通り、生徒会長である皇君の肩に手を当て耳元に口を寄せる。
「公私の区別も出来ない愚か者を育てる趣味など私には無いので、どうぞお忘れなく」
「ッ··········」
生徒会の仕事ぶりには感心しているが、彼らに任せるより私一人でこなした方が手っ取り早い。しかし成長に経験は必要だ。私が不合理な選択だと知りながら一部業務を任せているのも生徒の為だと説明したはずなのだが、どうやら理解出来ていないようだ。
「私は仕事があるので失礼します。君達には期待していますよ」
本当は別の用件で来たのだが、予定外の喧嘩によりスケジュールが押している。申し訳なさそうに俯いた彼らを横目に生徒会室を出る。
扉が閉まる寸前に「すみません······」と聞こえた気がしたが、無視する事にした。
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