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ポーション監修編
第126話 シェフの気まぐれ料理
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お待たせいたしました。。。
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ライフポーションの味にディーニャのお墨付きを貰った俺は、彼女と他言無用の契約を結んだ。
こうした監修の際によく結ばれているという、一般的な契約魔法だ。
その後、ライフポーション以外のポーションも折を見て監修することを約束し、俺達は解散した。
今回は俺がディーニャの店を訪れたので、次は『グルメの家』に来てもらう予定だ。
「――さて」
真っすぐ寮に戻った俺は、簡易キッチンに足を運ぶ。
ライフポーション調整と並行で進めていた日替わりメニュー調整のためだ。
既に十品以上の料理を納得できるレベルに仕上げたので、明日からメニューに加える予定である。
メニュー表における名前は〝シェフの気まぐれ料理〟。
必ずしも日替わりとは限らないため、気まぐれという表現で代替した。
基本的には従業員から好評だった品を中心に出していくが、料理のジャンルに縛りは設けていない。
明日出す予定のトンカツのようにメイン料理の日もあれば、スープやデザート等の小皿料理を出す日もある。
「シェフの気まぐれ、一度やってみたかったんだよなぁ」
シェフの気まぐれ。
前世のレストランでたまに見かけた表現だ。
シェフだけが使える独特な言い回しなので、まさか自分がそれを使える立場になるとは思わなかった。
その事実に妙な嬉しさを覚えながら、気まぐれ料理候補の調整をどんどん進めていく。
以前は他のメニューとの被りを気にしていたが、あくまでも限定メニューなのでそれほど気にする必要はない。
隙間時間を使って気楽に調整することができるので、ストック切れの心配もないだろう。
結局この日は二時間ほど調整を続け、追加で三品の候補料理が完成した。
◆ ◆ ◆ ◆
そうして迎えた翌日。
店のメニュー表に『シェフの気まぐれ料理』が加わった。
記念すべき最初のメニューは、予定していた通りのトンカツ。
豚肉、衣、ソースの全てにこだわり抜いた自慢の料理だ。
まず豚肉だが、これは前世の有名なトンカツ屋で食べたブランド豚の味をベースに、スキルで旨味を倍増させている。
噛むとロースのようにジューシーな脂が溢れ出すが、スキルで後味を軽くしたのでヒレのようなさっぱり感も楽しめる。
次に衣だが、同じく人気のトンカツ屋で感銘を受けた絶妙な歯ごたえの衣を参考にした。
薄めの衣でありながらしっかりとした存在感があり、そのきめ細やかさは芸術的だ。
そして最後にソースだが、これもかなり力を入れて調整した。
酸味と甘さのバランスを意識し、濃厚なコクを加えたソースは、トンカツそのものの存在感を邪魔することなく、最大限に美味しさを引き立てる。
別途で用意したからしも辛さを抑えて風味を立て、上品なアクセントになるようにした。
そんなこだわりのトンカツにふわりと仕立てた千切りキャベツを添えた一品。
ビア達からの評価もすこぶる良く、お客さん達からも気に入ってもらえるだろうとは思っていたが、こちらの予想を上回る人気を博した。
事前告知等はしていなかったため、行列にはそれほど影響しなかったものの、トンカツの注文率がとにかくすごい。
気まぐれ料理に興味を持った常連客がトンカツを頼み、その食事風景を見た他のお客さん達もトンカツを頼む流れが出来たようだ。
お客さんから話を聞いたカフィ達によると、常連客があまりに美味そうに食べるものだから我慢できなくなったということらしい。
その結果、トンカツの注文率は全体の五割を超え、新店フェス後に陥った〝半カレー屋状態〟ならぬ〝半トンカツ屋状態〟になったほどだ。
また、トンカツを食べたお客さん達からの味の評価も非常に良い。
肉と衣の美味しさもさることながら、特にソースの味が衝撃的だったらしい。
全メニューを知る常連客でも驚いた方が多かったようで、「是非またやってほしい」という声が多数寄せられた。
「レギュラー化を希望する声も多かったのですが……」
「メニューには加えないんですか、店長?」
「そうだな……」
店を閉めた後、ホール担当のカフェラテ姉弟の言葉を受け、俺は「うーん」と考える。
「元々はいろんな料理を出して、お客さんに楽しんでもらえればってのがきっかけだったからな。レギュラー化については深く考えてなかったけど……」
「それじゃあ、トンカツはレギュラー化しない感じですか?」
カフィはそう言うと、ぴょこんと猫耳を下げる。
従業員の中でもビアと並んでトンカツにハマっていたので、レギュラー化に期待していたのかもしれない。
その様子を見てというわけではないが、俺は少し考えて「いや」と返す。
「好評の度にレギュラー化するかどうかはわからないけど、トンカツは考えてもいいかもな」
「本当ですか!?」
「ああ」
現在のメニューはバランスを考えた構成なので、何でも正式なメニューに加えるつもりはない。
とはいえ、トンカツの味は既存メニューにないジャンルだし、クオリティにもかなり自信がある。
こうして、『シェフの気まぐれ料理』の導入日早々、その第一号であるトンカツのレギュラー化が決まった。
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ライフポーションの味にディーニャのお墨付きを貰った俺は、彼女と他言無用の契約を結んだ。
こうした監修の際によく結ばれているという、一般的な契約魔法だ。
その後、ライフポーション以外のポーションも折を見て監修することを約束し、俺達は解散した。
今回は俺がディーニャの店を訪れたので、次は『グルメの家』に来てもらう予定だ。
「――さて」
真っすぐ寮に戻った俺は、簡易キッチンに足を運ぶ。
ライフポーション調整と並行で進めていた日替わりメニュー調整のためだ。
既に十品以上の料理を納得できるレベルに仕上げたので、明日からメニューに加える予定である。
メニュー表における名前は〝シェフの気まぐれ料理〟。
必ずしも日替わりとは限らないため、気まぐれという表現で代替した。
基本的には従業員から好評だった品を中心に出していくが、料理のジャンルに縛りは設けていない。
明日出す予定のトンカツのようにメイン料理の日もあれば、スープやデザート等の小皿料理を出す日もある。
「シェフの気まぐれ、一度やってみたかったんだよなぁ」
シェフの気まぐれ。
前世のレストランでたまに見かけた表現だ。
シェフだけが使える独特な言い回しなので、まさか自分がそれを使える立場になるとは思わなかった。
その事実に妙な嬉しさを覚えながら、気まぐれ料理候補の調整をどんどん進めていく。
以前は他のメニューとの被りを気にしていたが、あくまでも限定メニューなのでそれほど気にする必要はない。
隙間時間を使って気楽に調整することができるので、ストック切れの心配もないだろう。
結局この日は二時間ほど調整を続け、追加で三品の候補料理が完成した。
◆ ◆ ◆ ◆
そうして迎えた翌日。
店のメニュー表に『シェフの気まぐれ料理』が加わった。
記念すべき最初のメニューは、予定していた通りのトンカツ。
豚肉、衣、ソースの全てにこだわり抜いた自慢の料理だ。
まず豚肉だが、これは前世の有名なトンカツ屋で食べたブランド豚の味をベースに、スキルで旨味を倍増させている。
噛むとロースのようにジューシーな脂が溢れ出すが、スキルで後味を軽くしたのでヒレのようなさっぱり感も楽しめる。
次に衣だが、同じく人気のトンカツ屋で感銘を受けた絶妙な歯ごたえの衣を参考にした。
薄めの衣でありながらしっかりとした存在感があり、そのきめ細やかさは芸術的だ。
そして最後にソースだが、これもかなり力を入れて調整した。
酸味と甘さのバランスを意識し、濃厚なコクを加えたソースは、トンカツそのものの存在感を邪魔することなく、最大限に美味しさを引き立てる。
別途で用意したからしも辛さを抑えて風味を立て、上品なアクセントになるようにした。
そんなこだわりのトンカツにふわりと仕立てた千切りキャベツを添えた一品。
ビア達からの評価もすこぶる良く、お客さん達からも気に入ってもらえるだろうとは思っていたが、こちらの予想を上回る人気を博した。
事前告知等はしていなかったため、行列にはそれほど影響しなかったものの、トンカツの注文率がとにかくすごい。
気まぐれ料理に興味を持った常連客がトンカツを頼み、その食事風景を見た他のお客さん達もトンカツを頼む流れが出来たようだ。
お客さんから話を聞いたカフィ達によると、常連客があまりに美味そうに食べるものだから我慢できなくなったということらしい。
その結果、トンカツの注文率は全体の五割を超え、新店フェス後に陥った〝半カレー屋状態〟ならぬ〝半トンカツ屋状態〟になったほどだ。
また、トンカツを食べたお客さん達からの味の評価も非常に良い。
肉と衣の美味しさもさることながら、特にソースの味が衝撃的だったらしい。
全メニューを知る常連客でも驚いた方が多かったようで、「是非またやってほしい」という声が多数寄せられた。
「レギュラー化を希望する声も多かったのですが……」
「メニューには加えないんですか、店長?」
「そうだな……」
店を閉めた後、ホール担当のカフェラテ姉弟の言葉を受け、俺は「うーん」と考える。
「元々はいろんな料理を出して、お客さんに楽しんでもらえればってのがきっかけだったからな。レギュラー化については深く考えてなかったけど……」
「それじゃあ、トンカツはレギュラー化しない感じですか?」
カフィはそう言うと、ぴょこんと猫耳を下げる。
従業員の中でもビアと並んでトンカツにハマっていたので、レギュラー化に期待していたのかもしれない。
その様子を見てというわけではないが、俺は少し考えて「いや」と返す。
「好評の度にレギュラー化するかどうかはわからないけど、トンカツは考えてもいいかもな」
「本当ですか!?」
「ああ」
現在のメニューはバランスを考えた構成なので、何でも正式なメニューに加えるつもりはない。
とはいえ、トンカツの味は既存メニューにないジャンルだし、クオリティにもかなり自信がある。
こうして、『シェフの気まぐれ料理』の導入日早々、その第一号であるトンカツのレギュラー化が決まった。
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