――――村上先生はイラストレーターとして活動してこられて、『癒し手』が初めての漫画連載であるというお話は第1回の冒頭でもお伺いしましたが、漫画を描くに当たって何か勉強はしましたか?
勉強らしい勉強は特に何も。確かに漫画を描いたことはほとんどなかったんですが、漫画そのものは好きで、とにかく大量に読んでいたんですよ。さらにイラストを描くようになってからは、漫画を読む時に「こう描くとこういう効果があるのか、イラストでも応用できるかもしれない」と考えたりして。画面構成からヒキやインパクトの大切さにも薄々感付いてはいたので、そういった蓄積を自分の漫画にも反映させていった感じです。
――――参考にしたジャンルは……。
子供の頃から「週刊少年ジャンプ」(集英社)を読んで育ったので、乙女成分を補給しなければならないと思って(笑)、少女漫画系でも主に「LaLa」(白泉社)や「ASUKA」(KADOKAWA)を参考にしました。レジーナは特にファンタジー世界を舞台にした女性向け作品が中心なので……。それでもコマの境目にホワホワ〜としたトーンを使ったりとかはできないんですが(笑)
――――漫画のお仕事ならではの苦労はありますか?
そうですね……漫画は終わりが見えないことですね(笑)。だってイラストは1枚で終わりなのに、漫画は20ページ以上あるんですよ!?
――――(笑)。作業にかかる時間が長いから、テンションが維持しきれないんですね。
そうなんです! 例えるならばイラストは跳び箱みたいな感じなんですよ。目の前にある箱を、勢いつけて跳べば終わり。だけど漫画は登山というか、山頂にたどり着くまでに準備が必要だし、登るのにも時間がかかるし……。実際の作業にそれほど時間がかかっている方ではないと思うんですが、とにかく勢い重視で進めているので、集中力が途切れてしまうと途端に「もうダメ……ここではないどこかに行きたい……」という具合になってしまうんです(笑)
――――逆に漫画のお仕事が、イラストのお仕事に及ぼした影響はありますか?
漫画を始めてから、ラノベのモノクロ絵の見せ方や表情が良くなったと褒めていただくことが増えました。やっぱり漫画はキャラを生き生きと動かす勉強になるんだな、と思いましたね。あと、カラー絵を描きたいという気持ちが漫画の作画作業中に蓄えられます(笑)。漫画を描いていると「カラー絵を描きたい、色を塗りたい!」という気持ちがどんどん高まっていくので、『癒し手』を納品後、カラーイラストに着手するともう楽しくて楽しくて(笑)。ジャンルの違う仕事を掛け持ちすることで気持ちを切り替えられるので、それが良いサイクルを生んでいるのかもしれませんね。
――――テンション的にも良い作用があるのが素晴らしいですね(笑)。では次回は担当さんを交え、漫画版『癒し手』が出来上がるまでの舞台裏について、ざっくばらんに伺えればと思いますので、よろしくお願いします!
ざっくばらんにですね、わかりました!(笑)。よろしくお願いします。
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