――――では、実際のネームを見せていただきたいと思います。第18話、グランマチスに旅立つ前のリィーンと、怪我から立ち直ったクモンのやりとりですが……かなりラフですね(笑)
自分の勢いをキープして進めたいので、頭の中に浮かんだことを忘れないうちに早く形にしようと思うとこうなってしまうんですよね(笑)
――――このページのネームを起こすに当たって、気を付けた点はなんですか?
うーん……右ページ冒頭のギャグ感ですね。クモンが辛い目にあった後なので、元気なところを見せてあげたいな、ということを意識しました。それと、クモンをデフォルメした後にかっこいいポーズを取らせることで、見せ方に緩急をつけました。『癒し手』は、ギャグっぽく見せる時は思いっきりコミカルにやっていますね。
―左ページは、めくった先のページへ読者の期待感を煽るヒキがメインですね。
そうですね。その次のページが、クモンがちゃんと立ち直ってる感じを見せるちょっと良いシーンなので、右ページから続けてコミカルな感じを保たせておいた方がメリハリがついていいかな、と。画面を誰の視点からにするか、コマごとになるべく切り替えたりするようにして、見せ方が単調にならないよう気をつけています。
―――クモンがかっこよかったり可愛かったり、というところがアクセントになりますしね。でもリィーンの感情の流れを軸にストーリーを追っていく形なので、視点や見せ方の切り替わりが多くてもすんなり読めるのが漫画版『癒し手』の良い点だと思います。
ありがとうございます! 漫画の『癒し手』は一人称でいこうと決めてますからね。そうでないと私がわからなくなるというか……初めての漫画連載で群像劇は無理かな、と。
――――でも右ページ4コマ目、これだとどんな忍者が出てくるか全然わかりませんね(笑)
我ながらひどい(笑)。このシーン、原作ではリィーンが「クモンは忍者だね」というようなことを長めに語っていたんですが、そこは漫画なので絵で説明する感じにまとめました。やっぱり漫画版は、漫画ならではの良さを押し出せるようにしたいんです。読者さんがもっとこの世界を濃く知りたいと思ったら、原作を手にとってもらえるようにしたくて。もちろんコミックスだけでも楽しめると思いますが、原作を読むと、このキャラはこの時こんなことを考えてたいんだ、というような新たな発見があると思います。
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