――それでは第3回は『癒し手』の作業工程を、実際の原稿に照らし合わせながらお伺いしたいと思います。まずはネームに取りかかる前、原作を読み込むところから始まると思いますが……。
『癒し手』の場合、最初に担当さんとコミックス1巻分に原作のエピソードをどこまで入れるか相談して、構成案を作成しているんですよ。なのでそちらに合わせて毎回、ネームに取りかかる前に原作を読んで、エピソードの量の見当をつける感じですね。これが実際に使っている原作本ですが(と言って小説を持ち出してくる)……たぶん日本で1番、『癒し手』を読み込んでいると言えるくらいの黄ばみ具合ですね(笑)
――――どれだけ原作と向き合ったのかが伝わりますね! 文字をネームに起こす際に苦労する点はありますか?
苦労は特にないかな? もともと本を読む時は頭の中に絵を浮かべながら、というタイプなので。ここからここまでで1ページくらいかな、と考えながら読んでいます。大ゴマで見せたい場面が浮かんだら、原作のページにわかりやすくキラキラマークを書き込んだりしていますね。
――――ネーム作業に集中できるのは自宅という方と、喫茶店等の外出先という方に大きく分かれると思いますが、村上先生はどちら派ですか?
断然、外出先派です。自宅から徒歩圏内に何軒かファミレスがあるので、原作本とiPadを持ち込んで一気に勢いを付けてやります。やるぞー! と気合を入れて、ガーッと集中して進めますね。
――――iPadでネームをされているんですね。
最初は紙に描いていたんですけれど、担当さんに携帯のスキャンアプリで撮影してお送りしていたので、解像度が低くて自分でも読みづらいし、何より手間がかかって……。今はタッチペンで直接、iPadに描いています。iPadだとマルチタスク機能で前のページが表示できるので、見開きでコマ割りがかぶらないかチェックするのも楽ですね。コマ割りは常に目線が動かされるような感じというか、読者さんを飽きさせない、描いてる自分も飽きない形にまとめたいと思っているので。
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