――最初に『癒し手』が初の漫画連載作品とお伺いしましたが、それまでに漫画を描いたことはありますか?
同人では合同誌で1、2回、10ページ前後の二次創作を描いたくらいですね。商業では「まんがタイムきららキャラット」(芳文社)さんからお声がけいただいて8ページ前後の4コマ漫画を読みきりで数回、「ソードアートオンライン」(川原礫/アスキー・メディアワークス/SAO Project)のアンソロジーで短編を数ページといった程度です。だから自分が20ページ超えの漫画を毎月描く依頼をよく受けたなって。
――そんな無茶かもしれない依頼を受けた理由は?
イラストレーターバブルは弾けると思っていたので(笑)。実家が裕福ではないので、食いっぱぐれるわけにはいかないと思っていましたし。なのでイラストも描ける、漫画も描けるということを自分の強みにしたかったんです。それとラノベのイラスト仕事で、モノクロに関しては刷り上がった時、もっと描き込んだと思ったのに絵の密度が低い、とがっかりすることが多かったんですよ。だからもっとモノクロの練習をしなくちゃ、と思っていた時で、仕上がりがどうなるのかは実際の印刷物で確認していかないと覚えられないんじゃないかと考えていたんです。
――なるほど、技術面を向上させたいという理由もあったんですね。原作付きということについてはどう思いました?
原作があって良かったです! むしろ原作があるからこそ、このお話が受けられたというくらいです。私はイラストレーターには、すごく深く世界観を考えてから絵を描く人と、与えられた情報の絵を描く人の2パターンがあると思うんですが、自分は後者なんですよ。オリジナルの仕事をいただいた時、キャラクターの名前や性格等の設定を聞かれてポカーンとしてしまったくらい(笑)。キャラの設定やストーリーありきで絵に起こしてるわけではないので、オリジナルの漫画は逆に向いてないと思います……。
――キャラクターの造形がすでにある作品をコミカライズするということに関してはどうでしたか?
まったく抵抗はありませんでした。趣味で好きなアニメの絵を描いていたということもありますし、元がありつつ自分なりに解釈して描くのが好きなんです。もともと二次創作のお仕事も多いので、結構似せるのは得意なんじゃないかと思っていたりします。
――では『癒し手』の依頼は、村上先生の志向にあったお話だったんですね。
そうですね! 普通は原作を読んでからお返事を差し上げると思うんですが、今お話ししたような理由もありましたし、あまり待っていただいても悪いな〜と思って、読む前にお受けするとご連絡しました。原作本はいただけるというお話だったんですが、一応私もネットで注文しておいたんですよ。そうしたら、お返事をした日に原作本が手元に届いたという……(笑)
――まるで見計らっていたようなタイミングですね(笑)。それでは第2回では漫画連載開始以降、今現在のお仕事の進め方を、具体的な執筆環境やスケジュール含めてお伺いできればと思います。よろしくお願いします!
はい、引き続きよろしくお願いします!
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