――まず、黒百合姫先生はお2人で活動されているコンビの作家さんだ、というところから読者の方に説明しないといけないですかね。
マナカ私が、ネームと仕上げ、あと女の子キャラ担当で……。
彩帆私は線画と男の子キャラを担当してます。
マナカ私のほうが柔らかいタッチなので、自然と女の子を担当するようになりました。
――お2人が漫画を描き始めたのはいつくらいですか?
マナカ漫画自体は物ごころついたときから描いてましたね。落書き帳に「新れんさい!」とか書いちゃって。新連載、くらいならまだいいけど、急に「れんさい29話!」とか書いたり。表紙描いたり付録作ったりもしてましたよ。
――じゃあ、小さいころから漫画家を目指してたんですね。
マナカ将来は漫画家になるもんだ、くらい思ってましたね。
彩帆私は漫画を描いてはなかったんですけど、小学生のときから絵画教室に通っていた、ふつうに絵が好きな女の子でした……。ところが、中学生からオタクな女の子に進化しまして現在に至ると。
――ちなみに最初に読んだ漫画は何になりますか?
マナカ父親が漫画好きだったのか、実家に父親が若いころ買ったらしい古いジャンプやサンデーがあって、絵本代わりにしてたんです。「よいこ」や「めばえ」(共に小学館)を読むような年頃から「まことちゃん」(楳図かずお/小学館)や「ブラックジャック」「七色いんこ」(手塚治虫/共に秋田書店)あたりを読んでました。
彩帆私は小学生のころは学年誌くらいですね。
マナカ当時の「小学一年生」(小学館)に「連載作家による『女の子の瞳の描き方』」みたいな付録があって、「漫画って人が描いてるんだ〜」と知ったくらいから、私は将来漫画家になるんだろうな、と。
彩帆実は、2人には共通のバイブルがあるんです。
マナカ「悪魔(デイモス)の花嫁」(原作:池田悦子/作画:あしべゆうほ/秋田書店)というホラー系の作品です。これは多分母親の趣味で。
彩帆うちにもなぜか1冊だけあったんです。
これがまたおもしろい作品なんですよ。なんなら最初はホラーでデビューしようと思ってたくらいでしたから。
――めっちゃ影響されてますね。
彩帆だからペンネームも一応、そんな雰囲気なんですよ。黒百合で姫ですから。
マナカ最初は別々のペンネームで同人誌を描いていたんですけど、ホラーを描くときにそれっぽいペンネームにしようという話になって。私が小学生の遠足のとき、地元の石川県に「黒百合の姫」※って怖い話があるとバスガイドさんから聞いたんです。それにちなんでペンネームをつけようってなったんですけど、私が勘違いしてて……。実はその話はお隣の富山県の話なんですよね。しかも姫の名前は黒百合ではなく早百合(さゆり)。彼女が黒百合にまつわる予言をしたって話なんですが、そこから取ったんですよ。
※編集部注「黒百合姫伝説」
越中(現在の富山県)を治めていた戦国武将、佐々成政の側室である早百合姫にまつわる伝承。他の男との密通の噂が流れ、激高した成政に殺された早百合が「立山に黒百合の花が咲いたら、佐々家は滅亡する」と呪いの言葉を残して絶命し、その言葉通り黒百合の花が原因となって佐々家は滅びたと言われている。
2人の出身地である石川県の県花が黒百合だからいいかな、ということで「黒百合姫」に決定しました。
マナカその後案外、爽やかな作品を描くことが多くなったんですけど、ペンネームは変えそびれてそのまま残っているという。
彩帆ペンネームに「姫」を入れるとか、今だとないわーと思うんですけど、ユニット名だからいいのかなーと。
マナカホラー漫画なら雰囲気があってすごくいい名前なんですけどね。
彩帆花言葉は「呪い」だっけ?
――まあギャップは大事ですから(笑)。昔の少女漫画家は、ホラーも描いてた人が多いですしね。他にも影響を受けた作品はありますか?
マナカあと影響受けたと言ったら……鳥山明先生ですかね。先生の作品に「HETAPPIマンガ研究所」(さくまあきら/鳥山明/集英社)という漫画の描き方がいろいろ載った本がありまして、基本的な漫画のお約束はすべてその本で学んだと言えるくらいです。
彩帆結構大事なことが書いてあるんですよね。
――今なら電子書籍版がありますね。じゃあ、鳥山明先生と……デイモスがお2人のルーツってことですね。
彩帆そこもやっぱりギャップが激しいですね(笑)
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