――続いて1ヶ月の仕事の流れをうかがっていきます。
「月が導く」の仕事の合間に、他社の仕事や娘が通っている幼稚園のPTA本部の仕事が入ってくるので、毎月同じ調子ではないのですが……私はネームに時間がかかるタイプだと思います。
――木野先生のネームは、人物も背景もしっかり描き込みがされていて、一見して完成度が高そうですが……?
編集さんに「ネームできました」といって渡してはいますが、実は下絵まで入れた段階で渡しています。1回絵を入れてみないと、そのネームがちゃんとできているのか、自分ではよくわからないんです。編集さんに「ここはどうなっているの?」とか指摘された時に、「私もよくわからないんです」みたいなことになりかねないので……。下絵は2〜3日で入れられるので、たとえ少し遅くなったとしても、自分で納得しているものを提出した方が最終的には早いように思っています。
――それでここまで描き込まれているんですね。でも、大きな修正が入ることになったら、かなり大変だと思いますが?
下絵を描き直すのは全然問題ないです! それに忘れっぽいから、ラフな状態のネームだと、後々何を描きたかったのかわからなくなるんです!
――なるほど。それがご自身に合ったやり方なんですね。
ネームにOKをいただいたら、すでに入れてある下絵をさらに整えつつ、ペン入れをします。そして最後は仕上げですね。時間があればあっただけ、描き込みたくなってしまうので、いつも締切ギリギリまで作業していますね。仕上げはだいたい2日くらいかかるので、逆算しながら作業をしています。
――それでは、最も作業が難航した時の1ヶ月を振り返ってください。
「月が導く」の第11話を描いていた時が大変だったです。この時は、編集さんにネームを提出する前に、3回くらい最初から作り直したので、本当に時間がかかってしまいました。4月から5月にかけての時期で、PTAの引き継ぎやら家庭訪問やら、子供の学校関連の用事もいろいろ入っていて、空いた時間を見つけながら描くみたいな感じでした……。
――それは大忙しでしたね……。
PTAの役員は、私の時はくじ引きで当たった人がやることになっていたのですが、連載のお仕事をしているこのタイミングで、まさか当たりを引くなんて……! 変なところで引きが強いのは、「月が導く」の主人公・真と通じるものがあるかもしれないですね(笑)。いろいろな方にご迷惑をかけてしまいますが、PTA本部の方たちはみなさんユニークで、いいご縁ができたと喜んでもいます。
――休日はどのようにとっているのですか?
休みという休みはとれてないです。漫画を描かない日はあっても、家事をみっちりやって1日が終わったりとか。でも、絵を描けていれば幸せなので大丈夫です(笑)。たまにPTAの行事の打ち上げ会に呼んでいただいて、リフレッシュしたりするくらいですね。
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