――では、プロ漫画家になりたいと志している方に向けて、アドバイスをいただけますか?
イゾ私たちの頃は同人誌くらいでしたが、今はWebもありますし、漫画を発表できる場所がたくさん広がっています。プロを目指している方は、どんどん発表してアピールをしていただきたいですね。私の個人的な感覚ですが、編集さんはそういうアピールを意外に見てくれているように思います。
なおそのためにも、とにかくまず作品を描き上げることが大事です。
イゾ明確な締め切りがない中で作品を完成させるのって、私もそうですが、誰にとってもきつい作業だと思うんです。特に1本目のオリジナル作品のネームを描ききるのが難しい……。アマチュアで締め切りに追われていない方は、みんな「完成したら持っていくよ」って言うんです。「今、途中まで作っている大作があるけど、冒頭の部分を何回も描き直している」とか。でも私は、まず描き上げることの方が大事だと思います。一度でも完成させられたら、自信につながるし。それができたあと、コミックを規定のページ内に収めることや、内容をよりよくする練習をすればいいと思います。
なお自分も、決められたページに収めるスキルを身につけたのは、デビューしてアンソロジーのお仕事をいただけるようになってからでした。ラストには必ずオチをつけるとかも(笑)
――なるほど。たしかにオチは大事ですね(笑)
イゾそれから、自分に妥協するとあとでがっかりするので、作画は最後まで集中力を切らさないようにすることでしょうか。それと描き上がったら原稿を見直して、自分と向き合うこと。
なお描いたものを見直す人と見直さない人だと、その先の上達度が全然違うように思います。自分と向き合い、さらに自分を追い込む作業は、プロになってからも絶対に必要です。
イゾそういう反省会のような時間は必要ですね。もちろん私も、今でも自分で原稿を見直しています。完成した時には「すごくよく描けた!」と思っていたけど、配信されたコミックを読んで「あれ? そうでもないかも」って思うこともよくあるんです……。
なお自分も完璧にできたって思えることはないですね。必ず「次はこう描いてやろう」って思う。
――そう考えると、反省は描き続けるためのモチベーションにもつながっているかもしれませんね。ちなみにおふたりが、プロ漫画家になったと思えたタイミングはいつでしたか?
イゾアンソロジーで生活できるようになり、アシスタントの仕事をしなくなったあたりかなと思います。……いえやっぱり、初めて連載のお仕事をさせていただいた「M.F.C.女泥棒会社峰不二子カンパニー」(原案:モンキー・パンチ/双葉社)の頃ですね。アンソロジーも、もちろん責任を持って全力で描かせていただいていましたが、二次創作ではあるので、連載作品ほどの心構えはなかったように思います。
なお自分は「魔弾戦記リュウケンドー」(原作:「魔弾戦記リュウケンドー」製作委員会)の時です。初めての連載ということもありますが、商業の漫画雑誌に掲載されたことの方が大きかったです。そうそうたる先生方のお名前が並ぶ中に、自分の名前も入れていただいたので。
イゾ樋口大輔先生とのお付き合いは、それがきっかけだっけ?
なお樋口先生は、仮面ライダーシリーズのコミカライズが載った「テレビマガジン別冊ヒーローズ」(講談社)という雑誌が縁です。コミックマーケットの会場に樋口先生がいて、思い切って声をかけたんです。そうしたら、樋口先生も自分の作品を読んでくださったそうで、 そこから仲良くしていただけるようになりました。そういう横のつながりで、同業者の友人・知人が増え始めたのも、プロの実感につながったのかな、と思います。
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