漫画家へGO プロ漫画家インタビュー

No. 5
異世界を制御魔法で切り開け!
藤沢真行先生
平兵士は過去を夢見る
鈴木イゾ先生

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第4回 藤沢真行先生&鈴木イゾ先生×担当編集のフリートーク

今でも役立つ! アシスタント現場でふたりが学んだテクニック

――続いておふたりは、同人活動を始めてアンソロジーコミックでデビューしましたが、イゾ先生は「金田一少年の事件簿」(原案・原作:天樹征丸/原作:金成陽三郎/講談社)の作画をされていた、さとうふみや先生のアシスタントをされていましたよね?

イゾ

そうですね。さとう先生の現場は週刊連載ですから、仕事をいかに効率的にこなすかが特に重要なテーマでした。原稿を早く上げるための知恵やら抜け道やら、実践的なテクニックをいろいろ学ばせていただきましたが、なにより先生にはすごくよくしていただいて……。

なお

いろいろ親身になってくれる先生だったんだよね。

イゾ

もともと新人を育ててくれる先生ということで、紹介していただきました。ネームを先生のところに持っていくと、お忙しいのにいろいろアドバイスしてくださるんです。左ページの終わりには、次のページに期待を持たせるようなコマを持ってくるとか、漫画を描くうえで身につけておくべき基本も優しく教えてくれて……。当時の私にとっては、すごく勉強になりました。

――さとう先生のもとで働いていたのは、2年ほどとうかがっていますが?

イゾ

はい。2年間修業して思ったのは、漫画の勉強にはとてもいい環境だけど、やっぱり自分で作品を描きたいなということでした。それで改めて、どんな仕事でも自分に依頼されたものをやっていこうと思ったんです。といっても生活費も必要なので、自分の仕事をメインにしながら、フリーで臨時アシスタントをやっていました。急に名古屋の先生のところに行くように頼まれて、そこから3日間泊まり込んだり、なかなかに波乱万丈でしたね(笑)

――アシスタントは合計すると、何年くらいやっていらしたのでしょう?

イゾ

さとう先生のところも合わせると、5〜6年くらいですね。すべてアナログの現場でしたが、作業環境やシステムがそれぞれ違うので、驚きもあったりしておもしろかったです。「家政婦は見た!」みたいな感じですね(笑)。フリーのアシスタントを続けるうちに、どんな場所でもひと通り対応できるようになったのも収穫でした。

――なお先生も、アシスタントのご経験がおありですよね?

なお

臨時アシスタントとして、様々な先生のところにちょこちょこお邪魔していました。時期は2005年あたりまでですね。その中でも印象的だったのは、麻宮騎亜先生の現場です。当時は「聖獣伝承ダークエンジェル」(角川書店)や「サイレントメビウス テイルズ」(スクウェア・エニックス)の連載をなさっていて、たった一年間でしたが毎月一週間ほど泊り込みで通っていました。自分もイゾも、アシスタントはフルアナログでやっていたので、先生のお仕事場に通うのが基本だったんです。

――当時の思い出話を聞かせてください。

なお

実は、麻宮先生とは対面する機会があまりなかったんです。作業の体制がしっかりと組み上がっている現場で、先生が仕事をされている間はアシスタントが寝て、アシスタントの作業中は先生が寝るシステムでした。仕事の割り振りや簡単なチェックまでなら、チーフアシスタントの方がやるから、先生から直接指示を受けることはほぼなかったです。あ、でも初日にガッツリ、直接指導を受けました。力量とコミュニケーション力を測るためだと思うのですが、集中線やティーカップ、岩などを描いて見ていただきましたね。

――分業体制がしっかりした現場だったんですね。

なお

はい。たまに先生とお会いすることがあっても、映画の「エイリアン」(20世紀フォックス)なら何作目が好きか、とか趣味の話ばかり(笑)。先生の仕事場には、「サイレントメビウス」(角川書店)や「快傑蒸気探偵団」(集英社)など、ご自身の作品のガレージキットをガラスケースに入れて並べている場所があったんです。しかも、造形家さんたちがみずから組んで塗装した完成品ですからね……。先生の作品もガレージキットも好きだったから、休憩時間によく眺めていました。

――ファンにはたまらない仕事場ですね!

なお

素晴らしい環境でした。ただ、あくまで仕事で通っていたので、先生のファンだとは公言していなかったんです(笑)。現場で直接指導を受けたことはあまりなかったけど、効率的な分業の仕方やスケジュール管理、その他もろもろ、今でも麻宮先生の現場で学んだことの多くを実践しています。

コミック「制御魔法」と「平兵士」のキャラクターデザイン画。アシスタントは漫画の基本と実践テクニックが学べるけれど、キャラを描くのは自分自身の力!
なお

もちろんそれだけではないですが、アシスタントで身につくスキルは効率面、つまり作業時間を短縮するテクニックみたいなものが多いと思います。アシスタントをやったからといって、画力が急激に上がったり、急にネームがうまくなったりするということはあまりないですし……。

イゾ

アシスタントをすれば、漫画を作るうえでの基本は学べると思います。背景もうまくなれますが、ネームを作ったりキャラクターを描いたりはしないので、そのあたりは個人で頑張ることが大事だろうなって思いますね。

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