三千六百夜王物語り

 あるところに語り部がいた。根無し草の旅芸人。彼が風のようにひょうひょうと人々の中に入っては、歌うかのように語る『物語』がある。『三千六百夜王』の物語。語り部王は伝え説く。愛の物語を。その声は常に、『真かどうかを見極めてごらん』と、お客を試しているかのよう。

物語は誰がために?人生は上げては落とされる舞台劇。

切なさでは終わらせまいと、語り部王は舞い踊る。
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