第1回歴史・時代小説大賞
選考概要
編集部内で大賞候補作としたのは、「無職ニートの俺は気が付くと聯合艦隊司令長官になっていた」「山本五十子の決断」「絵師春秋」「鬼の棲む家」「虚勢剣燕雀」「大江戸棋客伝~将棋に生きた女たち」「狼の裔」「平九郎と姫」の8作品。
選考の結果、いずれもそのまま出版化するのは難しいと考え、編集部内で支持の高かった「鬼の棲む家」「狼の裔」の2作を特別賞に選出することとした。
「鬼の棲む家」は、父親を罪人として処断されたヒロインが、父を殺したという男のもとに引き取られて過ごす日々を描いた作品。父の仇である男に嫌悪や憎悪を抱きながらも惹かれていくヒロインの葛藤が克明に描写されており、ストーリーとしての完成度が高かった。
「狼の裔」は刺客の子として生まれた主人公が、父と旅する中で一人前の刺客に成長していくというストーリー。第三者視点の語りを交えながら、淡々とした中にも研ぎ澄まされた緊張感や登場人物たちの息遣いが感じられ、今後の展開に期待がもてる作品だった。
また受賞には至らなかったが、「虚勢剣燕雀」は高い筆力で時代の雰囲気や勝負の緊張感が描かれ、ストーリー構成も見事だった。ただ、短編であるという点で相対的に評価を下げた。
「絵師春秋」は江戸時代の日常がコミカルに描かれていた点は良かったが、「枕絵師」という主人公の設定をもっと活かす工夫と、ストーリーの奥行きが欲しかった。
「山本五十子の決断」も読者を引きつける設定やキャラクターが魅力的で、読みやすい作品だったが、文章がやや冗長でストーリーの展開が遅いことがマイナスとなった。
なし
無職ニートの俺は気が付くと聯合艦隊司令長官になっていた
鬼の棲む家
巧みな文章で時代小説の雰囲気がよく演出されていました。ヒロインである雪花が苦悩・葛藤する描写が丁寧でストーリー展開もわかりやすく、普段、時代小説に馴染みがない読者にも読みやすい作品に仕上がっている点が編集部内でも高く評価されました。
狼の裔
ストーリーがよく練られ、読者を引きつける力のある作品でした。第三者視点で語られている「峠雨」と「蒼い月」は主人公親子だけでなく、語り手やその家族の生き様も感じられ、物語の厚みを増しています。主人公が成人した後の展開が楽しみです。
※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。
ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。目を引く設定に加えて登場人物がいずれも個性的で、楽しく読み進めることができました。時代小説好きに限らず、幅広い読者に支持されたのではないかと思います。