第11回ドリーム小説大賞
選考概要
前回の応募数を上回るエントリーとなった、第11回ドリーム小説大賞。編集部内で最終候補としたのは、「たまき酒」「おっさんとJKが、路地裏の大衆食堂で食べるだけ」「冴えない俺と、ミライから来たあの娘」「まがり角のウェンディ」「女装スナック『マーブル』へようこそ」「消失病 ~キミが消えたあの夏の日~」の6作。
その後の検討の結果、いずれの作品も個性的な魅力はあったものの、残念ながら商業的ニーズを満たした大賞にふさわしい作品は見当たらず、選考員の評価が高かった「たまき酒」「消失病 ~キミが消えたあの夏の日~」の2作を特別賞に選出することとした。
「たまき酒」は、小説家の主人公「環」と上京したての妹「いのり」が美味しいお酒と料理を楽しむ様子を描いた物語。さりげない日常を「食」で彩る二人の暮らしが丁寧に描かれていた。作品に流れる優しくほのぼのとした雰囲気が心地よく、ついつい一緒にお酒を飲みたくなるような描写が秀逸だった。
「消失病 ~キミが消えたあの夏の日~」は、『消失病』を患う主人公と、彼に恋する幼馴染の少女の二つの視点で描かれるひと夏の物語。近い将来いなくなってしまう幼馴染に恋心を抱く少女の、苦悩や心の揺らぎが繊細なタッチで描かれていた。また『消失病』という設定が作品構成に活かされている点が評価された。
なし
クズ...自殺により入れ替わった伝説の不良は今の虐めに戸惑う!
たまき酒
美味しいお酒と料理を楽しむ姉妹の暮らしが丁寧に描かれていました。日常的にお酒を嗜む姉と、初めてのお酒に挑戦する初々しい妹の対比が印象的で、それぞれのキャラクターに感情移入しながら読み進めることができます。また、「食」の楽しみを再確認することができました。
消失病 ~キミが消えたあの夏の日~
『消失病』に抗おうとする少年少女の懸命な姿が瑞々しいタッチで描かれていて、いずれ訪れる別れの瞬間に切なさを覚えつつも、読後には優しく爽やかな気持ちになれました。『ひと夏の物語』を感じさせる空気感やどこか懐かしい情景描写が、じんわりと心に沁みる味わい深い作品です。
※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。
ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。敵対する存在を徹底的に叩きのめすなど少し過激な一面を持つ一方で、身内に対しては情が厚いという、主人公の深みのあるキャラクター性が魅力的な作品でした。次々と巻き起こる復讐もスピーディーで、その爽快感に読者も引き込まれたのではないかと思います。