第6回ドリーム小説大賞
選考概要
編集部内で大賞候補作としたのは、「モザイクの月」「真鶴さんには関係ない」「暗闘・凛王戦 ~ヤミ将棋棋戦の行方~」「トッケイくんが、笑う」の4作品。
選考の結果、いずれもそのまま出版化するのは難しいと考え、編集部内で支持の高かった「真鶴さんには関係ない」「トッケイくんが、笑う」の2作を特別賞に選出することとした。
「真鶴さんには関係ない」は、小さな設備会社の看板猫「真鶴さん」の周囲を取り巻く人々のドタバタを温かく切り取った作品。どことなくふてぶてしい真鶴さんが実は皆の心の拠り所として存在している様子が巧みに描かれており、そのほのぼのとした雰囲気に好感が持てると評価が高かった。
「トッケイくんが、笑う」は、日常と非日常の狭間を淡々とした文体で描いた良作。主人公の女性の部屋に棲みついた家守(ヤモリ)という少し不思議なモチーフを効果的に登場させることで、作品全体にやわらかな緊張感を与え、読者を最後まで飽きさせない独特な世界観を創り上げている点が良かった。
なし
領主を継いだので好き勝手やってみた
真鶴さんには関係ない
飼い猫「真鶴さん」の周囲の人々の関係性が温かみのある筆致で、丁寧に描かれている点が魅力的でした。また構成も巧みで、ほんわかした雰囲気を壊すことなく、物語がテンポ良く展開されていると思います。老若男女問わず、幅広い層が楽しむことができる作品だと感じました。
トッケイくんが、笑う
家守(ヤモリ)を重要キャラクターとして据える着眼点が独特で、壁を這い回るもの言わぬヤモリが実は家人を見守っていたということが、何ともいえない味わいを読み手に与えてくれたと思います。また、兄の正体をめぐっての二重三重の仕掛けなど、ストーリーを組み立てる巧みさが光っておりました。
※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。
ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。領主を引き継ぎ、「好き勝手やる」と言うものの、領民思いの行動ばかり取ってしまう偽悪的な主人公に魅力を感じます。また、家来や側近との掛け合いも軽快で読者を引き込む力のある作品だと思いました。