第5回ほっこり・じんわり大賞
選考概要
615作の応募があった、第5回ほっこり・じんわり大賞。ほっと心温まるお料理ものや、家族の情愛を描いたストーリー、恋や友情をテーマにじんわり涙を誘う物語など、多彩な作品が集まるなか、一次選考を通過したのは21作。
その後、さらに検討を続け、最終的に大賞候補としたのは「生まれ変わったら彼氏の息子でした」「小料理屋はなむらの愛しき日々」「幽霊居酒屋『ゆう』のお品書き」「ダブルファザーズ」の4作品。
選考の結果、僅差であったが編集部内で最も支持を集めた「小料理屋はなむらの愛しき日々」を大賞に選出。大賞には一歩及ばなかったものの、まさにじんわり心を揺さぶる2作「幽霊居酒屋『ゆう』のお品書き」と「ダブルファザーズ」を涙じんわり賞とした。残念ながら心ほっこり賞と優秀短編賞については該当作はなしとなり、また最終選考に残ったものの、惜しくも受賞に至らなかった作品を奨励賞とした。
「小料理屋はなむらの愛しき日々」は、母と娘で営む大阪の小料理屋で、お客さんたちの悩みを美味しい料理で癒すお話。常連客とのやり取りが微笑ましく、登場人物の心の拠り所としての『小料理屋はなむら』が魅力的に描かれていた。
「幽霊居酒屋『ゆう』のお品書き」は、失恋した男子大学生の主人公が『幽霊居酒屋』に迷い込み、美味しい料理と幽霊たちとの交流を通して、心の傷を癒していく物語。居酒屋に集まる幽霊たちとの掛け合いが軽妙に描かれ、各キャラクターの個性が光っていた。
「ダブルファザーズ」は、二人の父親に育てられた女子中学生の主人公が、自らの出生の秘密に迫るストーリー。設定のキャッチーさに加え、個性的な二人の父親と、各登場人物の繊細な心情が緻密に描かれ、衝撃的なラストは涙を誘った。
小料理屋はなむらの愛しき日々
生まれ変わったら彼氏の息子でした
ポイント最上位作品として、”読者賞”に決定いたしました。縦読みカラーのブロマンス漫画で、命を落とした主人公が元恋人の息子として転生するという設定が新しく、目を引く作品でした。生まれ変わっても一途に幸せを願う姿が読者の評価を集めたのではないでしょうか。
幽霊居酒屋『ゆう』のお品書き
主人公が失恋し『幽霊居酒屋』に迷い込んでから、前向きで素敵なエンディングにたどり着くまでを、連作短編の形を取りながら見事に描き切っており、物語の構成が上手な作品でした。また個性豊かなキャラクターたちとの会話も楽しく、居酒屋に立ち寄りたくなります。
ダブルファザーズ
二人の父親のキャラクターがそれぞれ個性的で、彼らと、まっすぐな性格の沙織とのやり取りはとても魅力的でした。また、結末部分では、複雑な家庭を理解し支えていこうとする、周囲の人々のやさしさに心を打たれました。家族の絆の美しさを感じることができる、素敵な作品です。
※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。
小料理屋の優しい雰囲気が伝わってきて、一つ一つのエピソードにほっこりしました。描かれていないこの先のキャラクターたちの幸せな日常を、思わず想像してしまう素敵な作品です。また大賞のテーマを捉え、自分のものとして巧みに表現しており、大変楽しく読ませていただきました。