ミステリー小説大賞
選考概要
初回の選考より、選考にあたった編集部員全員が一致し「蛟堂報復録」を大賞候補の筆頭に推した。その後、さらに深く吟味・検討した最終選考の場でもそれは変わらず「蛟堂報復録」の大賞受賞がすんなりと決定した。実在する古書の登場人物を現世に表出させることにより報復を完遂するというその新鮮なアイデアがまず素晴らしいと評価された。そのほかに最終候補作としてあがったのは「命のかぎり」「桜に薬指」「探偵生命体ネクスト」「こばるびより探偵日記」。出版化の可能性のある作品を選考するという観点から応募作の中より選出された。
応募総数
66作品
開催期間
2008年07月01日〜末日
砂丘の塔
編集部より
ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。導入の強烈なインパクトのある内容と、そこから先のミステリー展開に至る自然な流れは見事だと思います。謎解きの要素も明解で、また、キャラクターもそれぞれがわかりやすく描かれていて、編集部としましても大変たのしく拝読できました。話に引き込まれる作品で、読者の方々の支持を多く集めた“読者賞”の受賞は大いに納得できるところです。これからの作品にも、期待しております。
投票ユーザ当選者
投票総数
112票
当選
10名
古い書物を題材にして、その登場人物を使い依頼を受けた報復を完遂するアイデアは、非常に斬新でした。冒頭から、舞台となる「蛟堂」や隣の古書店「幻影書房」から立ち上る古く妖かしい雰囲気が、この一風突飛な小説世界にすんなりと心地よく入らせてくれました。主人公の蛟堂店主は癖が強く個性的な魅力があり、その他の登場人物も各々造形がしっかりと描かれ、また物語の構図も明快で、純粋に娯楽として楽しめる作品であると思います。ただ、出版化を考えるとこのままではさらっとしすぎていて物足りなさを感じるため、著者と相談しながらそこを解消し、是非とも出版化の道を探っていきたいと考えております。