第4回ホラー小説大賞
選考概要
編集部内で一次選考において大賞候補作としたのは「Beku -君の影を-」「釈迦ノ脳髄」「死がわたしを分かつまで」「さよなら、マルオ君。」の4作品。残念ながらそのまま出版ができると判断した作品はなく、議論の末、編集部内でより評価の高かった「Beku -君の影を-」「釈迦ノ脳髄」を特別賞として選出した。「Beku -君の影を-」は田舎の因習を背景にした伝奇ホラーで、文章、構成とも非常に上手く、完成度の高い作品だった。あえて言えばまとまりはあるのだが、読者をぐいっと引き込んでいく力強さという面で若干物足りなさを感じた。逆に「釈迦ノ脳髄」はストーリーは粗削りだが非常に読ませる力をもったスピード感のある作品だった。インターネットならではの内容が魅力なのだが、出版を検討するには、その描かれたネット世界の描写がやや古い時代の匂いのするものであり、そこが残念だった。
なし
ひより様、××ですわ♪
Beku -君の影を-
冒頭は青春小説のような雰囲気で、作品の世界に入り込みやすく、そこからじわじわと禍々しい雰囲気が増していく展開には、作品としての完成度の高さを感じました。ヒロインの少女と少年、家族など彼女をとりまく人達との心の交流も読み応えがあり、そこにひきつけられた読者も多いだろうと思います。
身体に生えてきた「芽」の観察ブログというネットならではの展開で、とにかく続きが気になり、一気に読んでしまいました。現象の不気味さとそのブログにコメントを寄せる人々のユーモラスな言動との落差が、物語を盛り上げていたと思います。後半明らかになる謎も、ネット、ブログの性質を活かしており、ネットで読む小説ならではの楽しさがある作品だと感じました。
ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。とにかくテンポがよく、勢いがある作品でした。強烈な個性のキャラクターも魅力的で、さらに読者へとせまりくる迫力あるシーンも存分に盛り込まれた、大変エンターテイメント性の高い作品だと思いました。