39 / 81
第四章 バーンシュタット魔法道具店 開店
第三話 開店前にやるべき事
しおりを挟む
開店前にやるべき事があります。
それは…商店街の各店の挨拶回りです。
ポーションを販売するに当たって買い求めるお客様は後を絶たないという話ですが…?
あまりにも行列が出来すぎて他店の店の前にも並んだり、対応を遅いと感じて騒ぎ立てる者もいなくは無いという話なので、事前に挨拶をして理解をして貰おうというものです。
…と、商家の息子だったソーマの助言です。
「リアーナ…周囲の店に挨拶を会いに行く時に、まさか手ぶらで行く訳じゃないよね?」
「え?」
「やっぱりか…元貴族様だとそういった事情には疎いんだね。」
「ちょ、ちょっと待って! 私が元貴族って話した事があったっけ? あ、パテット⁉︎」
「パテットからは何も聞かされていないよ。 言葉遣いや仕草が平民とは違うと思ったからね、僕の実家は商家だったから…お貴族様も足を運んでいたんだけど、リアーナはそれに近い作法がたまに見えていたからね。」
ブリオッシュに教えられながら標準語を学んでいたつもりだったけど…?
こんな所でボロが出ていたかぁ~!
「ギルやギャレッドは気付いてないと思うけど、メルーファやレイヴン辺りは気付いているんじゃないかな? あの2人も貴族だしね。」
ソーマに見破られていた時点で考えると、確かにレイヴンにはバレていてもおかしくはないわね?
メルーファは表情が読み取れないから、分かっているのかが謎だけど?
「手土産かぁ…そこまで考えていなかったけど、手土産として持って行くのなら何が良いかな?」
「無難な物を選ぶとしたら…ポーション辺りが妥当じゃないかな? リアーナは鑑定魔法が使えるでしょ?」
「う、うん…って、何で知っているの⁉︎」
ソーマは溜め息を吐きながら言った。
「リアーナの依頼を手伝う際に、高級食材のキノコを1発で見ただけで当てた事があったよね?」
「うん…」
まだランクE時代の時に、レストランの依頼で高級食材のキノコを持って来るというものがあって、ソーマに手伝ってもらった事があった。
「あの時に高級食材のベノグサボンドダケを1発で見抜いたでしょ?」
「あーうん、覚えているわ。」
「並んで生えていた毒キノコのベノグサベングダケには一切目もくれずに…」
「うん。」
「あの2種類のキノコは表面から見ただけでは全く区別する事ができずに…狩猟者でもある方法を行って初めて分かるというのに、リアーナは表面だけ見て言い当てた。 薬草学に詳しいと一目で分かるのかとも思ったんだけど…でも採取した時に初めて見たと言っていたから、鑑定魔法が使えるという事を前提に考えればそうじゃないかと思ったんだよ。」
「あ…うん、鑑定魔法を持っているけど…良くそれで行き着いたわね?」
「僕の父親も鑑定魔法が使えたからね、だからもしかして…と思ってね。」
迂闊…乙女の秘密がこんな事でバレてしまうとは。
ソーマって一見ポヤンとしているけど、見ているところはしっかりと見ているんだね。
「それで鑑定魔法とポーションがどう繋がるの?」
「各お店の店主さん達は、朝早くから開店する迄用意をして、店を閉めても翌日の仕込みをする為に夜遅くまで作業をしているんだよ。 そこでリアーナが店主さん達に鑑定魔法をして、その治療薬としてポーションを渡すのが良いと思ったんだよね。」
お店をオープンする為に、私はグリモアールを開いて色々調べていた。
当初の予定では…回復ポーション上中下に毒や麻痺の治療ポーション、狩猟用の神経毒や猛毒薬迄だったけど、女性の肌ケアに必要な化粧水の他に…肩凝りや腰痛などの生活習慣病を治療するポーションまで作り出した。
乳液や化粧水などならともかく…生活習慣病を治療するポーションなんて売れるのかとも思ったんだけど、試作品という事で挨拶回りの手土産には丁度良いのかな?
私は生活習慣病を治療するポーションをソーマみ持って貰うと、各店に宣伝とお世話になるという事を言いながら鑑定をして、要所に効くポーションを渡して行った。
手土産のポーションは皆に喜ばれた。
ボルグワーツ雑貨店の親父だけは、ポーションを売りたがっていたけど。
飲まないのなら返して欲しいと告げると、ボルグワーツはしぶしぶと飲んだ後に治療ポーションは回復ポーションとは違う事を実感している様だった。
これで挨拶回りが終わってから店に戻った私達は、ブリオッシュの入れてくれたお茶を飲みながら一息付いていた。
これで…全てが終わったと思っていたんだけど?
開店前に厄介事が待ち受けるのだった。
それは…商店街の各店の挨拶回りです。
ポーションを販売するに当たって買い求めるお客様は後を絶たないという話ですが…?
あまりにも行列が出来すぎて他店の店の前にも並んだり、対応を遅いと感じて騒ぎ立てる者もいなくは無いという話なので、事前に挨拶をして理解をして貰おうというものです。
…と、商家の息子だったソーマの助言です。
「リアーナ…周囲の店に挨拶を会いに行く時に、まさか手ぶらで行く訳じゃないよね?」
「え?」
「やっぱりか…元貴族様だとそういった事情には疎いんだね。」
「ちょ、ちょっと待って! 私が元貴族って話した事があったっけ? あ、パテット⁉︎」
「パテットからは何も聞かされていないよ。 言葉遣いや仕草が平民とは違うと思ったからね、僕の実家は商家だったから…お貴族様も足を運んでいたんだけど、リアーナはそれに近い作法がたまに見えていたからね。」
ブリオッシュに教えられながら標準語を学んでいたつもりだったけど…?
こんな所でボロが出ていたかぁ~!
「ギルやギャレッドは気付いてないと思うけど、メルーファやレイヴン辺りは気付いているんじゃないかな? あの2人も貴族だしね。」
ソーマに見破られていた時点で考えると、確かにレイヴンにはバレていてもおかしくはないわね?
メルーファは表情が読み取れないから、分かっているのかが謎だけど?
「手土産かぁ…そこまで考えていなかったけど、手土産として持って行くのなら何が良いかな?」
「無難な物を選ぶとしたら…ポーション辺りが妥当じゃないかな? リアーナは鑑定魔法が使えるでしょ?」
「う、うん…って、何で知っているの⁉︎」
ソーマは溜め息を吐きながら言った。
「リアーナの依頼を手伝う際に、高級食材のキノコを1発で見ただけで当てた事があったよね?」
「うん…」
まだランクE時代の時に、レストランの依頼で高級食材のキノコを持って来るというものがあって、ソーマに手伝ってもらった事があった。
「あの時に高級食材のベノグサボンドダケを1発で見抜いたでしょ?」
「あーうん、覚えているわ。」
「並んで生えていた毒キノコのベノグサベングダケには一切目もくれずに…」
「うん。」
「あの2種類のキノコは表面から見ただけでは全く区別する事ができずに…狩猟者でもある方法を行って初めて分かるというのに、リアーナは表面だけ見て言い当てた。 薬草学に詳しいと一目で分かるのかとも思ったんだけど…でも採取した時に初めて見たと言っていたから、鑑定魔法が使えるという事を前提に考えればそうじゃないかと思ったんだよ。」
「あ…うん、鑑定魔法を持っているけど…良くそれで行き着いたわね?」
「僕の父親も鑑定魔法が使えたからね、だからもしかして…と思ってね。」
迂闊…乙女の秘密がこんな事でバレてしまうとは。
ソーマって一見ポヤンとしているけど、見ているところはしっかりと見ているんだね。
「それで鑑定魔法とポーションがどう繋がるの?」
「各お店の店主さん達は、朝早くから開店する迄用意をして、店を閉めても翌日の仕込みをする為に夜遅くまで作業をしているんだよ。 そこでリアーナが店主さん達に鑑定魔法をして、その治療薬としてポーションを渡すのが良いと思ったんだよね。」
お店をオープンする為に、私はグリモアールを開いて色々調べていた。
当初の予定では…回復ポーション上中下に毒や麻痺の治療ポーション、狩猟用の神経毒や猛毒薬迄だったけど、女性の肌ケアに必要な化粧水の他に…肩凝りや腰痛などの生活習慣病を治療するポーションまで作り出した。
乳液や化粧水などならともかく…生活習慣病を治療するポーションなんて売れるのかとも思ったんだけど、試作品という事で挨拶回りの手土産には丁度良いのかな?
私は生活習慣病を治療するポーションをソーマみ持って貰うと、各店に宣伝とお世話になるという事を言いながら鑑定をして、要所に効くポーションを渡して行った。
手土産のポーションは皆に喜ばれた。
ボルグワーツ雑貨店の親父だけは、ポーションを売りたがっていたけど。
飲まないのなら返して欲しいと告げると、ボルグワーツはしぶしぶと飲んだ後に治療ポーションは回復ポーションとは違う事を実感している様だった。
これで挨拶回りが終わってから店に戻った私達は、ブリオッシュの入れてくれたお茶を飲みながら一息付いていた。
これで…全てが終わったと思っていたんだけど?
開店前に厄介事が待ち受けるのだった。
11
お気に入りに追加
2,314
あなたにおすすめの小説
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
婚約者の妹が悪口を言いふらしていたために周りからは悪女扱いされ、しまいに婚約破棄されてしまいました。が、その先に幸せはありました。
四季
恋愛
王子エーデルハイムと婚約していたアイリス・メイリニアだが、彼の妹ネイルの策により悪女扱いされてしまって……。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
(完結)婚約破棄ですか…いいでしょう!! おい国王! 聞いていましたね! 契約通り自由にさせてもらいます!!
にがりの少なかった豆腐
恋愛
※この作品は過去に投稿していた物を大幅に加筆し修正した物です
追加閑話完結しました
貴族や平民などの立場に関わらず、保有する魔力の量が多いほど偉いと言う世界。
しかし、長い時間が流れその認識は徐々に薄れて行った。
今はただ、魔力を多く保有しているのは貴族に多く、そのため魔力を多く保有していると言うよりも貴族であるからこそ偉いと言う認識が広がっているのだ。
そんな世界に平民でありながら、保有する魔力が異常な程多く生まれ持っていたレイアは、国の意向で無理やり王子と婚約させられていた。
本音を言えば拒否したかったレイアではあるが、いくら魔力を多く保有しているとはいえ平民の出である以上、貴族主義の国の意向に逆らうことは出来ないため、国王と話し合った上で渋々その婚約を受け入れていた。
そんな中、国王も出席している会食でいきなり王子から直接、婚約破棄を突き付けられる。
理由は、レイアが平民出身だから。
周りが騒めきに包まれている中、王子はレイアを見下しながら一人の令嬢を自身の隣に招く。そして何故か濁った瞳を大きく開いて宣言した。
「お前との婚約を破棄し、俺はお前の義妹であるアイリと婚約する!」
しかし、レイアはそれを聞いて内心では歓喜していた。
「おい国王! 聞いていましたね! 契約通り私は自由にさせてもらいますね!!」
レイアは王子と婚約する際に、賭けとして国王と契約していたのだ。
契約内容は、正式に婚姻する前に王子が私情で婚約破棄を宣言した場合、レイアが自由にしても良いという物。
国王との賭けに勝ったレイアは、今まで自由にできなかった時間を取り戻すかのように、自由気ままに行動を開始するのであった。
※この世界での王族は、広い意味で貴族扱いです。
読んでくださった方も、見に来てくださった方もありがとうございます
2023.02.14 9時〜2023.02.15 9時 HOTランキング1位にランクインしました。本当にありがとうございます!
【完結】継母と腹違いの妹達に虐められたのでタレコミしようと思う。
本田ゆき
恋愛
あら、お姉さま、良かったですわね?
私を気に入らない妹たちと継母に虐められた私は、16歳の誕生日によその国の貴族の叔父様(50歳)と結婚の話が上がった。
なんせ私は立場上は公爵の娘なのだから、いわゆる政略結婚というやつだ。
だけどそんな見ず知らずのおじさんなんかと誰が結婚するものですか!
私は見合い前日の夜、ありったけの虐めの証拠を持って逃げることにした。
※小説家になろうとカクヨムでも掲載しています。
転生したら使用人の扱いでした~冷たい家族に背を向け、魔法で未来を切り拓く~
沙羅杏樹
恋愛
前世の記憶がある16歳のエリーナ・レイヴンは、貴族の家に生まれながら、家族から冷遇され使用人同然の扱いを受けて育った。しかし、彼女の中には誰も知らない秘密が眠っていた。
ある日、森で迷い、穴に落ちてしまったエリーナは、王国騎士団所属のリュシアンに救われる。彼の助けを得て、エリーナは持って生まれた魔法の才能を開花させていく。
魔法学院への入学を果たしたエリーナだが、そこで待っていたのは、クラスメイトたちの冷たい視線だった。しかし、エリーナは決して諦めない。友人たちとの絆を深め、自らの力を信じ、着実に成長していく。
そんな中、エリーナの出生の秘密が明らかになる。その事実を知った時、エリーナの中に眠っていた真の力が目覚める。
果たしてエリーナは、リュシアンや仲間たちと共に、迫り来る脅威から王国を守り抜くことができるのか。そして、自らの出生の謎を解き明かし、本当の幸せを掴むことができるのか。
転生要素は薄いかもしれません。
最後まで執筆済み。完結は保障します。
前に書いた小説を加筆修正しながらアップしています。見落としがないようにしていますが、修正されてない箇所があるかもしれません。
長編+戦闘描写を書いたのが初めてだったため、修正がおいつきません⋯⋯拙すぎてやばいところが多々あります⋯⋯。
カクヨム様にも投稿しています。
【完結】え?今になって婚約破棄ですか?私は構いませんが大丈夫ですか?
ゆうぎり
恋愛
カリンは幼少期からの婚約者オリバーに学園で婚約破棄されました。
卒業3か月前の事です。
卒業後すぐの結婚予定で、既に招待状も出し終わり済みです。
もちろんその場で受け入れましたよ。一向に構いません。
カリンはずっと婚約解消を願っていましたから。
でも大丈夫ですか?
婚約破棄したのなら既に他人。迷惑だけはかけないで下さいね。
※ゆるゆる設定です
※軽い感じで読み流して下さい
《完》わたしの刺繍が必要?無能は要らないって追い出したのは貴方達でしょう?
桐生桜月姫
恋愛
『無能はいらない』
魔力を持っていないという理由で婚約破棄されて従姉妹に婚約者を取られたアイーシャは、実は特別な力を持っていた!?
大好きな刺繍でわたしを愛してくれる国と国民を守ります。
無能はいらないのでしょう?わたしを捨てた貴方達を救う義理はわたしにはございません!!
*******************
毎朝7時更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる