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第五章 動き出す…?

第二十三話・最終回 八魔将ガルム戦(卑怯な攻撃オンパレードですが、仕方ないよね?)

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 遂に迎えた決戦の日…
 皆は全ての準備が整ってあった。
 そして、最初の作戦で挫かれると後が無いという切迫詰まっている物でもあった。

 「果たしてこの作戦が上手く行くかな?」
 「多分、大丈夫だと思うよ。 じゃなければ、ここまでの期間を待つ上に仲間を呼んで来い何て言わない筈だし…」
 
 賢斗が不安そうに聞いてきたので僕は答えた。
 そして僕等は、カイナンの街を出て、バレサステップに向かった。
 街から離れているというのもあるが、訓練やフェンリル戦などでこの地形を大体把握しているから選んだのである。
 
 ………待つ事・数分後………
  
 八魔将ガルムが僕等の前に現れた。
 僕はガルムに声を掛けた。

 「僕の力が完全になるまで待っていてくれてありがとう!」
 『礼には及ばん! さぁ…我と死力の尽くした戦いを…』
 「あ、その前にちょっと待ってもらえる?」
 『何だ? どうしたというのだ⁉』
 「僕と彼女は、ガルムさんの事を見た事あったけど、他の者達は見た事なかったから緊張していてね…」
 『緊張が解けるまで待てと?』
 「緊張し過ぎて朝から何も喰えなかったと言っていてね。 悪いけど、食事する時間と食休みの休憩を貰えないかな?」
 『最後の晩餐になるかもしれないという所か…よかろう!』
 「僕等だけ食べるというのも気が引けるので、ガルムさん用の食事も用意したんだけど、どうしますか?」
 『何? 我の分もか⁉ 断るのも悪いしな…戴くとしよう。 だが、我には毒は効かんぞ!』
 「嫌だなぁ…これから死闘を繰り広げようとする相手に毒なんて盛りませんよ!」

 僕は2つの球体解除をした。
 僕等の前には、僕が用意した食事が…
 ガルムの前には、華奈の作った料理が並んだ。

 『ふむ…見慣れない物が並んでいるが…いただくとしよう!』

 僕等はガルムが口に入れるのを待った。
 もしかすると、華奈の料理の不味さに怒り狂う可能性があるからだ。
 ところが予想外の答えが返って来た。

 『むぅ…初めて喰うが美味いなこれは‼ こんな美味い物は初めて食べたぞ‼』

 僕等はその言葉を聞いて、華奈以外ズッコケた。
 華奈の料理を美味いという奴がいる事に驚きを隠せなかった。
 だが、こちらも食べないと変に勘繰られないかもしれないので、皆は料理を食べた。
 そしてガルムは華奈の料理を綺麗に平らげた。
 それを見て、僕と賢斗は小さく頷いた。

 「ガルムさんは大丈夫だと思いますが、我々人種は食べてからすぐには動けませんので、2時間の食休みが欲しいのですが、その間に色々と聞きたい事があるのですが良いですか?」
 『答えられる限りなら答えてやろう…何が聞きたい?』
 
 よし、可能な限りの情報を聞き出そう。
 質問するのは僕で、他の皆は質疑応答によって対策を立てる物だった。

 「これからの死闘で聞きたいのですが、ガルムさんは進化するタイプですか?」
 『進化? 我にその様な力はない! そうか…貴様は十六鬼影衆の八鬼と戦っているんだったな…あいつ等は進化するが、我にはない!』

 僕等はそれを聞いて、安堵の息を吐いた。
 これで戦況が大きく変わる事は無いと…

 「倒せるかどうかは分かりませんが…ガルムさんって八魔将でどのくらいの強さ何ですか?」
 『我の強さか…我より強いのが上に二魔いるが、それ以外は我より下だ。』

 魔物の場合、自分が最強でそれ以上はいないと答える者が多いが、上にいるという話を聞く限りは嘘は言ってないだろう。
 僕は女性陣に耳を塞ぐ様に指示をした。
 昨日の作戦で卑猥な質問をするという話をするので耳を塞げという事だったのだが…
 本当は、ぬいぐるみの事を聞き出すので華奈やレイリアには聞かれたくないからだ。

 「十六鬼影衆でピンクのくまには手こずりました。 奴が最後に兄妹達が敵を取ると言っていたのですが、あんなぬいぐるみが他にもいるのですか?」
 『あぁ…いるな! 八魔将に二魔、四天王に壱天、三元将に壱元おるな。 先程話していた八魔将の中で我より上なのがその内の一魔だ。』
 
 あんなのが4匹もいるのか…
 なるほど、兄妹というのはそういう意味だったのか…

 『かなり話してしまったが、これ以上は仲間の事は喋らんぞ!』
 「いえいえ、お話をありがとうございました! 後1時間半後に戦闘を開始致しましょう!」

 僕はそう言って皆の元に行った。
 そして座り込んで話をした。

 ………一時間半後……… 

 「よし、そろそろ良いでしょう!」
 『うむ…期待しておるぞ!』

 ガルムが戦闘態勢に入ると、僕等は陣形を取った。
 クリスとクリアベールが前衛で、中衛に僕と翔也とガイウスと飛鳥とクライシス、後衛に賢斗とレイリアと華奈だ。
 当初の陣形と少し違うが、何度も練った作戦で思い付いた陣形である。

 ガルムは突進して来た。
 クリアベールはクリスの前に無属性魔法の盾を5枚出現させた。
 ガルムはその盾を破壊しながら突っ込んで来た。
 そしてクリスに届く前に、僕のハンドレットランスと翔也の天の術・雷光と賢斗のマクスウェルブリットを放った。
 だが、これらを難なく躱すと、ガルムは不敵な笑みを浮かべた。

 「さすがに動きが速いな…華奈、聖女の歌を! 飛鳥とガイウスは準備して! 賢斗、頼む!」
 
 華奈の聖女の歌が発動すると、僕等のパーティの地面に陣が形成された。
 賢斗は、ガイウスと飛鳥にステータスアップのバフを掛けた。

 「ふっふっふ………では…その素早過ぎる動きを封じてあげよう…球体解除!」
 
 全員はニヤリと笑うと、ガルムは首を傾げた。 
 するとガルムは、体がパンパンに膨れ上がった。

 「今だ! 全力攻撃‼」

 僕等は陣形を崩して、クリスとガイウスと飛鳥と翔也はガルムに向かって行った。
 ガルムは先程の素早い動きは出来ずに4人の一撃を喰らった。
 その後に僕とクリアベールのハンドレットランスとクライシスとレイリアのバーストフレア、賢斗のエクスプロードの2重合成を一斉に浴びせた。
 
 『ノワァァァァァァァァァァァ!!!』

 ガルム中心に広範囲の爆発後に200本の槍がガルムに突き刺さった。
 これで倒せればよいのだが…

 「マスター…ガルムノハンノウガマダアリマス…」
 「これじゃあ無理か…」

 パンパンに膨れ上がったガルムの体は元に戻り、所々の槍の刺さった場所から水が飛び出ていた。
 ガルムは僕を睨んで言った。

 『おい…貴様! 我の体に何をした⁉』
 「まともな正攻法で勝てる訳がないので細工を少々w」
 『そんな細工をする余裕なんぞ…』
 「大丈夫、今のだけじゃないからw!」

 僕は更に球体解除をした。
 すると、こちらに向かってブレスを吐こうとしているガルムに異変が起きた。
 ブレスを吐く事が出来ずに、口から大量の唾液が溢れ出て来た。
 ガルムは、ゲェーゲェーと嗚咽が止まらなかった。

 「最初のは大量の水だとして、これは?」
 「超濃縮デスソースが胃袋を刺激しているんだよ。 これで奴のブレスは封じた!」
 
 僕以外の異世界組は口を押えた。
 昔、学園祭の罰ゲームで全員デスソースを味わった事があったからだ。
 
 『き…きさ…きさま…いった…いわれ…になにを…した⁉』
 「やっぱ、辛いよねw? なら、その悩みを解消してあげましょうw」

 僕は賢斗を見ると、頷いてから球体解除をした。
 するとガルムの腹がポッコリと膨らんだ。
 そしてガルムの腹から、音が鳴り始めると、ガルムはぎこちない動きになった。

 『うぉ! き…貴様! 今度は何をし…うぉぉぉぉ‼』
 「僕が錬金術で作った濃縮した強力下剤だ!」
 『げ…下剤とは…うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』

 僕はガルムに接近してから、貫通魔法で穴の底に落とした。
 そして僕は合図をすると、僕は覚醒を発動した。
 レイリアは巨大な炎を、クライシスは巨大な雷を、翔也は巨大な光を、賢斗は巨大な氷を、華奈は巨大な土の塊を僕に向かって放った。
 それらの魔法を僕は身体に受け止めると、僕の巨大な風を合わせて…

 「合技! アルティメットフレア‼」

 6つの属性が1つになって、穴の底にいるガルムに炸裂した。
 穴から巨大な火柱が天まで放出されて、消えて行った。
 穴の底を見ると、ガルムが瀕死の状態だった。
 トドメを刺す為に、大量の重水を満たしてから氷魔法で凍てつかせた。
 これだけの浮き上がれない大量の水な上に、炎属性の魔物に氷で固めたのだから生きてはいない…と思っていたのだが…?

 《相棒、経験値が入らないぞ! 奴はまだ生きている可能性がある…》

 アトランティカの言う通り、ガルムは氷を砕いて上がって来た。
 皆は武器を構えたが、僕がそれを止めた。
 僕は体に手を当てて尋ねた。
 すると、僕の気配が変わり…

 「皆は休んでいろ! 後はが殺る!」
 
 ガルムは氷を突き破って地面に上がると、僕は体を震わせて雄叫びを上げた。

 『ウオォォォォォォォォォォン!!!』
 『貴様も…面白い‼ 勝負だ、ダン・スーガー‼』

 覚醒+獣化の僕とガルムの光速の戦いが始まった。
 その動きは、誰の目にも見える事は無く、僕の青い閃光とガルムの黒い閃光が激しくぶつかり合っていた。
 そして数分後…
 僕とガルムはお互い傷だらけだった。
 
 『これで最後だ! いくぞダン・スーガー‼』
 
 ガルムは高密度の炎のブレスを放った。
 
 『受けてたとう! ガルムよ‼』

 僕は周囲のマナを体に取り込むと、氷のブレスを放った。
 二つの炎と氷が衝突すると、両者互角だった。
 だが、それも少しずつ僕が不利になって行った。
 覚醒の効果が切れて、徐々に僕が劣勢になっていた。
 僕は最後の力を振り絞ったが、ガルムの炎が目前まで迫っていた。

 「俺らを忘れてないか?」
 「ダン、お前は1人じゃないんだぞ!」 
 「そうにゃ! みんなが後ろにいるにゃ!」
 「俺らを頼れよ、相棒!」

 僕の背後に皆が居て、僕の足に魔力を送ってくれた。
 皆の力が…僕に勇気をくれる…

 『ウワォオオオオオオオオオオオン!!!』

 氷のブレスの勢いが増して行き、ガルムの目前まで迫って行った。
 ガルムも必死に抵抗するが、仲間の居ないガルムには圧倒的に不利だった。
 そして…ガルムは押し負けて、全身に氷のブレスを受けてから、頭以外粉々に砕け散った。

 『ダン・スーガー…途中卑怯な手もあったが、面白い勝負だった!』
 『まだ喋れるのか…確かに面白かったな…』
 
 ガルムはそう言うと、砕けて消えて行った。
 僕は元の人型に戻ると、変化も無くなっていた。
 そして皆が突然苦しみ始めた。
  
 「あ…レベルアップの洗礼か…」
 《今回のガルムはかなりの経験値だったな…オレやシャンゼリオンは平気だが、人の身では辛いだろう…》
 《そうね、それにしてもとんでもない量ね。 完全復活にはまだ遠いけど、そうなる日も近いかもね》

 僕にはその辛さが解らないから疎外感をいつも感じていたのだが…
 僕も体に一気に痛みが襲ってきて、クライシス以外は地面でのた打ち回っていた。
 しかしこれで…八魔将のガルム戦に勝利したのは事実だった。
 だが、残りの八魔将は7体…
 
 これから更なる死闘が待ち受けるのであった。
 
 次章へ続く。

 ちなみに…
 ガルムの体が膨らんだり、デスソースの餌食になったのかというと…
 犬や狼といった種は、食べ物をよく噛まずに飲み込み腹の中で消化する生き物です。
 その為、華奈の料理に仕込んでいた球体も一緒に飲み込んでしまった為に地獄を見る羽目にw
 これが猫だったらバレてたかもねw
 それにもう1つ…
 胃の中で球体が壊れたり溶けなかった理由を言うと…?
 性質変化でコーティングしてあったからであるw
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