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第二章 旅をする上での大事な事

第十三話・閑話 サクヤの仕掛け・前編

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 俺とセルリアは一度宿の部屋に戻ってから、話をしていた。

 「サクヤ…先程、この街の離れた場所に土地を購入していたが…何をするんだ? というか、その前に…お前は幾ら持っているんだ⁉︎」
 「俺の所持金か? 幾らだろうな…? この世界の全ての城の国税の数百倍の金額になるかもな。」
 「お前は…今迄どんなアコギな真似をしてきた?」
 「人聞が悪いぞ! 俺を異世界召喚した癖に、魔王を倒したら御苦労の一言で片付けたり、魔剣や聖剣を寄越せと言った国を滅ぼしたりして、宝物庫にある宝を全て奪ったりしていただけだ! 他にも魔王城の宝物庫の中の宝も全て奪ってきたからな…人生を100回やり直してもまだ余るくらいの金額がある。」
 「冒険者をやる意味はあるのか?」
 「正直言うと、生活には全く困らない。 だが、この世界に長居をする気はないので、魔王をさっさと倒したいのだが…この世界の事を知らないと魔王に攻撃が通じるかもわからないからな、慢心は失敗に繋がるから。」
 「お前は結構慎重派なんだな?」
 「当たり前だ! そうじゃなければ、今迄6つの異世界で生き残れてはいないからな。」
 
 さてと…召喚をしたいんだが、セルリアに見せても…良いか!

 「そういえば、俺が先程購入した土地の事を気にしていたな…三人の為に拠点でも用意してやるのか?」
 「セルリア…俺がそんなに優しい男に見えるか?」
 「いや…」
 「とりあえず、夜になるまで待つ! 行動はそれから開始だ!」
 「何をするのやら…?」

 俺とセルリアは、夜になるまで適当に時間を潰していた。
 そして夜になると、行動を開始した。
 俺はセルリアに触れて、転移魔法で購入した土地の前に来た。

 「此処なら他に近くに家も無いし、人通りも少ない。」
 「まぁ…一応街の敷地内だが、此処には何も無いし、街の人間も気にはし無さそうだからな。」
 「まず、此処に家を建てる。 少し大きい屋敷の様な家をな。」
 「家か…職人達に手配はしたのか?」
 「今までの旅でセルリアは見てきただろう?」
 「あの出鱈目な魔術はな…」

 まず、地面に大きな穴を開ける。
 その後にコンクリートで補強する。
 更に耐火や耐久性を兼ね揃えたブロックを敷き詰めたり、壁にも接着させてから鉄柵と鉄の扉を付けて牢屋は完成する。

 「これは牢か? この上に家は建てるんだろう?」
 「勿論…ただし、下級貴族が住む様な邸を建築する。」
 「盗賊達のアジトみたいな物でなくてか?」
 「それだと、憲兵や冒険者が来るだろ? だが、下級貴族の邸なら?」
 「憲兵や冒険者は迂闊に手出しを出来ないか…だが、邸の地下に捕らえた者を収容する牢があるのは分かるが、サクヤは何をする気なんだ?」
 「三人にはこれから、失敗と挫折を経験させる為のネタを仕込む。」
 「普通は見守る為にサポートをするのでは無いのか?」
 「俺がそんなに甘い男に見えるか?」
 「あぁ…そうだったな。 お前の言う事は正論だが、たまに恐ろしく感じる時がある。」

 俺は収納魔法から大量の木材と煉瓦を出してから邸を建築した。
 これも「マジック・クリエイト」で作ったオリジナル魔法で、拠点を作る為にいずれ役に立つだろうと創作をしたのだが、結局日の目を見ることがなかった魔法だ。
 頭の中のイメージを具現化する魔法なのだが、材料を用意しないとイメージ通りに完成はしないという欠点がある。
 
 「さて、邸は完成した。」
 「本当に魔法…というのは凄いな! 何処から見ても、立派な邸じゃ無いか!」
 「見た目はな…貴族の邸を表にし、裏では人身売買の悪党の住処だ。」
 「なんだか、えげつないな…それで、悪党は雇うのか?」
 「俺がセルリア以外の人間を信用すると思うのか?」
 「いや…同郷の三人ですら信じていないからな。」
 「此処は召喚魔法を使用する。 擬態能力に長けていて、戦闘能力が高い奴等というと?」

 俺の召喚生物には、ぶっ飛んだ奴や聞き分けの悪い奴が多いが、従順に命令を聞く者も中に入る。
 ただし…見返りが大きいのが難点だったりするが。

 「ディライトストーカーズ光の元で活動する者達出ろ!」
 
 俺は召喚をすると、10個の人の形をした光が現れた。
 俺は頭のイメージを奴らに向かって放つと、お嬢様と執事と6人のメイドと2人の騎士に変化した。
 10人の擬態した姿のディライトストーカーズは、俺の前で跪いた。

 「お前達にはこれから…この邸で暮らす貴族を演じて欲しい。 シナリオは後で用意するから頼むぞ!」
 「「「「「ははっ! 全ては御身の為に!」」」」」
 「さて…貴族側は何とかなったが…問題は悪党側なんだよなぁ? ディライトストーカーズと仲が悪いが…平気かな?」

 俺は更に召喚魔法で、10個の人の形をして闇が現れた。
 俺は頭の中でイメージした悪党のイメージを奴らに向かって放つと、思い通りの姿に変化した。
 コイツらは、ナイトストーカーズ闇の元で活動する者達だった。
 ナイトストーカーズは俺の前で跪いた。

 「お前達には、この街で1番の悪党になる為に演じて欲しい。 他の悪党で懸賞金が出ている者なら憲兵に引き渡し、無用な輩は殺せ! そしてお前達にはある三人の冒険者を罠に嵌めて怖がらせて欲しい。」
 「「「「「ははっ! 全ては御身の為に!」」」」

 …と、此処までは良かったんだが、問題はこの後だった。
 ディライトストーカーズとナイトストーカーズは、反・対する属性なので当然と言って良いほどに仲が悪い。
 俺は報酬を吊り上げることで両者は何とか納得した。
 さて、これで仕込みは終了なのだが…?
 セルリアは今の光景を見て固まっていた。
 話によると、この世界には召喚魔法というのは存在していないらしい。
 なので、この反応は当然である。

 「さてとお前達には早速動いて欲しいが…行けるか?…」

 全員は頷くと、作戦が開始…あ、牢屋の奴隷役も必要だったな!
 アイツらを召喚するか!

 サクヤの召喚するアイツらとは一体⁉︎
 そして三人は上手く対処ができるだろうか?
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