異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス

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第二章 旅をする上での大事な事

第一話 旅立ちの準備と…?

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 俺はまだ城にいた。
 旅を決意したのだが、色々準備が必要だと気付いた。
 まずは…冒険者登録だ!
 冒険者の登録証は、各街に入る時や施設を使う際のパスポートとして使える。
 これは第一の異世界召喚で学んだのだが…異世界から召喚された者でも、路銀を使い果たせば金を稼ぐ手段を見付けなければならない。
 そうでないと、街中の施設が使えなくなるからだ。
 まぁ…宿屋に泊まれなくても、街の門の周辺で夜を明かすという方法も無くはない。
 だが、その場合…街の外だと魔物に襲われて、街の中だと盗賊に物をパクられる可能性があるので、どっちも気が抜けない。
 なので俺は、城下街に降りてから冒険者ギルドに入った。

 「あれからずいぶん経つが…まだこんなに冒険者がいるのか?」

 俺は先を進んで行くと…こういう場所では何かしら絡んでくる奴がいる。
 これが新人の洗礼なのだろうか?
 まぁ、考えてみると…異世界召喚で訪れた冒険者ギルドでは、大体絡まれていたな。
 見た目がもう少し厳ついと良いのだがな。

 「オイ兄ちゃん…って、おい! 無視するな、コラァ!」
 「すいません…無視していた訳ではないんです。 ただ…シカトしていただけで!」
 「そりゃ一緒だろ⁉」
 「おかしいですね…ここは笑う所なんですが?」

 俺はそういうと、周囲で笑い声が上がった。
 だが、俺に絡んで来た男は顔を真っ赤にして怒鳴って来た。

 「貴様! 俺の事を舐めているのか⁉」
 「舐められる訳ねぇだろ! 俺は男を舐める趣味なんてねぇよ…犬じゃあるまいし!」

 すると周囲で笑い声が沸き上がった。
 俺はその隙に剣の柄に手を掛けてから、居合で目の前の冒険者のベルトを斬ってから鞘に戻した。

 「どうでも良いんだが…俺に何をする気だ? ズボンなんか下げて…男色の趣味でもあるのか?」
 「な…いつの間に⁉」

 男はズボンを上げると、そのまま外に出て行った。
 そして俺は受付に向かって歩いていると、今度は別な者に声を掛けられたのだった。

 「君は…中々の腕だね?」
 「さて? 何の事だ?」
 「ふむ…失礼!」

 目の前にいた剣士は、俺に居合をした。
 殺気は無かったので、俺はそのまま立ちつくした。

 「君は目を閉じなかったね?」
 「閉じる必要が無いからな…それにしても面白い剣だな! 両刃と思ったら、途中から片刃とは…」
 「見えたのか⁉ 失礼…吾はセイリアという。 Sランクの冒険者だ!」
 「なるほど、貴女が剣聖と呼ばれる人でしたか! 俺はサクヤという。 ランクは…これから決まる。」
 
 俺は受付に指さして言った。
 
 「君はノーランカーだったのか、あの腕で⁉」
 「そのようで…では、機会があれば! あ、それと…綺麗な桃色だな!」
 「桃色…?」

 俺はセイリアから離れると、セイリアは腰を見渡した。
 すると、左側の履物の側面が切れている事に気付いて、慌てて隠していた。
 そして俺の方をキッ!と睨んだ。

 「すいませんが、冒険者登録をしたいのだが…ギルドマスターのアダンはいるか?」
 「申し訳ありません。 冒険者登録が済んでない者に、ギルドマスターはお会い出来ない決まりですので…」
 「サクヤが尋ねて来た…そう伝えて貰えれば解ります。」
 「その必要はない! 俺ならここにいる!」
 「あ、ギルマス…この方が。」
 「サクヤ殿、ここでは目立ちますので、こちらへ…」

 俺はアダンの案内でギルマスの部屋に入った。

 「それにしても先程は見事でしたね! セイリアの剣を見切っただけではなく、セイリアに気付かない一撃を入れるとは。」
 「あの程度は造作もないですよ。 それで、冒険者登録をしたいのだが…」
 「サクヤ殿の強さだったら、どのランクでもやっていけそうですが…そのランクが良いですか?」
 「ではSランク…より上はあるのか?」
 「無くはないですが…でもまぁ、サクヤ殿の強さを考えると…Sランクでも低いですね。」
 「では、SSランクか?」
 「もう一つ上のSSSランクというのがありますが…如何致しますか?」
 「何だか目立ちそうだが…SSSランクは他にいるのか?」
 「いえ、今はSSランクですら1人もいません。」
 「ならSSランクで良い。 登録をしてくれ!」
 「わかりました。 受付に申請を通しておきますので、そちらでお受け取り下さい!」

 俺は受付に戻ると、受付嬢からSSランクのプレートを貰って首に掛けた。
 冒険者ギルドの発行証は、その世界によって違う。
 例えばカードだったり、首飾りだったり、体に魔方式を刻むというのもあった。
 冒険者ギルドの登録証は、基本的に体のどこかしらに表示出来る様になっている。
 腕や足だと欠損して登録証を失う場合があるからだ。
 なので、首か体に近い場所に見える様に作られている。
 首が飛んだり、体が破損すれば…即ち死という意味だからだ。

 「さてと、次はどうするかな?」
 「いたぞ! あそこだ‼」
 「ん?」

 先程のズボンのベルトを切った男が戻って来た。
 しかも人数を連れて…

 「見付けたぞ、小僧!」
 「わーい、見付かったー! では、次は俺が捕まえるから早く隠れろ~!」
 「貴様さっきから俺の事をおちょくっているのか⁉」
 「冗談が通じない奴だな…それで、何の用だ?」
 「Bランクの俺に手を出すという事がどういう事か解っているのか⁉」
 「Bランクか…だから威勢ばっかで弱かったんだな?」
 「貴様…顔は覚えたぞ! この街にいる限り…逃げられないと知れ‼」
 「お前…そんなに頭が良いのか? 見た目的に馬鹿っぽそうにしか見えないのに…」
 
 このやり取りも疲れて来たな。
 早く次に行きたいんだが…?
 俺はそんな事を考えていると、奴等の仲間の一人が俺の首に下がっているプレートを見て青い顔をしていた。

 「貴様…その首から下げているプレートは…Sランクか⁉」
 「違う、SSランクだ。 それで、Bランクに手を出すとどうなるんだ?」
 「は…ハッタリだ! 貴様なんぞにSSランクなんて…」
 「お前等さぁ、斬られた事くらい気付けよ…」

 男達は体を見渡すと、またもズボンが落ちた。

 「これが、俺とお前達の差だ。 これに懲りて喧嘩なんか吹っ掛けるな! 次は…首と胴が別れる事になるぞ!」
 
 俺がそう言うと、男達はズボンを上げながら去って行った。
 
 「またつまらぬ物を斬ってしまった…なんてな!」

 俺はそういうと、冒険者ギルドから出て行った。
 そして旅の物を購入しようと、市場に行く事にした。
 市場に来ると、結構な具合に賑わっていた。

 「肉と野菜と…水は魔法があるからな! 後は果物でも買うか?」

 そう言って店を回ると、次々に買い物を済ませてから収納魔法に放り込んだ。
 そして街を見ながら歩いていると、突然足元に果物が転がって来た。
 俺は拾い上げると、目の前に袋から何個かこぼれた男の子がいた。

 「ほら少年!」
 「ありがとうございます!」

 俺は少年に渡すと、少年は受け取って礼をした。
 俺は少年が気になって別れたフリをして後を付けた。
 すると少年は、神殿の管轄する墓地に向かっていた。
 そして少年は、墓の前で何やら探し物をしている様だった…が、もう良いだろう。

 「なぁ、少年…何をしているんだ?」
 「貴方は先程の…? 実は…知り合いの墓を探していまして。」
 「何て名前だ?」
 「えーっと…」

 俺は少年の方に近付いてから…剣を抜いて斬ろうとしたが、少年は素早く躱したのだった。

 「やはり…魔族か?」
 「中々鋭いですね?」
 「用があるのは勇者の灰か?」
 「おやおや、そこまで御存知だとは!」
 「言っておくが、こんな場所にはないぞ。」
 「では、何処にあるのか教えて戴けませんか?」
 「海に向かって撒いた…と言ったら信じるか?」
 「御冗談でしょ?」
 「まぁ、冗談だ…」
 
 魔族というのは解るが…ただの魔族ではない。
 かなり上位の…グレーターか?…いや、アーククラスか!
 
 「勇者の灰を何に使うか教えてくれたら場所を話そう。」
 「復活させて配下にしようかと思っています。」
 「マジか? アイツは相当性格が歪んでいるぞ?」
 「人間には嫌われそうですが…我々には問題ありません。」
 「ふむ‥奴に会えるのなら、復活させてから会うのも良いかもな!」
 「貴方も友思いなのですね?」
 「いや? あまりにも呆気なく殺したから、次はもっと残酷な方法でトドメを刺してやろうと…」
 「貴方は本当に人間ですか? 思考の偏りが我々に通じる物を感じますが?」
 
 俺は収納魔法から壺を取り出して地面に置いた。

 「これが勇者の灰だ!」
 「空間魔術を使うとは…どおりでこの辺から反応が無い訳ですね?…ですが、これが本当に勇者の灰という根拠はありますか?」
 「俺は交渉事には嘘はつかん! さっきも言ったが…復活したアイツを今度こそぶち殺したいからな!」
 「そこまで言うのなら本当なのでしょうね…わかりました、貴方のいう事を信じましょう!」

 魔族の少年は壺を受け取ると、そのまま飛んで行った。

 「俺は交渉事には嘘はつかん…が、ハッタリは言う!」

 さて、用事も済んだし…城に帰るとするか!
 俺は城に向かったのだった。

 ~~~~~一方、魔王城では?~~~~~

 「マーデルリア様、勇者の灰を手に入れました!」
 「でかしたなルック…では、早速復活の儀式を…」

 マーデルリアは陣の中に壺を置いてから蓋を開けて詠唱を始めた。
 1時間が過ぎ…2時間が過ぎ…3時間が過ぎたが反応が無かった。
 マーデルリアは壺の中身を確認した。
 すると、中に入っていたのは…?

 「これはただの砂ではないか‼」
 「え…? いや、そんな筈は…⁉」

 ルックは壺の中身を確認すると、確かに白い砂だった。
 ルックは壺を持ち上げると、思いっ切り床に叩き付けた。

 「やってくれたな…あの人間‼」
 「ルック、もう1度…勇者の灰を今度こそ探し出すのよ‼」
 「はっ! あの人間を半殺しにしてでも口を割らせてきます‼」

 そうしてルックは、また魔王城を飛び出して行った。
 
 ~~~~~本物の勇者の灰はというと…?~~~~~

 サクヤの収納魔法の中に入ったままだった。
 適当に捨てて悪用される事を恐れたので、廃棄出来る場所を見付けた際に葬るつもりなのだ。
 その場所は…何処なのだろうか?
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