異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

第一章 異世界召喚編

第十七話 2回目の作戦決行の前の準備期間

　俺は今…城下街に来ていた。
　俺がデスブリンガーとして通った道を確認する為に。

　「思った以上に建物の破損が酷いな？　俺は建物を壊せとまでは命令していなかったが？」

　冒険者の中にもアーチャーやウィザードはいる。
　建物の影からスケルトンウォーリアを狙っていたとしたら、建物を破壊して進む事もあるか？
　スケルトンやスケルトンウォーリアの命令は酷く単純だった。
　殺意や敵意のある者に向かって行け！…だった。
　だから、建物の中や影から狙っていたとしたら、建物を破壊する場合もあるのかと考えた。

　「俺はネクロマンサーでは無いから、召喚出来る魔物は別にスケルトンだけじゃないんだよな。」

　魔法を使う魔法生物も居なくはない…が、この世界は魔術が主体の為に、魔法攻撃は如何な物かと考える。
　まぁ…冒険者も全ての魔物や魔獣を把握している訳でもないから、新種の魔法生物だとでも思って対応をするとは思うが…。
　いっその事…ゴーレムも召喚するか？

　「あ、アイツらがあったな！」

　魔物召喚は別に既存の魔物だけを召喚するという訳ではない。
　クリエイトという、魔物を作りだせる魔法があって…これは以前雑魚モンスターを一掃する為に召喚した事があった。
　どんな魔物かというと…将棋の駒を具現化した様なゴーレムだった。
　戦場を将棋盤として、それぞれが将棋の駒の様に動く様に命令をしていた。
　最初の頃は作りだした時に、お互いの連携が取れずに何度か衝突を起こした事があったが…何度か試行錯誤をしたのちに、衝突を起こさずに動ける様になった。
　ただ…アイツらは障害物がない場所で有効であって、街中で召喚すると自由に動けないという欠点がある。
　
　「駄目か…城の中庭とかならともかく、街中では使えんな。　スケルトン達とゴーレムを追加するか。」

　今回の作戦内容は、王国側の敗北である。
　別に国を滅ぼすという意味ではない。
　国に対して壊滅的な被害を及ぼすというのが目的である。
　王族にこの話を持ち掛けた時は、まさか申請が通るとは思わなかった。
　何故なら、魔物の襲撃で壊滅する様な国を他国が見れば蔑まされる可能性があるからだ。
　だけど、全ては…異世界召喚者の力を発揮させる為！
　これによって、勇者達が立ち振る舞える様になれば良いという事で譲歩して貰えた。
　ただ…他はともかく、マサギだけが不安で仕方がないが…？

　「城下街の視察はこんな物で良いか、次は城を見てみよう…」

　俺は場所を移して兵士の詰め所に行ってみた。
　すると、兵士達の士気が上がっていた。
　スケルトンには圧勝した彼等だったが、スケルトンウォーリアには惨敗していたので、その所為だろうか？
　
　「この士気の高まり方だと…スケルトンウォーリアには対応出来そうだな？　騎士団長に相談してみるか！」

　単純な命令だけしか聞かないスケルトンウォーリアだけだと、少し心配がある。
　ある程度の戦闘を繰り返すと、攻撃パターンを読まれる可能性があるからだ。
　奴等を指揮できる意思を持つ存在は…召喚魔法の中にはいるにはいる。
　ただ指揮をするだけなら良いが…皆に交じって戦闘に参加しそうなので前回は呼ばなかった。
　
　「デュラハンのヴェルナルドとノーライフキングのシェルザードは、命令は聞くんだが…たまに勝手に行動をするからなぁ。」

　デュラハンのヴェルナルドは、指揮や統率には向いてはいるのだが…殺戮や残虐を好むので兵士相手には気が重いだろう。
　ただ、騎士道精神なのか…自分に立ち向かって来る者には容赦ないが、震えている者や戦意喪失をしている者には興味がないという。
　ノーライフキングだと…小国の騎士では歯が立たないだろうしなぁ？
　それら以下の意思を持つ奴もいなくはないのだが…知と殺戮を好む奴等ばっかりだしなぁ？
　考えてみると、碌な奴がいない…敵に使う分には問題ないのだが。

　「あ、ダークプリーストがいた！」

　自らが戦いに赴く様な真似はしないが、倒れた者達を復活させてまた向かわせるのだが…
　こいつも性格が悪くてな…相手の心が折れるまで復活を繰り返すからなぁ。
　兵士が倒したと思った瞬間にまた復活させられて向かって来る…倒しても復活させられてを繰り返されれば、兵士じゃなくても誰だって心が折れる。

　「スケルトンウォーリアを兵士の半分の数で、ダークプリーストに指揮させるか。　これで兵士がスケルトンウォーリアと同じ数で倒した傍から復活させられたら兵士が全滅するだろうが…これくらいなら問題はないだろう。」

　まぁ、兵士はこれ位で…次は城の中だな。
　城内の訓練場に行くと、こちらも騎士の士気が高まっていた。
　そしてミクが騎士相手に立ち振る舞っていた姿を見掛けた。
　ミクをドラゴントゥースウォーリアとして想定して騎士が立ち向うという感じの疑似訓練を行っていた。
　戦闘経験だけで言えば、騎士はミクよりも遥かに多い…が、覚醒したミクは騎士には引けを取らない攻撃を繰りだしている。
　
　「もう…ミクの事は馬鹿には出来んな。　この世界に来た頃と比べて、顔付きが全然違う。」

　他の2人を見ると、魔法を必死に使って模擬訓練をしていた。
　マサギの聖剣事件の後に、ユウトとマミには俺の持っている聖杖と魔杖を渡しておいた。
　ちゃんとした正式名称は忘れたが、聖剣や魔剣と同じ位の力を持つといわれる伝説上の杖だった。
　まだ使いこなしているという感じではないが、様にはなっていた。
　そして…本来いる筈のマサギの姿がどこにも見当たらなかった。

　「マサギの奴は何処にいるんだ？」

　索敵魔法を使うと…一応城内には居る。
　隠れて努力をしている…というのだったら良いのだがな。
　ミクが覚醒しても、全く危機感を感じている素振りは無かったからな…。
　
　こうして視察は終わった。
　次はこの視察の状況を説明する為に、騎士団長達に話をするのだが？