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第二章
第十六話・最終回 返すべき借り…(元凶のコイツだけは、許す気は無い!)
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勇者パーティーがテレシア王国から旅立って二週間後…
僕は忌々しいテレシア王国に地に足を踏み入れていた。
僕がテレシア王国に来た理由?
それは当然…翔也と飛鳥が僕を殺害する様に命じた元凶を始末する為だった。
「さてと、王城に入る迄は大人しくしていないとな…」
現在の僕は、冒険者のダン・スーガーとしてこのテレシア王国に来ていた。
デスブリンガーとして来ても良かったのだが、街で騒ぎを起こしている間に報告が届いて…元凶が城から逃亡する可能性があったからだ。
僕がまだ城にいた時の元凶を見ていると、自己中心的で他人がどうなろうと知った事がないという性格に見えていた。
なので、デスブリンガーとしてテレシア王国に入り騒ぎを起こせば…身の危険を回避する為に、簡単に国民や部下を捨てて逃亡すると踏んでいた。
なので、元凶を逃さないために…王城まではダン・スーガーのままで向かおうと思ったのだった。
「まぁ、あんな鎧を着てテレシア王国に入れば、絶対にすぐに囲まれるだろうしな…」
そういう理由があって、僕は街の中を移動しているわけなのだが…?
テレシア王国の城下街は、カイナンの街程では無いけど…割と活気付いていた。
その理由は…恐らく、勇者パーティーの御披露目があった事が原因なのだろう。
あんなクズでも、勇者としては影響力がありそうだな。
その証拠に、魔王が征服する世界であるのに…国民達は希望に満ちた表情をしていた。
「勇者の実態は、自分の欲を満たす為に長年の付き合いがある友達を平気で死に追いやる奴だけどな…」
まぁ、国民達の希望の表情も…いつまで持つのだろうな?
これから希望の象徴の1つである、テレシア城を落されるのだからな!
僕は城門に行き、ギルドカードを提示して門番に話し掛けた。
「Sランク冒険者のダンと申します! 今回ギルドの依頼で任務に就く為に、城内のテルセラ様に依頼内容を聞いて来いと言われて参上致しました。」
「テルセラ殿が…ですか? その様な報告は受けてはおりませんが…」
そんなのはでっち上げだから、報告なんか届いている筈が無い。
宮廷魔術師のテルセラは、この城で100年近く仕えている少し物忘れがある魔術師だ。
なので、報告を受けていなくても当人が忘れている可能性があるという事で城内に入れて貰えたのだった。
「では、冒険者殿…こちらです!」
「全く拍子抜けだな、もう少し危機感を覚えておいた方が良いんじゃないか?」
「そ、それはどういう…?」
僕は魔剣ネクロイシスを鞘から抜いてから、案内をしようとしている騎士を斬り捨てた。
その様子を少し離れていた場所で見ていた騎士達は、僕の方に走って来ていた。
僕は漆黒の鎧を装着してから、陣を展開して配下達を出現させた。
『この城内にいる国王と王女以外は全て皆殺しにしろ!』
すると配下達は、各方面に散って行った。
僕はバルバトスとレイヴンを傍らに置き、謁見の間に向かって行った。
謁見の間に向かう途中、通路に配下達に始末された騎士が転がっていた。
他にも、少し離れた場所から悲鳴が聞こえていた。
だがその悲鳴も、少し経つと静かになった。
そして、謁見の間の扉に着くと…扉を破壊して僕とバルバトスとレイヴンは中に入った。
僕が何故、バルバトスとレイヴンを連れて歩いているかというと?
それは後で分かる事だ。
僕は国王と第二王女のアルカディアと共にいる前に歩み寄った。
「貴様、ここが何処だと分かっているのか‼」
『無論だ! 我は貴様に用があってやって来たのだから…』
「き、貴様は一体何者だ⁉」
『我は…魔王サズンデス様配下、三元将が壱元…幻魔剣士デスブリンガーだ‼』
「さ…三元将だと! 何故そんな大物が、こんな小国に⁉」
そう…サーディリアン聖王国の様な大国ならともかく、こんな小国に魔王の幹部が来るなんて事は普通は無いからだ。
僕もテレシア王国と関わり合いが無ければ、こんな小国は無視をしていただろう。
『理由が聞きたいのか?』
「あぁ…魔王の最高幹部にこんな小国の城なんかに来る理由が分からんからな!」
『まぁ、良いだろう…これなら、我が来た理由は分かるか?』
僕は兜を脱いでから、その素顔を国王と王女に晒した。
僕の顔を見た国王と王女は、驚愕な表情を浮かべながら言って来た。
「貴様…生きていたのか⁉」
「慱様、亡くなられた訳では無かったのですね!」
僕は国王の策略により、翔也に殺される経緯を王女に話した。
すると王女は、憤慨した様子で国王に詰め寄っていた。
『だがな、国王には感謝はしているよ…あんたの策略のお陰で僕は、魔王サズンデス様に拾われてから、素晴らしい力を与えられたのだからな!』
「経緯はどうであれ…魔王側に就くなんぞ、恥を知れ‼」
『国王が我を普通に対応してくれれば寝返る事は無かったんだよ、自分のミスを我に擦り付けるな‼』
「くっ…」
僕がデスブリンガーだった時は、逆らう様な意志は見せなかった癖に…正体を明かした途端に強気な態度を見せて来るとはな?
国王の中では、僕の事をまだ無能だとか思っているのでは無いだろうな?
しかし…本当に虫唾が走る程にクソ野郎だ、今すぐにでも細切れにしたい所だが…それは僕の役目ではない。
僕は背後にいたバルバトスとレイヴンを見た。
『面白い話を聞かせてやるよバルバトス…』
「バルバトス…そこにいるのは、エルヴ族の族長か! 盟約に従い、そいつを始末して余を助けよ‼」
だが、バルバトスが動く気配は無かった。
すると、国王は更に言葉を発した。
「貴様、娘がどうなっても構わないのか‼」
『我が話す前に、どうやら国王が暴露しそうだな!』
「それは一体どういう事でしょうか、デスブリンガー様…」
バルバトスとレイヴン、ガイウスとレイリアは名を与えて進化させた事で会話も可能になり、生前の記憶も残してやった。
生前の記憶を残しておくと、後々厄介な事になる…と思っていたが、事の顛末を話せば問題は無いと判断した。
『お前の娘のレイリアの封印だけどな、あれは全くの不完全な封印だったんだよ。 国王は異常な魔力を発しているレイリアを態と中途半端な封印を施して、この城に向く筈の敵の目を欺く為に、お前の集落に向けたのだからな!』
「ま、まさか…そんな事を⁉」
『だって考えてもみろ? お前の集落に立て続けに魔王の配下が攻めて来る理由を考え付くとすれば、レイリアの封印が不完全だったと考えた方が至極当然だろ?』
「た、確かに…」
僕以外にもレイリアの異常な魔力反応に気付いていた同胞は数人居たみたいだった。
まぁ、全てバルバトスに始末されて行ったが…。
僕がこの情報を知ったのは、レイリアに施されていた封印を鑑定魔法で見たからだった。
あの時は、「不完全な封印で、今にも暴発する。」と書かれていたからだった。
それを知った僕はレイリアを始末した訳だったんだけど、その後に封印に使用されていた鎖や呪符を鑑定したら、真実を知る事が出来たという訳だった。
その真実を知ったバルバトスとレイヴンは、怒りに震えていた。
『さて、国王よ…どうする?』
流石に後が無くなったと感じた国王は、とんども無い事を口走って来た。
「ま、待ってくれ! 余だけでも助けては貰えんか‼ 娘のアルカディアを好きにしてくれても構わないから‼」
「お、お父様⁉」
本当に…清々しい程のクズっぷりだな!
普通…親なら、「自分はどうなっても良いから、娘だけは助けて欲しい…」と言って来るものなんだが?
まぁ、このクズにそんな事を言える技量は無いか。
『アルカディア王女様なら、手を出すつもりはありませんよ。 我がこの城にいる時に、唯一便宜を図ってくれた人ですからね…』
「余も助けてはくれまいか? これからは心を入れ替えて…」
『は? クズが何の心を入れ替えるというんだよ? 何の心を入れ替えたところで、根本的なクズの本質は変わらないだろ?』
「そ、そんな事は無い! 余は本当に…」
『その場しのぎの嘘を並び立てるのは辞めろ‼ 貴様はどうであれ…この場で処刑される事は決まっているのだから、大人しくしていろ‼』
国王はガックリと項垂れながら言った。
「余が…何で?」
『因果応報、自業自得だ。 悪い行いをすれば、いずれ自分に跳ね返って来るんだよ…まぁ、今がその時なんだがな!』
「く…くそぉ~~~~~!!!」
『あ、そうだ! 最後の恩情に、我は一切手を出さないでおいてやる!』
その言葉を聞いて国王は、顔を上げて笑みを浮かべていた…が、その笑みもすぐに絶望に代わるのだった。
『バルバトス、レイヴン、好きにしろ…』
…そう、僕は直接は手を下さない。
僕も国王は死ぬほど憎らしいが、それ以上にバルバトスとレイヴンは長年に渡って国王に利用されていたからだ!
バルバトスは持っている剣で国王を滅多斬りにし、レイヴンは槍で滅多刺しにしていた。
さて、残るはアルカディア王女なのだが…?
『アルカディア王女、我は貴女に対して何かをするつもりは無いが…』
「情けは無用です! 私は女神に仕える巫女です、魔に堕ちた者からの施しは受けません‼」
『そうですか…』
アルカディア王女は、懐から取り出した短剣で喉を刺して自害した。
僕はアルカディア王女に手を合わせると、謁見の間を後にした。
そして宝物庫に行ってから全ての財宝を奪った後に、地下に降りて召喚陣を破壊した。
これで…僕もだが、翔也達も元の世界に帰る事は出来なくなっただろう。
元々…元の世界に帰った所で待っている家族もいないし、帰るつもりもなかった。
そして、僕は城門を出てから配下に命じた。
『街にいる者達を皆殺しにしろ‼』
配下達は散開し、街にいる国民達を殺して行った。
先程街に来た時に見せていた国民達の希望の表情は、一瞬にして絶望の表情になって逃げ惑っていた。
全ての国民達を始末した後…店にあった物や金を全て奪ってから、僕は孤児院に帰って行った。
「デスブリンガー様、お疲れ様でした。」
「バトラー、勇者が手に入れるという聖剣の在りかは分かったか?」
「勇者の手にする聖剣は、聖竜国グランディオにあるという話ですが…」
「聖竜国グランディオか…あの場所はサズンデス様でも手を焼く場所だと言っていたな…」
次の目的地が決まった。
聖竜国グランディオに行って、翔也よりも早く聖剣を入手する事だった。
~~~~~数日後~~~~~
何処かの街で勇者パーティーは、テレシア王国が魔王軍によって滅ぼされたという話を知る事になるのだが?
それは、次章で明らかになるのだった。
第二章・完
第三章へ続く…
僕は忌々しいテレシア王国に地に足を踏み入れていた。
僕がテレシア王国に来た理由?
それは当然…翔也と飛鳥が僕を殺害する様に命じた元凶を始末する為だった。
「さてと、王城に入る迄は大人しくしていないとな…」
現在の僕は、冒険者のダン・スーガーとしてこのテレシア王国に来ていた。
デスブリンガーとして来ても良かったのだが、街で騒ぎを起こしている間に報告が届いて…元凶が城から逃亡する可能性があったからだ。
僕がまだ城にいた時の元凶を見ていると、自己中心的で他人がどうなろうと知った事がないという性格に見えていた。
なので、デスブリンガーとしてテレシア王国に入り騒ぎを起こせば…身の危険を回避する為に、簡単に国民や部下を捨てて逃亡すると踏んでいた。
なので、元凶を逃さないために…王城まではダン・スーガーのままで向かおうと思ったのだった。
「まぁ、あんな鎧を着てテレシア王国に入れば、絶対にすぐに囲まれるだろうしな…」
そういう理由があって、僕は街の中を移動しているわけなのだが…?
テレシア王国の城下街は、カイナンの街程では無いけど…割と活気付いていた。
その理由は…恐らく、勇者パーティーの御披露目があった事が原因なのだろう。
あんなクズでも、勇者としては影響力がありそうだな。
その証拠に、魔王が征服する世界であるのに…国民達は希望に満ちた表情をしていた。
「勇者の実態は、自分の欲を満たす為に長年の付き合いがある友達を平気で死に追いやる奴だけどな…」
まぁ、国民達の希望の表情も…いつまで持つのだろうな?
これから希望の象徴の1つである、テレシア城を落されるのだからな!
僕は城門に行き、ギルドカードを提示して門番に話し掛けた。
「Sランク冒険者のダンと申します! 今回ギルドの依頼で任務に就く為に、城内のテルセラ様に依頼内容を聞いて来いと言われて参上致しました。」
「テルセラ殿が…ですか? その様な報告は受けてはおりませんが…」
そんなのはでっち上げだから、報告なんか届いている筈が無い。
宮廷魔術師のテルセラは、この城で100年近く仕えている少し物忘れがある魔術師だ。
なので、報告を受けていなくても当人が忘れている可能性があるという事で城内に入れて貰えたのだった。
「では、冒険者殿…こちらです!」
「全く拍子抜けだな、もう少し危機感を覚えておいた方が良いんじゃないか?」
「そ、それはどういう…?」
僕は魔剣ネクロイシスを鞘から抜いてから、案内をしようとしている騎士を斬り捨てた。
その様子を少し離れていた場所で見ていた騎士達は、僕の方に走って来ていた。
僕は漆黒の鎧を装着してから、陣を展開して配下達を出現させた。
『この城内にいる国王と王女以外は全て皆殺しにしろ!』
すると配下達は、各方面に散って行った。
僕はバルバトスとレイヴンを傍らに置き、謁見の間に向かって行った。
謁見の間に向かう途中、通路に配下達に始末された騎士が転がっていた。
他にも、少し離れた場所から悲鳴が聞こえていた。
だがその悲鳴も、少し経つと静かになった。
そして、謁見の間の扉に着くと…扉を破壊して僕とバルバトスとレイヴンは中に入った。
僕が何故、バルバトスとレイヴンを連れて歩いているかというと?
それは後で分かる事だ。
僕は国王と第二王女のアルカディアと共にいる前に歩み寄った。
「貴様、ここが何処だと分かっているのか‼」
『無論だ! 我は貴様に用があってやって来たのだから…』
「き、貴様は一体何者だ⁉」
『我は…魔王サズンデス様配下、三元将が壱元…幻魔剣士デスブリンガーだ‼』
「さ…三元将だと! 何故そんな大物が、こんな小国に⁉」
そう…サーディリアン聖王国の様な大国ならともかく、こんな小国に魔王の幹部が来るなんて事は普通は無いからだ。
僕もテレシア王国と関わり合いが無ければ、こんな小国は無視をしていただろう。
『理由が聞きたいのか?』
「あぁ…魔王の最高幹部にこんな小国の城なんかに来る理由が分からんからな!」
『まぁ、良いだろう…これなら、我が来た理由は分かるか?』
僕は兜を脱いでから、その素顔を国王と王女に晒した。
僕の顔を見た国王と王女は、驚愕な表情を浮かべながら言って来た。
「貴様…生きていたのか⁉」
「慱様、亡くなられた訳では無かったのですね!」
僕は国王の策略により、翔也に殺される経緯を王女に話した。
すると王女は、憤慨した様子で国王に詰め寄っていた。
『だがな、国王には感謝はしているよ…あんたの策略のお陰で僕は、魔王サズンデス様に拾われてから、素晴らしい力を与えられたのだからな!』
「経緯はどうであれ…魔王側に就くなんぞ、恥を知れ‼」
『国王が我を普通に対応してくれれば寝返る事は無かったんだよ、自分のミスを我に擦り付けるな‼』
「くっ…」
僕がデスブリンガーだった時は、逆らう様な意志は見せなかった癖に…正体を明かした途端に強気な態度を見せて来るとはな?
国王の中では、僕の事をまだ無能だとか思っているのでは無いだろうな?
しかし…本当に虫唾が走る程にクソ野郎だ、今すぐにでも細切れにしたい所だが…それは僕の役目ではない。
僕は背後にいたバルバトスとレイヴンを見た。
『面白い話を聞かせてやるよバルバトス…』
「バルバトス…そこにいるのは、エルヴ族の族長か! 盟約に従い、そいつを始末して余を助けよ‼」
だが、バルバトスが動く気配は無かった。
すると、国王は更に言葉を発した。
「貴様、娘がどうなっても構わないのか‼」
『我が話す前に、どうやら国王が暴露しそうだな!』
「それは一体どういう事でしょうか、デスブリンガー様…」
バルバトスとレイヴン、ガイウスとレイリアは名を与えて進化させた事で会話も可能になり、生前の記憶も残してやった。
生前の記憶を残しておくと、後々厄介な事になる…と思っていたが、事の顛末を話せば問題は無いと判断した。
『お前の娘のレイリアの封印だけどな、あれは全くの不完全な封印だったんだよ。 国王は異常な魔力を発しているレイリアを態と中途半端な封印を施して、この城に向く筈の敵の目を欺く為に、お前の集落に向けたのだからな!』
「ま、まさか…そんな事を⁉」
『だって考えてもみろ? お前の集落に立て続けに魔王の配下が攻めて来る理由を考え付くとすれば、レイリアの封印が不完全だったと考えた方が至極当然だろ?』
「た、確かに…」
僕以外にもレイリアの異常な魔力反応に気付いていた同胞は数人居たみたいだった。
まぁ、全てバルバトスに始末されて行ったが…。
僕がこの情報を知ったのは、レイリアに施されていた封印を鑑定魔法で見たからだった。
あの時は、「不完全な封印で、今にも暴発する。」と書かれていたからだった。
それを知った僕はレイリアを始末した訳だったんだけど、その後に封印に使用されていた鎖や呪符を鑑定したら、真実を知る事が出来たという訳だった。
その真実を知ったバルバトスとレイヴンは、怒りに震えていた。
『さて、国王よ…どうする?』
流石に後が無くなったと感じた国王は、とんども無い事を口走って来た。
「ま、待ってくれ! 余だけでも助けては貰えんか‼ 娘のアルカディアを好きにしてくれても構わないから‼」
「お、お父様⁉」
本当に…清々しい程のクズっぷりだな!
普通…親なら、「自分はどうなっても良いから、娘だけは助けて欲しい…」と言って来るものなんだが?
まぁ、このクズにそんな事を言える技量は無いか。
『アルカディア王女様なら、手を出すつもりはありませんよ。 我がこの城にいる時に、唯一便宜を図ってくれた人ですからね…』
「余も助けてはくれまいか? これからは心を入れ替えて…」
『は? クズが何の心を入れ替えるというんだよ? 何の心を入れ替えたところで、根本的なクズの本質は変わらないだろ?』
「そ、そんな事は無い! 余は本当に…」
『その場しのぎの嘘を並び立てるのは辞めろ‼ 貴様はどうであれ…この場で処刑される事は決まっているのだから、大人しくしていろ‼』
国王はガックリと項垂れながら言った。
「余が…何で?」
『因果応報、自業自得だ。 悪い行いをすれば、いずれ自分に跳ね返って来るんだよ…まぁ、今がその時なんだがな!』
「く…くそぉ~~~~~!!!」
『あ、そうだ! 最後の恩情に、我は一切手を出さないでおいてやる!』
その言葉を聞いて国王は、顔を上げて笑みを浮かべていた…が、その笑みもすぐに絶望に代わるのだった。
『バルバトス、レイヴン、好きにしろ…』
…そう、僕は直接は手を下さない。
僕も国王は死ぬほど憎らしいが、それ以上にバルバトスとレイヴンは長年に渡って国王に利用されていたからだ!
バルバトスは持っている剣で国王を滅多斬りにし、レイヴンは槍で滅多刺しにしていた。
さて、残るはアルカディア王女なのだが…?
『アルカディア王女、我は貴女に対して何かをするつもりは無いが…』
「情けは無用です! 私は女神に仕える巫女です、魔に堕ちた者からの施しは受けません‼」
『そうですか…』
アルカディア王女は、懐から取り出した短剣で喉を刺して自害した。
僕はアルカディア王女に手を合わせると、謁見の間を後にした。
そして宝物庫に行ってから全ての財宝を奪った後に、地下に降りて召喚陣を破壊した。
これで…僕もだが、翔也達も元の世界に帰る事は出来なくなっただろう。
元々…元の世界に帰った所で待っている家族もいないし、帰るつもりもなかった。
そして、僕は城門を出てから配下に命じた。
『街にいる者達を皆殺しにしろ‼』
配下達は散開し、街にいる国民達を殺して行った。
先程街に来た時に見せていた国民達の希望の表情は、一瞬にして絶望の表情になって逃げ惑っていた。
全ての国民達を始末した後…店にあった物や金を全て奪ってから、僕は孤児院に帰って行った。
「デスブリンガー様、お疲れ様でした。」
「バトラー、勇者が手に入れるという聖剣の在りかは分かったか?」
「勇者の手にする聖剣は、聖竜国グランディオにあるという話ですが…」
「聖竜国グランディオか…あの場所はサズンデス様でも手を焼く場所だと言っていたな…」
次の目的地が決まった。
聖竜国グランディオに行って、翔也よりも早く聖剣を入手する事だった。
~~~~~数日後~~~~~
何処かの街で勇者パーティーは、テレシア王国が魔王軍によって滅ぼされたという話を知る事になるのだが?
それは、次章で明らかになるのだった。
第二章・完
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