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第二章

第十五話 異常な魔力反応の正体・後編(原作とは若干内容が異なります。)

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 僕と族長バルバトスは、激しい戦いを繰り広げていた。
 流石は戦士の一族を束ねる族長というだけはあって、かなりの強さを誇っていた。
 僕の能力的には、族長バルバトスとは引けを取らない…と思っていたが、スキルの助けが無ければかなり危うい時が何度かあった。
 
 『つ…強い‼︎』
 「貴様も中々の使い手の様だな‼︎」

 僕は族長バルバトスの持つ剣を何度か破壊を試みていた。
 どんな強さであっても、武器を失えば戦力が半減されると思っていたのだが…?
 魔剣ネクロイシスは、ミスリル程度の強度なら破壊出来る力を持っていた。
 だが、族長バルバトスの持つ剣は…明らかにミスリル以上の強度を持つ剣だった。
 見た目は銀の刀身の筈なのに、強度は決して銀では無い。
 何度か鑑定魔法をしようと思うのだけれど、族長バルバトスの連撃の所為で鑑定魔法を使っている暇がなかった。
 僕は距離を取ってから魔法を放つが、族長バルバトスは僕の魔法を切り裂いて…あっという間に距離を詰めてくる。
 非常にやり難い…戦い辛い相手だった。
 僕は少しでも隙をつく時間が得られないかと素早く周囲を見渡してから、シャドウエルヴを呼んで…族長バルバトスに向かわせた。
 先程の一瞬で始末されているところを見る限り、大した時間を稼ぐ事は出来ないだろう。

 「またか…」

 族長バルバトスは、シャドウエルヴ達を一瞬で斬り捨てた。
 だけど、隙は出来たので…シャドウエルヴが始末したエルヴ族の死体をシャドウエルヴとして蘇らせた。

 「何度やっても一緒だ!」
 『貴様に差し向ければな…だが、こうしたらどうする?』

 僕は族長バルバトスに向かって行き、剣を刀身に当てた。
 その隙にシャドウエルヴ達に命令を出した。

 『お前達は、異常な魔力反応のある場所に向かえ!』
 「な…何だと⁉︎」

 僕の言葉を聞いて、族長バルバトスの力が一瞬弱まった。
 僕が族長バルバトスを押さえていれば、シャドウエルヴ達を止められる者はいないからだ!
 …そう思っていたのだが…?

 「レイヴン、ガイウス、レイリアの元に向かう奴等を止めろ‼︎」
 『レイリア…ねぇ? やはり、異常な魔力の反応は人から発する者だったのか!』
 「それを知った所で、お前には何も出来ないだろう…」
 『あまり、シャドウ達を甘く見ないで貰おうか!』

 小屋から飛び出した女のエルヴ族と男のエルヴ族は、槍を持ってシャドウエルヴ達の元に立ち塞がった。
 二人が何者かは知らないが、族長バルバトス程では無いにしても…かなりの使い手でシャドウエルヴ達を圧倒していた。

 「あの程度の者達なら、妻と息子は引けを取らないんだよ‼︎」
 『それは失礼した、ならばコチラも…本気を出す事にしようか‼︎』

 僕は下がらせていた配下達に命令をして、二人のエルヴ族の加勢に向かわせた。
 二人のエルヴ族を抜かせば、残りは怪我を負っているエルヴ族しかいない。
 流石の配下達も、万全の状態のエルヴ族の戦士達なら分が悪いだろうが…手負の者達に引けを取る様な者達では無い。
 配下達は手負のエルヴ族の戦士達を始末すると、半数は二人のエルヴ族の元に向かわせて、残り半分は異常な魔力反応のある場所に向かわせた。
 
 ~~~~~数分後~~~~~

 配下のダークストーカーズが鎖に繋がれて、呪符が身体に貼られたエルヴ族の少女を連れて来た。
 その首には、リッチの大鎌の刃が当てられていた。

 『これで…形勢逆転だな!』
 「くっ…卑怯者め‼︎」
 『卑怯で結構…エルヴ族の戦士達よ、武器を捨てろ‼︎』

 僕の言葉に、残りのエルヴ族の戦士達は武器を捨てた。
 族長バルバトスも娘を人質にされて、仕方なく武器を手放した。
 僕は族長バルバトスの剣を蹴り…遠くに飛ばしてから、レイリアと呼ばれるエルヴ族の少女の元に行った。
 鑑定魔法を使ってみると、レイリアと呼ばれた少女は、封印術を施されて意識を失っていた。

 『これが異常な魔力の正体か…』
 「頼む! 娘を助けては貰えないだろうか⁉︎」
 
 族長バルバトスは、僕に懇願する様に願って来た。

 『貴様に交渉の余地は無いと思うのだが…仮に助けたとして我に何の得がある?』
 「娘を助けて貰えるのであれば…我等が一族は、配下となりて服従する事を誓おう!」
 
 確かにその申し出には魅力的な部分があった。
 だが、これ程までの強者が素直に従うとも思えなかった。
 族長バルバトスは、下手したら僕と同等の力を秘めているし、配下となれば…頼もしい存在になるだろうが?

 『分かった、貴様の娘は助けてやろう。』
 「感謝す……」

 僕は族長バルバトスが感謝の意を最後まで話す前に、魔剣ネクロイシスでレイリアの心臓を貫いた。
 すると、魔剣ネクロイシスはレイリアの異常な魔力を吸い上げて行き…僕の身体にも流れて、僕は凄まじい魔力を手に入れた。

 「何故だ! 何故娘を…⁉︎」
 『貴様の言う通り…娘は解放させたぞ! 異常な魔力で蝕んでいる身体からな!』
 「俺が言ったのはそう言う意味では無い‼︎」
 『だが、あのまま生かされていたとしても…いずれは異常な魔力に飲み込まれて自らの命を失う事になっていたからな! 早いか遅いかの差だ‼︎』

 僕がそう言い終わるのと同時に、族長バルバトスは懐から取り出したダガーで僕に向かって来た。
 僕は魔剣ネクロイシスで族長バルバトスのダガーを弾いたと同時に、心臓を貫いた。

 『あ、それと先程の申し出だが…ありがたく受けるとするよ。 だが、生きている者には用が無いがな!』
 「な、何を…⁉︎」

 族長バルバトスがそう言い終わると同時に、レイヴンと呼ばれた女のエルヴ族とガイウスと呼ばれたエルヴ族を始末した。
 そして『起きろ!』と命じると、レイヴンとガイウスと呼ばれたエルヴ族達は、シャドウエルヴとして蘇った。
 その姿を見た族長バルバトスは、信じられないという絶望的な表情を浮かべていた。

 『我の配下に、主人に噛み付こうとする配下は要らない…死体だけあれば良い。』
 「くっ………無念!」

 族長バルバトスはそのまま倒れて息を引き取った。
 僕はすかさず、族長バルバトスをシャドウエルヴとして蘇らせた。
 そして更に…残ったエルヴ族達を全て始末してから、シャドウエルヴとして蘇らせたのだった。

 『この集落で得た物は中々だったな! 戦力増強にもなったし、魔力も手に入れてレベルも上がったしな!』

 僕は魔王サズンデスに報告する為に、魔王城に転移した。
 そして、エルヴ族の集落で起きた事を報告したのだが…?

 『何だと! エルヴ族の集落を落としただと⁉︎』
 「えぇ、かなり手古摺らされましたが…」
 『信じられんな! あそこには八魔将の二魔と四天王の壱天を向かわせて殺されたと言うのに‼︎』
 「八魔将と四天王がですか、確かに族長の実力なら可能かも知れませんね…僕もスキルの助けが無ければ、かなり危なかったと思います。」
 『それ程までの相手だったのか…そんな相手に勝利したデスブリンガーは見事なものだな!』
 「恐縮です!」

 そして、魔王サズンデスに新たな配下である族長バルバトスのシャドウを紹介し、魔王サズンデスの提案で族長バルバトスのシャドウに名を与えて進化させた。
 僕は名付けはあまり得意では無いので、生前の時と同じ…バルバトスの名を与えた。
 更に、バルバトス程ではなかったが…レイヴン、ガイウス、レイリアにも名を与えて進化させた。
 当然だが、この三人も生前と同じ名を与えた。

 『これで…頼もしい配下が増えたな!』
 「そうですね、そろそろ戦力を増強しようと…って、少しお待ち下さい。」

 僕はバトラーから通信魔法を受け取った。
 その内容に僕は笑みを浮かべていた。

 『どうした、何かあったのか?』
 「バトラーからの連絡で、遂に勇者パーティーがテレシア王国から出発したという話を聞きました。」
 『ほぉ…? 今の貴様の力なら、勇者を始末するのも容易いと思うが?』
 「それも考えましたが、それよりも前に借りを返さないといけない存在を思い出しましたので…」

 僕は魔王サズンデスに挨拶をしてから孤児院に帰還した。
 翔也と飛鳥以外に借りを返す相手とは…?
 
 皆さんになら分かりますよね?
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