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第一章

第八話・最終回 物語の始まり…(第二章に続きます。)

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 テルシア王国で勇者達を国民の前で発表している時…!
 時計台の上で2人の男が勇者を見て言った。

 『あれが勇者か…何とも頼りなさそうな奴を呼んだものだ!』
 「いえいえ、魔王様…あれは勇者ではなく、愚者ですよw」

 魔王と呼ばれた赤髪で鎧を着た青年と漆黒の甲冑を身に纏った青年は、国王と勇者に対して…指を指して笑っていた。

 『あの勇者が我を滅ぼす者とは到底思えんな?』
 「なら…僕が貰っちゃっても良いですか~?」

 呆れ顔の魔王に対し、漆黒の甲冑の青年は小馬鹿した様に笑って言った。

 『好きにしろ…我は弱者には興味が無いからな!』
 「だ・け・ど…今の僕ではあんな愚者でも勝てませんからねぇ…?」
 『それは謙遜が過ぎるだろう、聖剣も持たぬ勇者如きに御主が引けを取るとは思えんがな!』
 「勇者の力がどの程度のものか…他の奴らもそうですが、追い詰めてどんな力を発揮するかと考えると、一人では分が悪いかと思いましてね。」
 『なら、力を付けると良い! その為の力を解放したのだからな…』
 「魔王様に僕の眠っていた力を呼び覚まして戴いて…本当に感謝していますから! この世界に呼ばれた時は、ジョブもスキルも取得出来なくて無能の烙印を押されて牢屋に入れられていましたからね。」

 あの頃の僕は、この世界に来て仲間だと思っていた者達に裏切られて、絶望感に浸っていた。
 そんな僕の力を見出してくれたのが魔王だった。

 『だが、あの勇者達はお前のかつての友だったのだろう? デスブリンガー…』
 「そうですねぇ…聖女と賢者は確かに友でしたよ。 愚者と剣聖は別ですが…」
 『魔力の高い人間を殺し力を奪えば、お前も力は得られるが…人間を殺すのに躊躇いとかはないのか?』
 「ある訳ないでしょう…と言いたい所ですが、あの城の王女様と聖女と賢者くらいは、殺す時に心が痛むかもしれませんが、他は何とも思いませんね。 そもそも僕はこの世界の人間ではありませんし…w」
 『怖い奴だなお前は…』
 「お褒めに預かり恐悦至極でございます!」
 『フッ…御主のそういう態度、我は好きだぞ!』
 「さてと、愚者も見られましたし、そろそろお暇しましょう! 幹部連中が騒いでいる頃だろうし…」
 
 僕は立ち上がってから、愚者達を見下ろしながらそう言った。

 『幹部連中って、御主もそうだろう? 三元将のデスブリンガー…いや、ダン・スーガーと呼んだ方が良いか?』
 「どちらでもお好きにどうぞ! まぁ、人に扮して近付くには、ダン・スーガーの名前の方が疑われずに済みますからね…」
 『我は戻るとしよう…お前はどうする?』
 「この国には…下手に手を出すと愚者達がいる間は返り討ちに遭いそうですからねぇ。 愚者達が旅立つ迄の間は、近くの場所に巨大な魔力反応があるので、そこに行ってきますよ!」

 テレシア王国より遥か西の方に、異常な魔力反応を感じていた。
 人が持つ魔力反応とは思えないくらいに、強大な感じがした。

 『適当に殺ってきたら城に戻れ! あと獲物が取れたら振舞えよ!』
 「仰せのままに…」

 男の1人は帰還魔法で闇に消えて行った。
 デスブリンガーは、勇者達を見て言った。

 「翔也、僕に殺されるまで誰にも殺されたら駄目だよ…君は僕が惨たらしく殺してあげるんだからw まぁ、アイツの弱点は知っているし、いざとなったら華奈を盾にでもするさw」

 デスブリンガーは、勇者達に敬礼をしてから移動魔法で闇の中に消えた。

 慱は生きていた⁉
 魔王サズンデスの配下の三元将の1人として…
 慱の…いや、デスブリンガー・ダン・スーガーの復讐の物語が今始まる!
 
 何故慱は生きていたのか?
 それは第二章で明らかになるのだった。

 第一章・完
 
 第二章へ続く…
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