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第一章

第三話 翔也の策略(自分勝手な想像をしているみたいですが…)

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 国王陛下の会見後、翔也は用意されている部屋でベッドに腰掛けていた。
 目の前には、2つの魔道具が置いてあった。
 本来は拘束用の魔道具なのだが、もう1つはスペアではなく…強力な睡眠の効果がある魔道具だった。
 もしも華奈が邪魔をする様な事があれば使う様にと、国王陛下が部屋から出る時に渡してくれた。

 「後は勇者に関する魔法についてだが…?」

 過去の勇者が使っていたのを記されていたという魔導書を開いて読んでみた。
 過去の勇者がこの世界に来た際に最初に覚えた魔法は、麻痺の魔法のスタンという話だった。
 翔也の使う天の術は、雷魔法と光魔法がメインの物だった。
 なので、行動を封じる雷魔法のスタンを選んだのであるが…?

 「これで魔物に弱めのスタンを放ってから、華奈に魔道具を使用してから慱を拘束で…いや?」

 もう1人忘れていた。
 賢斗が阻止する可能性があったのを。

 「慱思いの賢斗だったら、俺が慱にしようとしている事は絶対に阻止して来るはず…」

 野犬に襲われて以降、賢斗は何かと慱を気に掛けていた。
 だが、奴も人間だから自分が殺されそうになれば逃げだす事は…いや、どうだろうか?
 慱がいるのなら…と言って残る可能性があるかもしれないな?
 飛鳥は賢斗に御執心だから…賢斗に危険が及ぶとしたら意地でも守ろうとする筈?
 まぁ、賢斗を丸め込む事は恐らく無理だろうから、いざとなったら賢斗も眠らせて飛鳥に運ばせよう。

 「それにしても華奈の奴、慱に久々に会えるからと嬉しそうな顔をしやがって…」

 だが、まぁ良いだろう。
 今日が慱と華奈の最後の話し合いになる訳だし、明日はそうそう話なんて出来ないだろうからな。
 翔也は、明日の狩場の魔物を確認した。
 調査で赴く場所は、肉食獣の狩場で魔王の配下がいる訳ではない。

 「ヴェロキスライサーか、これなら慱も逃げられないか…」

 ヴェロキスライサーは、獲物を見付けると群れで襲ってくるという肉食獣で、恐竜時代のヴェロキラプトルに似た魔物である。
 高ランクの冒険者でも奴等に群れで見付かると、逃げる事が出来ずに喰われるという。
 喰われると、骨すら残さないとも書いてあった。

 翔也は、計画をもう1度おさらいした。
 慱に劣化した武器を渡して、俺と慱と飛鳥で先頭を歩き…魔物に囲まれていると言ってから、飛鳥に二人を守る様に命令してから華奈と賢斗を下がらせる。
 その間、魔物は俺と慱で引き付けておくという。
 そして隙を見てから、魔道具で華奈と賢斗を眠らせてから…その後に魔物にスタンを放ってから油断した慱に拘束の魔法具を使用。
 そして慱に保険としてスタン魔法を施してから、慱は「後は任せろ!」と言って、俺に華奈や賢斗を守りながら逃げる様に…と。

 計画はこんな物か…いや、万が一の策も考えておかないとな?
 明日が楽しみだよ…なぁ、慱?
 これで華奈は、俺の物に…クックックw

 果たして、翔也の計画は上手く行くのだろうか?
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