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プロローグ

異世界召喚

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 「慱、早くしろよ~!」
 「待ってくれよ、翔也!」

 僕の名前は、洲河すが   だん
 僕は昼休みやったゲームに敗北して、罰ゲームで幼馴染達全員分の菓子と飲み物を買いに行かされていた。
 ちなみに幼馴染達とは、咲良井さくらい 翔也しょうや聖奈月みなづき 華奈かな夏奈星ななせ 賢斗けんと紅蓮院ぐれんいん 飛鳥あすかだ。

 「これは翔也で、これは華奈ので、この2つは賢斗と飛鳥だね?」
 「慱、お金は大丈夫?」
 「これ位なら問題ないよ、今月は少し余裕があるから…」
 「慱もバイトはわかるけど、少し減らしたら?」

 僕は生活費を稼ぐ為に複数のバイトを掛け持ちしていた。
 理由は…8年前に両親と妹を交通事故で亡くし、両親が駆け落ち婚だったので親戚を頼る事も出来ないからである。

 「今日もこれからバイトか?」
 「いや、今日は休みを貰った。 毎年の事だけど、この時期は身体に過剰に痛みがあってね…」
 
 慱は子供の頃に幼馴染達を助ける為に、狼の群れに立ち向かったが数の多さに途中に倒れて身体中に酷い怪我を負った。
 後遺症で今でも左手の薬指と小指が痺れて痛むのと、身体中の筋肉が痛むらしいのだ。
 その為に、慱は夏場でも長袖なのだ。

  「それにしても、翔也と賢斗は相変わらずモテるねぇ…」
 「いきなりなんだ? まぁ、下級生が少し騒いでいる程度だよ。」
 「僕は別にモテる訳じゃないさ…」

 翔也は華奈を横目で見て、賢斗は満更でもない顔をしている。
 その賢斗の様子を面白くなさそうに飛鳥が見ていた。

 「僕も人並みにはモテたいけどね…運動は、身体に負担が掛かるから活躍は出来ないし、勉強だって賢斗には敵わない。」
 「慱の場合は身体が満足に動くのなら、俺にも引けは取らないさ。」
 「小学校までは、僕の方が慱より下だったんだから…」

 慱は野犬に襲われた以来、身体を酷使する様な動きは出来なくなった。
 バイトでは、そこまでの事を要求されないので普通に動く分なら大丈夫なのだが…?
 それに、野犬事件以降…慱の知能は平均より若干低い。
 事件後のショックにより、記憶が欠損している様な状態なのだ。

 「まだ時間はあるけど、ごめん! 体が痛み出したから、家に帰って薬を飲みたい。」
 
 慱は立ち上がろうとしたが、足に力が入らずによろけそうになった。
 それを華奈が支えてくれた。
 
 「私が慱の家まで付き添ってあげるわ!」
 「駄目だよ華奈、君の帰りが遅くなる…」
 「大丈夫! ついでに夕食も作ってあげるから!」
 
 僕は翔也と賢斗を見てアイコンタクトを送った。
 2人は頷くと、華奈と交代して体を支えてくれた。
 
 「いや、慱は俺達が送って行くよ。 華奈と飛鳥は先に帰って良いよ!」
 「そうそう、これくらいは僕達にさせてくれよ! な、慱!」
 
 僕は小声で2人にお礼を言った。
 今の体の状態で、華奈の料理を食べたら余計に悪化しそうだったからだ。
 翔也も賢斗も華奈の料理を味わっているので、それから逃げる為の行動なのだ。
 
 「それなら仕方ないわね…ちゃんと送ったら、2人共すぐに帰るのよ。」
 「「「はぁ~」」」 

 翔也に肩を借りて、賢斗は鞄を持ってくれた。
 その場を離れようとすると、地面に魔法陣が現れた。
 魔法陣が光りだすと、光に包まれて…?
 目を開けると、窓のないレンガの様な部屋にいた。

 「救世主様方、ようこそいらっしゃいました!」
 
 白い法衣を着た女性は、待ち焦がれた様な声で言った。
 幼馴染達は何が起こったのか何も把握出来ないでいたが、慱だけは周りを見ながら言った。

 「これって、異世界召喚…なのかな?」
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