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第五章

閑話 キッド・リターンズとは?

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 キッド・リターンズは、【スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します!】の主人公である。

 正確に言えば…少し違うか?

 元々は地球での名前は、紅蓮院ぐれんいん 喬介きょうすけという名で、【幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?】に登場する剣聖・紅蓮院ぐれんいん 飛鳥あすかの兄である。

 喬介は幼馴染達3人と料理店をオープンする為に準備に追われていた。
 
 ある時喬介は、前の職場で送別会をして貰った帰りにトラックに撥ねられて命を失い…とある異世界の赤子に転生した。

 リターンズ夫妻はとある遺跡の調査でオーブに入っている赤子を見付けた。

 数ヶ月前にリターンズ夫妻は、長男を産んだがすぐに亡くなってしまった。

 オーブに入っているその子を見て、失った子と重なった為に家に連れ帰る事にした。

 ここまでは良くある異世界転生の話なのだが…?

 ここから先が少し厄介な話である。

 リターンズ夫妻の妻のカノンは、とある国の聖女だった。

 異世界では赤子の生存率は極めて低い為に、教会では生まれたばかりの子供に保護魔法を施すのが常識だった。

 だがリターンズ夫妻が我が子を授かったのは辺境の僻地で環境が悪い場所で産み落とした。

 カノンはすぐに保護魔法を掛けたが、赤子が暮らすには適さなかった為にその子は数日後に死亡した。

 そういう経緯があり、カノンはオーブに入っている子を取り出してから少し強めの保護魔法を掛けた。

 そして亡くなった子供と同じ名前の【テッド】の名を授けて育てる事になった。

 そう…この時点では【キッド】では無かった。

 リターンズ夫妻は、テッドを育てて行く間に1年後に長女のリットが産まれ、その1年後に次女と三女で双子のルットとロットを産んだ。

 家族6人で暮らしていたが…ある時に近くの森でスタンピードが発生し、街の中にいる冒険者が駆り出された。

 その中にはリターンズ夫妻も加わっていた。

 あまりにも多勢に無勢だったが、リターンズ夫妻のバットンとカノンの活躍で被害は最小限に食い止められた。

 だが、このスタンピードでリターンズ夫妻は命を落とした。

 残された子供達は、数年間は両親が残してくれた保険金で生きて行く事ができた。

 だがその金額も心許なくなった頃に、テッドはなけなしの金で神殿で神託の儀に参加した際に、ジョブなしだが…スキルに【調味料】という特殊なスキルを手に入れた。

 これにより、すぐに街中に広まってテッドは笑われる日々を過ごしていた。

 テッドはそんな事を気にしている余裕は無くて、冒険者ギルドに登録して冒険者となって依頼をこなして妹達を喰わせて行った。

 そうして仕事をこなしていくある日の事だった。

 冒険者殺しと名高い魔獣マーダーグリズリーが馬車を襲っているところを出くわした。

 馬車の感じからして位の高い貴族なのは間違いがない。

 その周囲にはマーダーグリズリーに挑んで返り討ちに遭った騎士達が横たわっていた。

 馬車の中から聞こえる悲鳴に対し、テッドは無謀にもマーダーグリズリーに挑んだ。

 そして見事にマーダーグリズリーを討伐して、家に帰ると…すぐに冒険者ギルドの職員に呼び出されて冒険者ギルドに向かった。

 すると先程の馬車に乗っていた女の子と男の子の親である、グランベリオン公爵にテッドは感謝されてテッドは一躍【英雄】の称号を受け取り、そこから生活が一変する。

 資金に余裕が出来たテッドは妹のリットにも神託の儀を行った。

 するとリットが得た物は、ジョブは【剣聖】と【料理人】、スキルは【炎魔法】だった。

 ジョブを2つも取得した者は、未だかつて皆無だった。

 テッドはその事に酷く落ち込んだ。

 冒険者ギルドのギルドマスターテスタは、剣聖誕生の祝いにリットに聖剣グランマルスを…テッドには魔剣シーズニングを授けた。

 そしてテッドとリットは冒険者生活をスタートした時に、魔王ヴァルサリンガの配下のミノタウロスのヴァルギスタイガーとの戦闘になり見事勝利した。

 それ以降…テッドは魔王ヴァルサリンガに目を付けられてしまう事になった。

 それから数か月後に双子の妹のルットとロットが神託の儀式になる年齢になって、ルットはジョブに【魔人】と【裁縫士】、スキルに【黒魔法】を取得した。
 
 そしてロットもジョブに【聖女】と【彫金士】、スキルに【白魔法】を取得した。

 テッドはリットだけでなく、ルットやロットも2つのジョブを取得して益々落ち込んだ。

 だが気にしていても仕方がないと割り切ったテッドは、兄妹で依頼を遂行しようとした時に…魔王ヴァルサリンガの第二の刺客である風の魔将フェルスリーヴァと戦う事になった。

 テッドの調味料、リットの剣技、ルットの黒魔法、ロットの白魔法を駆使して…風の魔将フェルスリーヴァを撃破した。

 度重なる配下の撃破に魔王ヴァルサリンガは、配下の2人を倒した者を見定める為に地上に降り立った。

 魔王ヴァルサリンガと対峙するテッド達…

 そして魔王ヴァルサリンガの放った魔法により、テッドの出生の秘密が明かされた。

 テッドと妹達に血の繋がりは無かったのが発覚した。

 テッドは絶望をしたが、妹達の言葉で持ち直した後に…魔剣シーズニングの力が開放されて魔王ヴァルサリンガを退ける事に成功した。

 そして冒険者ギルドに帰った後にギルドマスターのテスタが家に来てから衝撃の事実が告げられた。

 一度は妹達の励ましにより復活したテッドだったが、待っていたのは更なる絶望だった。

 テッドは家を飛び出してから街の外の静かな場所で、今後どうしたら良いかを悩んでいると…魔王ヴァルサリンガの配下の第三の刺客が現れた。

 ところが…気が立っていたテッドに第三の刺客はあっさりやられ、頭の冷えたテッドが家に帰って眠りに就くと…聖女の魔法が解除された。

 すると、テッドの人格が眠りに就き…キッドの人格が生まれるのだった。

 いや、目覚めたというのが正解だろうか?

 キッドは転生する際に神に1度だけ面会出来るギフトを授かった。

 そして女神アルテナとの会話をした後に、キッドが出した条件を叶える為には女神アルテナから2つの条件を提示された。

 その条件は簡単に済む話ではない物だった。
 
 その中には魔王ヴァルサリンガを討伐するという話が含まれていたからだ。

 キッド…と妹達は協力をして最後の魔王の幹部を倒した。

 後残るは魔王のみ…という少し前にあるアクシデントが起きた。

 リットとルットとロットの右手に勇者の紋章が現れたのだった。

 勇者の力により、妹達の能力は飛躍的に上がり…魔王ヴァルサリンガとの決戦が始まった。

 激闘…中にはセコイ戦いもあったが、遂に魔王ヴァルサリンガを倒す事に成功した。

 そしてキッドは再び女神アルテナに会って話をした。

 キッドの出した条件は、体の中に眠るテッドに肉体を与える事だった。

 女神アルテナは見事にキッドの願いを叶えて、テッドは1人の人間としてキッドの目の前に現れた。

 そしてキッドにテッド、妹達は末永く幸せに暮らしましたとさ…という訳にはいかなかった。

 それはテッドに肉体を与える条件として、魔王ヴァルサリンガを討伐した際に女神アルテナからの条件があったからだった。

 女神アルテナの条件とは…女神アルテナの神族が管理する星の応援に向かうという物だった。

 その世界では7人の魔王が存在し、その内の1人は討伐されたという話だった。

 キッドの使命は、その世界に赴いて魔王に対抗する双子に助力をして欲しいという物だった。

 そしてキッドはこの世界に転生して来たが、女神アルテナの願いを聞いてリュカ達のいるセヴンスガルドに転移して来たのだった。

 だが…?

 キッドは未だにリュカ達に会えずにいた。

 「アルテナの奴め…この世界の管理者に会えねぇじゃねーか‼ あの耄碌女神め、帰ったら一度ぶん殴ってやる‼」

 キッドは密かにそう誓ったのだった。

 キッドがリュカ達に会えるのはいつになるのだろうか?

 そしてキッドは、無事に元の世界に帰る事は出来るのだろうか? 
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