22 / 38
第一部
第二十一話 お約束的な…逆恨み?
しおりを挟む
俺はならず者どもの道を抜けてから酒場に来た。
そして中に入るといつもの合図をしようとしたが…!
「不要ですぜ、旦那!」
「そうか…」
「調査の方がまだ完全では無いのですが、今日はどの様なご用件で?」
「これは別件で追加で調べて欲しいんだが?」
「統括がおりませんが…話だけは聞きましょう。」
「ふむ、サンデルマン伯爵令息という奴の素性を知りたい。」
「サンデルマン伯爵の令息という事は、あの成金デブの事ですか?」
「知っているのか?」
「この王都では有名な話ですよ。気に入った女や物を見付ければ、金の力でなんでも物にしようとする成金デブですが、何故こんな小物の事が知りたいので?」
「あぁ、実はな…」
俺はサンデルマン伯爵令息から雇われた野盗崩れの女から、俺を連れて来いと頼まれたという話だった。
そして俺は、人を斬ることが出来ない臆病者と…。
なので、その場にいた奴等を全員始末したのだが。
「何故、貴族令息が俺に用事があるのかが気になってな。俺が忘れているだけで、そいつと以前に何かがあったとも思えんしな。とてもじゃ無いが、接点を感じなくてな。」
「嫌がる女の前に割って入って助けた…とかは無いですかい?」
「あったかも知れんが覚えてねぇ!情報屋とかなら、絵の上手い奴もいるだろ?」
「ですね、シードル!」
「あいよ、あの成金デブですよね?」
シードルという男が描いてくれた似顔絵を見たのだが?
確かに髪がボサついていて、顔にはソバカスで、全身がパンパンに膨らんだ醜いデブが貴族の服を着ている様な男の姿だった。
だが…全く見覚えがなかった。
「誰だ、コイツ?」
「コイツが成金デブ…サンデルマン伯爵令息です。」
「いや…それは分かるんだが、俺はこんな奴と関わった記憶はないぞ?」
俺は基本的に、物事が過ぎれば余程記憶に残るような出来事ではない限り覚えている事はない。
忘れっぽい…というか、他にも覚えなければならない事がある為に、いちいち記憶の容量を無駄にはしたくない。
ただ、幾ら忘れるとは言っても…こんな特徴的な成金デブを忘れる事はないと思うのだが?
そんな事を考えていると、いつの間にか居なくなっていた情報屋の少年が現れた。
すると、こんな事を話してくれた。
「この成金デブの情報を仕入れて来ました。」
「どうだった?」
「旦那がクエストで負傷を負って入院している際に、あの成金デブが妹様を見て一目惚れしたらしく…貴族の名を名乗って無理やり連れて行こうとしたのですが、お仲間様に阻まれて…」
「そんな事を言われた事はなかったぞ?それに王国に仕える勇者を無理やりって、幾ら貴族でも許されないだろ?」
「それで妹様は、リーダはテクト・バーグライドだと言って…」
「ならそいつと話をさせろとなった時に、入院していない事を告げると、その場はそこから立ち去ったらしいです。」
そして後日にそいつの使いが俺のところに来て、俺を連れて行こうとしたのか…。
俺がその時に居ないで入院していたという話を聞いて弱いと勘違いしたのか…。
どおりで会ったことも見覚えが無いと思ったよ。
俺は報酬代わりに、金貨を一枚ずつ渡した。
「旦那、こんなに良いんですかい?」
「あ、つりがあるなら…サンデルマン伯爵家の場所を教えてくれ!」
「まさか旦那…襲撃でも掛けるんですかい⁉︎」
「流石に貴族を敵回そうとは思わないが、理不尽な理由で俺を襲って来た責任くらいは取りたくてな。」
「なら…御案内しましょう。それと、影は要りますか?」
「戦闘面では必要ないが、中の偵察には欲しいな。」
俺は二人に少年を借りた。
どちらも闇に紛れやすそうな格好をしていた。
「さて、行くとするか…あ、もう一つ聞きたいんだが、サンデルマン伯爵というのはまともか?」
「いえ、あんな成金デブを溺愛していて、金と権力を使って無かった事にするというクズです。」
「なんでそんな奴が伯爵を名乗っていられるんだ?普通ならとっくに王国から潰されてもおかしくないだろう?」
「上位貴族に太いパイプを持っているそうです。なので迂闊に逆らう事が出来ずに、男爵家や子爵家を…」
男はそういうと、血が出るくらいに拳を握り締めた。
俺は追加で、ビジョンスフィアとボイススフィアを借りた。
「よし、行くぞ!」
「旦那、お気を付けて!」
「あぁ、それと報酬は…伯爵家の資産と手土産を用意しておくから楽しみにしてろ。」
元勇者の前にやる事が増えてしまったが…妹に関する事なら黙っている場合ではないな!
さて…掃除の始まりだ‼︎
そして中に入るといつもの合図をしようとしたが…!
「不要ですぜ、旦那!」
「そうか…」
「調査の方がまだ完全では無いのですが、今日はどの様なご用件で?」
「これは別件で追加で調べて欲しいんだが?」
「統括がおりませんが…話だけは聞きましょう。」
「ふむ、サンデルマン伯爵令息という奴の素性を知りたい。」
「サンデルマン伯爵の令息という事は、あの成金デブの事ですか?」
「知っているのか?」
「この王都では有名な話ですよ。気に入った女や物を見付ければ、金の力でなんでも物にしようとする成金デブですが、何故こんな小物の事が知りたいので?」
「あぁ、実はな…」
俺はサンデルマン伯爵令息から雇われた野盗崩れの女から、俺を連れて来いと頼まれたという話だった。
そして俺は、人を斬ることが出来ない臆病者と…。
なので、その場にいた奴等を全員始末したのだが。
「何故、貴族令息が俺に用事があるのかが気になってな。俺が忘れているだけで、そいつと以前に何かがあったとも思えんしな。とてもじゃ無いが、接点を感じなくてな。」
「嫌がる女の前に割って入って助けた…とかは無いですかい?」
「あったかも知れんが覚えてねぇ!情報屋とかなら、絵の上手い奴もいるだろ?」
「ですね、シードル!」
「あいよ、あの成金デブですよね?」
シードルという男が描いてくれた似顔絵を見たのだが?
確かに髪がボサついていて、顔にはソバカスで、全身がパンパンに膨らんだ醜いデブが貴族の服を着ている様な男の姿だった。
だが…全く見覚えがなかった。
「誰だ、コイツ?」
「コイツが成金デブ…サンデルマン伯爵令息です。」
「いや…それは分かるんだが、俺はこんな奴と関わった記憶はないぞ?」
俺は基本的に、物事が過ぎれば余程記憶に残るような出来事ではない限り覚えている事はない。
忘れっぽい…というか、他にも覚えなければならない事がある為に、いちいち記憶の容量を無駄にはしたくない。
ただ、幾ら忘れるとは言っても…こんな特徴的な成金デブを忘れる事はないと思うのだが?
そんな事を考えていると、いつの間にか居なくなっていた情報屋の少年が現れた。
すると、こんな事を話してくれた。
「この成金デブの情報を仕入れて来ました。」
「どうだった?」
「旦那がクエストで負傷を負って入院している際に、あの成金デブが妹様を見て一目惚れしたらしく…貴族の名を名乗って無理やり連れて行こうとしたのですが、お仲間様に阻まれて…」
「そんな事を言われた事はなかったぞ?それに王国に仕える勇者を無理やりって、幾ら貴族でも許されないだろ?」
「それで妹様は、リーダはテクト・バーグライドだと言って…」
「ならそいつと話をさせろとなった時に、入院していない事を告げると、その場はそこから立ち去ったらしいです。」
そして後日にそいつの使いが俺のところに来て、俺を連れて行こうとしたのか…。
俺がその時に居ないで入院していたという話を聞いて弱いと勘違いしたのか…。
どおりで会ったことも見覚えが無いと思ったよ。
俺は報酬代わりに、金貨を一枚ずつ渡した。
「旦那、こんなに良いんですかい?」
「あ、つりがあるなら…サンデルマン伯爵家の場所を教えてくれ!」
「まさか旦那…襲撃でも掛けるんですかい⁉︎」
「流石に貴族を敵回そうとは思わないが、理不尽な理由で俺を襲って来た責任くらいは取りたくてな。」
「なら…御案内しましょう。それと、影は要りますか?」
「戦闘面では必要ないが、中の偵察には欲しいな。」
俺は二人に少年を借りた。
どちらも闇に紛れやすそうな格好をしていた。
「さて、行くとするか…あ、もう一つ聞きたいんだが、サンデルマン伯爵というのはまともか?」
「いえ、あんな成金デブを溺愛していて、金と権力を使って無かった事にするというクズです。」
「なんでそんな奴が伯爵を名乗っていられるんだ?普通ならとっくに王国から潰されてもおかしくないだろう?」
「上位貴族に太いパイプを持っているそうです。なので迂闊に逆らう事が出来ずに、男爵家や子爵家を…」
男はそういうと、血が出るくらいに拳を握り締めた。
俺は追加で、ビジョンスフィアとボイススフィアを借りた。
「よし、行くぞ!」
「旦那、お気を付けて!」
「あぁ、それと報酬は…伯爵家の資産と手土産を用意しておくから楽しみにしてろ。」
元勇者の前にやる事が増えてしまったが…妹に関する事なら黙っている場合ではないな!
さて…掃除の始まりだ‼︎
10
お気に入りに追加
1,986
あなたにおすすめの小説
元勇者の俺は、クラス転移された先で問答無用に殺されかけたので、魔王の部下になることにした
あおぞら
ファンタジー
ある日突然、とある高校の2年3組の生徒たち全員がクラス転移で異世界に召喚された。
そして召喚早々、人間種を脅かす魔王を討伐して欲しいと言うラノベのテンプレの様な事をお願いされる。
クラスの全員(陽キャのみ)で話し合った結果、魔王を討伐することになった。
そこで勇者の象徴のチートスキルを鑑定されるも、主人公である浅井優斗(あさいゆうと)だげチートスキルを持っておらず無能と言われ、挙句の果てに魔王のスパイとしてクラスメイトから殺人者と罵られ殺されそうになるも、難なく返り討ちにしてしまう。
何故返り討ちにできたかと言うと、実は優斗はこの世界を一度救った元勇者のため、強すぎて鑑定が出来なかっただけだったのだ。
しかしこの出来事と何日か過ごした時に沢山の人間の醜い姿を見て、とうとう人間を見限った優斗は―――
「初めまして今代の魔王。元勇者だが……俺をお前の部下にしてくれ」
「ええっ!?」
―――魔王軍に入ることにした。
トカゲ(本当は神竜)を召喚した聖獣使い、竜の背中で開拓ライフ~無能と言われ追放されたので、空の上に建国します~
水都 蓮(みなとれん)
ファンタジー
本作品の書籍版の四巻と水月とーこ先生によるコミックスの一巻が6/19(水)に発売となります!!
それにともない、現在公開中のエピソードも非公開となります。
貧乏貴族家の長男レヴィンは《聖獣使い》である。
しかし、儀式でトカゲの卵を召喚したことから、レヴィンは国王の怒りを買い、執拗な暴力の末に国外に追放されてしまうのであった。
おまけに幼馴染みのアリアと公爵家長子アーガスの婚姻が発表されたことで、レヴィンは全てを失ってしまうのであった。
国を追われ森を彷徨うレヴィンであったが、そこで自分が授かったトカゲがただのトカゲでなく、伝説の神竜族の姫であることを知る。
エルフィと名付けられた神竜の子は、あっという間に成長し、レヴィンを巨大な竜の眠る遺跡へと導いた。
その竜は背中に都市を乗せた、空飛ぶ竜大陸とも言うべき存在であった。
エルフィは、レヴィンに都市を復興させて一緒に住もうと提案する。
幼馴染みも目的も故郷も失ったレヴィンはそれを了承し、竜の背中に移住することを決意した。
そんな未知の大陸での開拓を手伝うのは、レヴィンが契約した《聖獣》、そして、ブラック国家やギルドに使い潰されたり、追放されたりしたチート持ちであった。
レヴィンは彼らに衣食住を与えたり、スキルのデメリットを解決するための聖獣をパートナーに付けたりしながら、竜大陸への移住プランを提案していく。
やがて、レヴィンが空中に築いた国家は手が付けられないほどに繁栄し、周辺国家の注目を集めていく。
一方、仲間達は、レヴィンに人生を変えられたことから、何故か彼をママと崇められるようになるのであった。
チートスキルで無自覚無双 ~ゴミスキルばかり入手したと思ってましたが実は最強でした~
Tamaki Yoshigae
ファンタジー
北野悠人は世界に突如現れたスキルガチャを引いたが、外れスキルしか手に入らなかった……と思っていた。
が、実は彼が引いていたのは世界最強のスキルばかりだった。
災厄級魔物の討伐、その素材を用いてチートアイテムを作る錬金術、アイテムを更に規格外なものに昇華させる付与術。
何でも全て自分でできてしまう彼は、自分でも気づかないうちに圧倒的存在に成り上がってしまう。
※小説家になろうでも連載してます(最高ジャンル別1位)
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
便利すぎるチュートリアルスキルで異世界ぽよんぽよん生活
御峰。
ファンタジー
旧題:チュートリアルスキルが便利過ぎて、チートスキルがなくても異世界ライフは楽です。
前世で勇者となる者に巻き込まれる形で転生を果たすワタル。
天使様の厚意で転生前にチュートリアルを体験する事になった。
しかし、チュートリアル体験中に、勇者がチュートリアルをクリアしてしまい、チュートリアルの途中で転生する事に。
勇者ではないワタルには最上級のチートスキルが与えられなかったが、チュートリアルをクリアしてないのに転生した事により、エラーが発生し、チュートリアルスキルをそのままに転生を果たした。
転生後、8歳児として目を覚ますワタル。
チートスキルはないが、チュートリアルスキルが便利且つ最強過ぎて、異世界ライフに困る事なく、好きな事をしながら楽しい異世界ライフを送る。
チュートリアルスキルで召喚した前世で飼っていた最愛のペットのコテツと冒険しながら、スライムを大量にテイムし人々を癒す【ぽよんぽよんリラックス】を結成し多くの人を心から癒し、困っていた獣人達を救って毎日猫耳と猫尻尾を愛でながら町なんかを作ったり、ダンジョンに潜ったり、時には何もせずに昼寝をしたり、出会った神獣と心を通わせてモフモフさせて貰ったり、時には魔王軍とご飯を食べながら勇者の愚痴を言い合ったりと楽しい異世界ライフを送る。
※アルファポリスオンリー作品です。
※ハーレムっぽく見えて、ハーレムではありません。
※ファンタジー小説大賞挑戦作品となりますので、応援してくださると嬉しいです。
※コメントは基本全承諾及び返信しております。コメントを残してくださると作者が喜びます!
万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?
Gai
ファンタジー
鉄柱が頭にぶつかって死んでしまった少年は神様からもう異世界へ転生させて貰う。
貴族の四男として生まれ変わった少年、ライルは属性魔法の適性が全くなかった。
貴族として生まれた子にとっては珍しいケースであり、ラガスは周りから憐みの目で見られる事が多かった。
ただ、ライルには属性魔法なんて比べものにならない魔法を持っていた。
「はぁーー・・・・・・属性魔法を持っている、それってそんなに凄い事なのか?」
基本気だるげなライルは基本目立ちたくはないが、売られた値段は良い値で買う男。
さてさて、プライドをへし折られる犠牲者はどれだけ出るのか・・・・・・
タイトルに書いてあるパートナーは序盤にはあまり出てきません。
冒険がしたい創造スキル持ちの転生者
Gai
ファンタジー
死因がわからないまま神様に異世界に転生させられた久我蒼谷。
転生した世界はファンタジー好きの者なら心が躍る剣や魔法、冒険者ギルドにドラゴンが存在する世界。
そんな世界を転生した主人公が存分に楽しんでいく物語です。
祝書籍化!!
今月の下旬にアルファポリス文庫さんから冒険がしたい創造スキル持ちの転生者が単行本になって発売されました!
本日家に実物が届きましたが・・・本当に嬉しくて涙が出そうになりました。
ゼルートやゲイル達をみことあけみ様が書いてくれました!!
是非彼らの活躍を読んで頂けると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる