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キッドが旅立った後の兄妹達
第三話 罠を仕掛けますかw
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「お兄ちゃん、これって…?」
「ん? 何か変?」
「いや、だって…落とし穴だよ? こんなのに引っ掛かる冒険者っているかな?」
僕達は少し離れた場所で気配を殺して獲物が落ちるのを待っていた。
「リットに1つ良い事を教えてあげる。」
「なぁに?」
「人ってね…あからさまな罠は警戒するけど、古典的な罠程引っ掛かり易いんだよ。 なので、しばらく待つと…」
『うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
「…という事になる。」
「・・・・・・・・・」
てっきり2人でこちらに来ると思っていたが、1人が落ちた声しかしなかった。
すると、1人は偵察で偵察後に仲間が合流する手筈になるのかという感じなんだろう。
僕とリットは落ちた穴の前に来ると、穴の底を見て言った。
「さて、貴方に聞きたいんだけど…確か昨日大型の肉食獣に連れて行かれたんじゃなかったっけ?」
穴の底には、昨日肉食獣に連れて行かれた筈のギルド職員を装った男が落ちていた。
男は応答をしなかった。
「貴方はどこの誰ですか?…なんていうすっ呆けた事を聞くつもりはありません。 Cランクのベクターの仲間の人ですよね?」
「な…何の事だ?」
「おやおや…もうバレているのに惚けるおつもりですか?」
何て往生際の悪い人だ!
すっ呆けるつもりなら、ある事を教えてあげる事にした。
「良い事を教えてあげましょう! 昨日に貴方ともう1人の方が解体した魔物の中に虎型の魔物がいたのを覚えていますか?」
「・・・・・・・・・」
「だんまりですか! あぁ、良いでしょう…その虎型の魔物ですが、実は魔獣でブラステルティーガーという魔獣なのですが、名前に聞き覚えはありますか?」
「・・・・・・・・・」
「ふむ…ブラステルティーガーという魔獣は、討伐ランクがA+という魔獣で、Sランクで同等でAランクで苦戦して倒せるという物です。 なので、Bランクに近い実力ですが、Cランクのベクターに倒せる訳が無いんですよ。」
「⁉」
「気付きましたか? 昨日のベクターの討伐証明部位のボックスの中に、僕達の倒したブラステルティーガーの部位が入っていたんですよ。」
「なら何か! お前達はSランクとでもいうつもりか?」
「あー内緒にしていたのですが、もう話しても良いか。 貴方だけに教えてあげますよ、僕の名前はテッド・リターンズといいます。」
「テッド・リターンズって…勇者と共に魔王を倒したっていう? へっ…そんな奴がこんな場所に…」
「居るんですよねぇw ではお聞きしますが、ブラステルティーガー相手に僕達が苦戦している様に見えましたか?」
穴の底の男は考え込んでいた。
そしてハッとなって思い出した。
「確かに、どの魔獣と戦っていても苦戦している様には見えなかったな!」
「ちなみに僕達のランクはSランクではありません。 SSランクです…ランクを明かせないと言ったSランクのヴェイガストさんの意味が解りましたか?」
「証拠はあるのか?」
「ギルドカードを見せれば良いのでしたら、これを。 これでも疑われるのでしたら、妹達に宿る勇者の紋章でもお見せしましょうか?」
「本当に…SSランクだと⁉」
「では、お話願えませんか?」
穴の底の男が口を開くのを待っているけど、中々口を開こうとはしない。
時間稼ぎだとしたら、何を待っているんだろう?
そう思っていたら…ふと気付いたので、僕はルットに索敵魔法を展開させた。
すると、こっちに向かって来る4人が僕等の居る場所に近付いて来ているのだった。
「おい、ガキの始末は出来たか? ガキ共の武器やマジックバックを回収してさっさとズラかるぞ!」
「なるほど…時間稼ぎの理由はこれですか! 魔物の素材が狙いかと思っていたら、僕達のマジックバックや武器が狙いだったとは?」
「お前…ガストの奴、しくじったのか⁉」
「穴の底の人の名前はガストというのですか…って、貴方は昨日ギルド職員を装ったもう1人の方ですね?」
すると穴の底から叫び声がした。
「ホルト、コイツ等から早く逃げろ! お前達では歯が立たない‼」
「ガストの奴は何を言っているんだ? ガキ共が強いのは、ただ単に武器が恵まれているだけだとベクターさんが言っていたじゃないか! それさえ封じてしまえば、ガキ共なんて…」
ホルトと呼ばれる男の背後で魔術師らしき男は魔道具を発動させた。
そしてその魔術師の男は笑いながら言った。
「この魔道具はな…中級迄のジョブの動きを封じるという物なのだ。 これでお前達の動きは完全に封じられた! 命が惜しくば武器とマジックバックを置け!」
「中級のジョブねぇ? なら、ジョブが無い者や上級ジョブだった場合はどうなるの?」
「ジョブが無い奴なんている訳がない! それに上級ジョブには意味がないが…お前達の中に上級ジョブを持つ者がいる筈がないだろう!」
なるほど…なら、この魔道具の効果は僕達には効果が無いのか。
僕はジョブなしで、妹達は剣聖・魔人・聖女という最上級のジョブの上に勇者の加護がある。
魔道具を発動した際に身構えたのを動けないと勘違いして嘲笑っていたみたいだけど…
動けると解ったら、どういう反応をするかな?
「どうした、さっさと武器を手放せ! 命は惜しいだろ?」
「言っておくけど…僕達には効果ないよ、これ?」
「ハッタリだな! こうして動けない癖に強がりを言うな!」
「なら証拠を見せようか?」
僕は聖剣シーズニングを抜いてから、テクニカルセイバー+デスソースセイバーを起動した。
この段階で動けるという姿を見せている筈なのに、周りの目は僕の聖剣シーズニングに目が行っていた。
「やはりその剣は特殊な物だったのだな? 昨日は青い刀身で、今日は黄色の刀身か…俺らで使っても良いが、コレクターに売れば高値で売れるだろうな!」
「何で手に入る前提で話をしているんだろう? 手放す訳がないでしょう!」
「動けない奴が何を言っても…」
「動けないと誰が言いましたか?」
僕は4人に致命傷にならない位の軽い傷を負わせてから、魔道具を破壊した。
テクニカルセイバーの影響で一瞬で終わった為に、4人は斬られた事に気付くまでに若干の遅れを感じたのだった。
そして斬られた事に気付いた4人は、傷口から入り込んだデスソースの痛みにより地面でのた打ち回っていた。
「ね? 動けるでしょ…って、聞いてないか?」
「デスソースって…普通に皮膚に付着しただけでもヒリヒリするのに、傷口に入ったら地獄の様な苦しみになるよ?」
「解っててやったんだよ。 この人達は僕達から奪うのが目的みたいだったし、これ位やっても平気でしょ?」
「本当にお兄ちゃんの剣って、でたらめな効果の剣だよね?」
そろそろ痛みになれて話が出来るかと思ったけど、まだ立ち上がれるほどの元気は無いみたいだった。
おかしいなぁ?
濃度上昇は使ってないんだけどな?
もしかすると…?
「痛みに苦しんでいるフリをしながら反撃のチャンスを狙っているのなら、無駄だから辞めた方が良いよ。 これだけ実力差が解っていて歯向かうのは愚か者のする事だし…」
その言葉を聞いた4人は、ノロノロと立ち上がってみせた。
僕はルットに合図をすると、本のページに手を置いて魔法を発動すると、地面から植物のツタの様な物が3人を捕らえて落とし穴に放り込んだ。
残っているのはホルトという男だけだった。
「これで形勢は逆転しましたので、そろそろ話してくれると嬉しいのですが…」
「余裕がありそうなのは結構な事だが、現在がスタンピードの最中という事を忘れてないか?」
「あぁ、魔物の事? この辺一帯の魔物は全て討伐したから、背後から魔物が来る心配は要らないよ?」
「な…なんだと⁉ そんな馬鹿な事があって堪るか‼」
「そう言われても事実しか話していないしなぁ?」
この辺のスタンピードの魔物達は、昨日の時点で全て討伐を終えたのだった。
魔王の配下の四天王との戦いを経験していると、ただの魔物達の烏合の衆では物足りなさを感じていた。
それでもこの地点に来たのは、こうして罠を張る為だったのだった。
そして…その罠に見事に嵌ったのがコイツ等だった。
「時間が惜しいので、そろそろ全てを話して欲しい所なのですが?」
「俺が喋ると思うか?」
「先程から後方を気にしているようですが、助けが来たところでこの状況が覆せるとでも思っているのですか?」
「あぁ、思っているさ! だから俺はこうして…」
「調味料放出・サドンデスソース!」
僕はホルトに先程のデスソースの更に濃度の強い物を全身にぶっ掛けた。
顔に体に傷口に掛かって…ホルトは更なる苦しみに襲われて地面を転がっていた。
「いい加減、全てを話した方が楽になると思いますよ? 長引かせれば長引く分だけ拷問がきつくなっていきますから…」
「お前本当に子供か⁉」
キッドがこの世界から旅立つ前に色々教わった。
中には香辛料を使った拷問に近い物も教わったけど、使い道が無いと思っていたが…意外な所で役に立つ事になったのだった。
「さて、話す気になりましたか?」
「拷問がしたいならしろ! 俺達は例え殺されても口は割らん!」
「面倒だなぁ? どうするかな…」
僕は妹達の所に行って、ホルト達に聞こえる様に話をした。
「僕はこれからベクターの元に行って口を割らせようと思う。 帰って来るまで見張りをお願いね。」
「わかった…けど、どれ位掛かりそう?」
「すぐに帰って来るよ。 テクニカルセイバー!」
僕はテクニカルセイバーを起動すると、その場から素早く立ち去ったのだった。
それを見ていたホルトは、妹達に声を掛けた。
「何なんだ、あの速さは…」
「あれがお兄ちゃんの持つ聖剣の特殊効果だよ。 これなら数分であなたの仲間の元に辿り着くと思うから、少し待っていなさい!」
僕はベクターの元には行かずにキャンプ地に行って、冒険者ギルドの職員とヴェイガストにこれから起こる内容の話をした。
そして妹達の元に戻ると、話をしたのだった。
「ベクターに会ったら、僕を見て驚いていたよ。」
「まぁ、この人達の計画だと私達は始末されていると思ったでしょうからね?」
「それでね…僕の所に来たホルトやガストの事を聞いたら、そんな奴等は知らんから、始末したければ勝手に始末しろって。」
「じゃあ、どうするの?」
「どうするのって、始末する以外に他に理由がある? 僕達を襲って来たんだし、生かしておく必要ないでしょ。」
僕は妹達にそう言うと、ホルトの元に行って言った。
「仲間にも見放されたみたいだね? どんなに待っても口を割らないし…ベクターの言う通りに始末するね。」
「そ…そんな、ベクターさんが…」
「懺悔する時間も公開する時間も十分に与えた筈だったけど、それでも口を割らないなら仕方がないよね?」
僕はルットに命じて魔法の使用を許可した。
ルットはページに手を置いてから、空中に巨大な業火の玉を出現させた。
ホルトはその業火の球を見ると、恐怖を感じたのか…目を閉じながら口を開いて話し始めたのだった。
僕はルットに合図をすると、転移魔法で穴に落ちている者やホルトと僕達をキャンプに移動したのだった。
「全てはベクターさんの指示による物だ! スタンピードに参加している者達の中で少数の者達に張り付いて、持ち場を離れた隙に獲物を掻っ攫えと。 それと同時にその者達の使用している武器を確認して、人を集めて始末しろと…その武器が魔剣といった特殊な物なら、コレクターに売れば遊んで暮らせるから…と。」
「ほほぉ?」
ホルトはまだ移動した事に気付いていなかった。
ホルトの発言は、その場に居たギルド職員やヴェイガストが聞いていた。
ギルド職員の中には、録音する魔道具を使用して記録していた者もいた。
そしてホルトは目を開けてからこう言った。
「これが真相の全てだ! 全てを話したのだから、許し…て?」
ホルトはようやく現在の置かれている状況に気付いたのだった。
そして事前にギルド職員と話をしていた通りにギルド職員は王国の騎士達に連絡をして、馬車牢が到着していて…ホルトとガストと他3名は馬車牢の中に放り込まれていたのだった。
「やはりな…君が話した通りにおかしいと思ったよ。 ベクターの担当地域は昆虫系の魔物が多いが強さはそれ程ではないので、ポイントで1位になれる様な事にはならない筈だったんだ。 そして昨日の報告でベクターの討伐証明部位のボックスの中にブラステルティーガーの尾が入っていたという話じゃないか?」
「その虎が…何だと言うんだ⁉︎」
ホルトは馬車牢の中からヴェイガストに質問をした。
「ブラステルティーガーは、俺達ですら互角か…苦戦をする位の魔獣なんだよ。 それがCランクのベクターのチームに討伐出来る訳ないだろ!」
「だが、その子供はソイツを倒していたぞ!」
「倒せて当たり前だ! 彼はテッド・リターンズ…魔王ヴァルサリンガを倒した英雄なんだから‼」
「この子供が…英雄テッド・リターンズだったとは⁉」
あれ?
魔王ヴァルサリンガを倒したのはキッドだった筈?
何で僕が倒した事になっているんだろう?
僕はヴェイガストに小声で聞いてみた。
「ヴェイガストさん、魔王ヴァルサリンガを倒したのは…」
「君のお兄さんのキッド・リターンズだろ? 国王陛下が魔王を倒したのは君のお兄さんと発表したのは君の住んでいる島の中だけで、世界には君が倒した事になっているんだ。 キッド君が注目が集まるのは面倒だと言って、テッド君に押し付けたので…そう言う話になっているんだ。 ただし、Sランクの者達には真実が伝えられているんだけど、それ以下のランクの者達には伝わって無いから…」
なるほど…だからさっきガストに僕の名を明かした時に僕が魔王を倒したという様な言い方になったのか。
面倒くさがり屋のキッドは、注目が集まらない様に態と僕に手柄を譲ったのか…まぁ、今の僕はキッドと同じレベルだし、今の僕なら魔王ヴァルサリンガも倒せない事はない…とは思うけど。
ただ、キングギヴェリアンの姿以外なら…という話だけど。
「なぁ、テッド君…聞きたいのだが、ベクターが他のチームの戦利品を奪うという可能性はあるか?」
「いや、それは恐らく無理でしょう。 他のチームは討伐と解体の班を分けていますからね、それを掻い潜って奪うというのは彼等ではしないと…いや、出来ないと思いますよ。 少数チームの僕等から…とかならともかく。」
「という事は、彼らのチームは今は相当焦っているだろうね?」
「僕達から素材を奪えない、またも順位を落とすとなれば。」
「さて、彼らはどう出ると思うかい?」
「とりあえずキャンプに戻って来て、馬車牢に捕らわれている彼らを見てどんな反応をするかが楽しみですねw」
ベクターのチームは明らかな違反行為を行っていたのは明白。
こんなのでは、Bランクに昇格どころか…ランク降格も在り得る。
いや、下手したら冒険者資格の剥奪…いや、僕達を襲って武器を奪うとか話していたから、騎士団に連行されて処罰される可能性が高いか。
僕と妹達は、ヴェイガストに言って他のチームの応援に行く事にした。
そのチームはローファスの所のチームだった。
・・・・・・・・・一方、ベクターは?・・・・・・・・・
「あいつらおせぇな! たかがガキから武器を奪うだけでどれだけ時間が掛かっているんだよ⁉」
知らぬが仏とはこの事だろう。
ベクターのチームは、思った以上のポイントを稼げないままキャンプ地に戻った。
そして馬車牢に捕まった仲間を見てベクターは…?
「ん? 何か変?」
「いや、だって…落とし穴だよ? こんなのに引っ掛かる冒険者っているかな?」
僕達は少し離れた場所で気配を殺して獲物が落ちるのを待っていた。
「リットに1つ良い事を教えてあげる。」
「なぁに?」
「人ってね…あからさまな罠は警戒するけど、古典的な罠程引っ掛かり易いんだよ。 なので、しばらく待つと…」
『うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
「…という事になる。」
「・・・・・・・・・」
てっきり2人でこちらに来ると思っていたが、1人が落ちた声しかしなかった。
すると、1人は偵察で偵察後に仲間が合流する手筈になるのかという感じなんだろう。
僕とリットは落ちた穴の前に来ると、穴の底を見て言った。
「さて、貴方に聞きたいんだけど…確か昨日大型の肉食獣に連れて行かれたんじゃなかったっけ?」
穴の底には、昨日肉食獣に連れて行かれた筈のギルド職員を装った男が落ちていた。
男は応答をしなかった。
「貴方はどこの誰ですか?…なんていうすっ呆けた事を聞くつもりはありません。 Cランクのベクターの仲間の人ですよね?」
「な…何の事だ?」
「おやおや…もうバレているのに惚けるおつもりですか?」
何て往生際の悪い人だ!
すっ呆けるつもりなら、ある事を教えてあげる事にした。
「良い事を教えてあげましょう! 昨日に貴方ともう1人の方が解体した魔物の中に虎型の魔物がいたのを覚えていますか?」
「・・・・・・・・・」
「だんまりですか! あぁ、良いでしょう…その虎型の魔物ですが、実は魔獣でブラステルティーガーという魔獣なのですが、名前に聞き覚えはありますか?」
「・・・・・・・・・」
「ふむ…ブラステルティーガーという魔獣は、討伐ランクがA+という魔獣で、Sランクで同等でAランクで苦戦して倒せるという物です。 なので、Bランクに近い実力ですが、Cランクのベクターに倒せる訳が無いんですよ。」
「⁉」
「気付きましたか? 昨日のベクターの討伐証明部位のボックスの中に、僕達の倒したブラステルティーガーの部位が入っていたんですよ。」
「なら何か! お前達はSランクとでもいうつもりか?」
「あー内緒にしていたのですが、もう話しても良いか。 貴方だけに教えてあげますよ、僕の名前はテッド・リターンズといいます。」
「テッド・リターンズって…勇者と共に魔王を倒したっていう? へっ…そんな奴がこんな場所に…」
「居るんですよねぇw ではお聞きしますが、ブラステルティーガー相手に僕達が苦戦している様に見えましたか?」
穴の底の男は考え込んでいた。
そしてハッとなって思い出した。
「確かに、どの魔獣と戦っていても苦戦している様には見えなかったな!」
「ちなみに僕達のランクはSランクではありません。 SSランクです…ランクを明かせないと言ったSランクのヴェイガストさんの意味が解りましたか?」
「証拠はあるのか?」
「ギルドカードを見せれば良いのでしたら、これを。 これでも疑われるのでしたら、妹達に宿る勇者の紋章でもお見せしましょうか?」
「本当に…SSランクだと⁉」
「では、お話願えませんか?」
穴の底の男が口を開くのを待っているけど、中々口を開こうとはしない。
時間稼ぎだとしたら、何を待っているんだろう?
そう思っていたら…ふと気付いたので、僕はルットに索敵魔法を展開させた。
すると、こっちに向かって来る4人が僕等の居る場所に近付いて来ているのだった。
「おい、ガキの始末は出来たか? ガキ共の武器やマジックバックを回収してさっさとズラかるぞ!」
「なるほど…時間稼ぎの理由はこれですか! 魔物の素材が狙いかと思っていたら、僕達のマジックバックや武器が狙いだったとは?」
「お前…ガストの奴、しくじったのか⁉」
「穴の底の人の名前はガストというのですか…って、貴方は昨日ギルド職員を装ったもう1人の方ですね?」
すると穴の底から叫び声がした。
「ホルト、コイツ等から早く逃げろ! お前達では歯が立たない‼」
「ガストの奴は何を言っているんだ? ガキ共が強いのは、ただ単に武器が恵まれているだけだとベクターさんが言っていたじゃないか! それさえ封じてしまえば、ガキ共なんて…」
ホルトと呼ばれる男の背後で魔術師らしき男は魔道具を発動させた。
そしてその魔術師の男は笑いながら言った。
「この魔道具はな…中級迄のジョブの動きを封じるという物なのだ。 これでお前達の動きは完全に封じられた! 命が惜しくば武器とマジックバックを置け!」
「中級のジョブねぇ? なら、ジョブが無い者や上級ジョブだった場合はどうなるの?」
「ジョブが無い奴なんている訳がない! それに上級ジョブには意味がないが…お前達の中に上級ジョブを持つ者がいる筈がないだろう!」
なるほど…なら、この魔道具の効果は僕達には効果が無いのか。
僕はジョブなしで、妹達は剣聖・魔人・聖女という最上級のジョブの上に勇者の加護がある。
魔道具を発動した際に身構えたのを動けないと勘違いして嘲笑っていたみたいだけど…
動けると解ったら、どういう反応をするかな?
「どうした、さっさと武器を手放せ! 命は惜しいだろ?」
「言っておくけど…僕達には効果ないよ、これ?」
「ハッタリだな! こうして動けない癖に強がりを言うな!」
「なら証拠を見せようか?」
僕は聖剣シーズニングを抜いてから、テクニカルセイバー+デスソースセイバーを起動した。
この段階で動けるという姿を見せている筈なのに、周りの目は僕の聖剣シーズニングに目が行っていた。
「やはりその剣は特殊な物だったのだな? 昨日は青い刀身で、今日は黄色の刀身か…俺らで使っても良いが、コレクターに売れば高値で売れるだろうな!」
「何で手に入る前提で話をしているんだろう? 手放す訳がないでしょう!」
「動けない奴が何を言っても…」
「動けないと誰が言いましたか?」
僕は4人に致命傷にならない位の軽い傷を負わせてから、魔道具を破壊した。
テクニカルセイバーの影響で一瞬で終わった為に、4人は斬られた事に気付くまでに若干の遅れを感じたのだった。
そして斬られた事に気付いた4人は、傷口から入り込んだデスソースの痛みにより地面でのた打ち回っていた。
「ね? 動けるでしょ…って、聞いてないか?」
「デスソースって…普通に皮膚に付着しただけでもヒリヒリするのに、傷口に入ったら地獄の様な苦しみになるよ?」
「解っててやったんだよ。 この人達は僕達から奪うのが目的みたいだったし、これ位やっても平気でしょ?」
「本当にお兄ちゃんの剣って、でたらめな効果の剣だよね?」
そろそろ痛みになれて話が出来るかと思ったけど、まだ立ち上がれるほどの元気は無いみたいだった。
おかしいなぁ?
濃度上昇は使ってないんだけどな?
もしかすると…?
「痛みに苦しんでいるフリをしながら反撃のチャンスを狙っているのなら、無駄だから辞めた方が良いよ。 これだけ実力差が解っていて歯向かうのは愚か者のする事だし…」
その言葉を聞いた4人は、ノロノロと立ち上がってみせた。
僕はルットに合図をすると、本のページに手を置いて魔法を発動すると、地面から植物のツタの様な物が3人を捕らえて落とし穴に放り込んだ。
残っているのはホルトという男だけだった。
「これで形勢は逆転しましたので、そろそろ話してくれると嬉しいのですが…」
「余裕がありそうなのは結構な事だが、現在がスタンピードの最中という事を忘れてないか?」
「あぁ、魔物の事? この辺一帯の魔物は全て討伐したから、背後から魔物が来る心配は要らないよ?」
「な…なんだと⁉ そんな馬鹿な事があって堪るか‼」
「そう言われても事実しか話していないしなぁ?」
この辺のスタンピードの魔物達は、昨日の時点で全て討伐を終えたのだった。
魔王の配下の四天王との戦いを経験していると、ただの魔物達の烏合の衆では物足りなさを感じていた。
それでもこの地点に来たのは、こうして罠を張る為だったのだった。
そして…その罠に見事に嵌ったのがコイツ等だった。
「時間が惜しいので、そろそろ全てを話して欲しい所なのですが?」
「俺が喋ると思うか?」
「先程から後方を気にしているようですが、助けが来たところでこの状況が覆せるとでも思っているのですか?」
「あぁ、思っているさ! だから俺はこうして…」
「調味料放出・サドンデスソース!」
僕はホルトに先程のデスソースの更に濃度の強い物を全身にぶっ掛けた。
顔に体に傷口に掛かって…ホルトは更なる苦しみに襲われて地面を転がっていた。
「いい加減、全てを話した方が楽になると思いますよ? 長引かせれば長引く分だけ拷問がきつくなっていきますから…」
「お前本当に子供か⁉」
キッドがこの世界から旅立つ前に色々教わった。
中には香辛料を使った拷問に近い物も教わったけど、使い道が無いと思っていたが…意外な所で役に立つ事になったのだった。
「さて、話す気になりましたか?」
「拷問がしたいならしろ! 俺達は例え殺されても口は割らん!」
「面倒だなぁ? どうするかな…」
僕は妹達の所に行って、ホルト達に聞こえる様に話をした。
「僕はこれからベクターの元に行って口を割らせようと思う。 帰って来るまで見張りをお願いね。」
「わかった…けど、どれ位掛かりそう?」
「すぐに帰って来るよ。 テクニカルセイバー!」
僕はテクニカルセイバーを起動すると、その場から素早く立ち去ったのだった。
それを見ていたホルトは、妹達に声を掛けた。
「何なんだ、あの速さは…」
「あれがお兄ちゃんの持つ聖剣の特殊効果だよ。 これなら数分であなたの仲間の元に辿り着くと思うから、少し待っていなさい!」
僕はベクターの元には行かずにキャンプ地に行って、冒険者ギルドの職員とヴェイガストにこれから起こる内容の話をした。
そして妹達の元に戻ると、話をしたのだった。
「ベクターに会ったら、僕を見て驚いていたよ。」
「まぁ、この人達の計画だと私達は始末されていると思ったでしょうからね?」
「それでね…僕の所に来たホルトやガストの事を聞いたら、そんな奴等は知らんから、始末したければ勝手に始末しろって。」
「じゃあ、どうするの?」
「どうするのって、始末する以外に他に理由がある? 僕達を襲って来たんだし、生かしておく必要ないでしょ。」
僕は妹達にそう言うと、ホルトの元に行って言った。
「仲間にも見放されたみたいだね? どんなに待っても口を割らないし…ベクターの言う通りに始末するね。」
「そ…そんな、ベクターさんが…」
「懺悔する時間も公開する時間も十分に与えた筈だったけど、それでも口を割らないなら仕方がないよね?」
僕はルットに命じて魔法の使用を許可した。
ルットはページに手を置いてから、空中に巨大な業火の玉を出現させた。
ホルトはその業火の球を見ると、恐怖を感じたのか…目を閉じながら口を開いて話し始めたのだった。
僕はルットに合図をすると、転移魔法で穴に落ちている者やホルトと僕達をキャンプに移動したのだった。
「全てはベクターさんの指示による物だ! スタンピードに参加している者達の中で少数の者達に張り付いて、持ち場を離れた隙に獲物を掻っ攫えと。 それと同時にその者達の使用している武器を確認して、人を集めて始末しろと…その武器が魔剣といった特殊な物なら、コレクターに売れば遊んで暮らせるから…と。」
「ほほぉ?」
ホルトはまだ移動した事に気付いていなかった。
ホルトの発言は、その場に居たギルド職員やヴェイガストが聞いていた。
ギルド職員の中には、録音する魔道具を使用して記録していた者もいた。
そしてホルトは目を開けてからこう言った。
「これが真相の全てだ! 全てを話したのだから、許し…て?」
ホルトはようやく現在の置かれている状況に気付いたのだった。
そして事前にギルド職員と話をしていた通りにギルド職員は王国の騎士達に連絡をして、馬車牢が到着していて…ホルトとガストと他3名は馬車牢の中に放り込まれていたのだった。
「やはりな…君が話した通りにおかしいと思ったよ。 ベクターの担当地域は昆虫系の魔物が多いが強さはそれ程ではないので、ポイントで1位になれる様な事にはならない筈だったんだ。 そして昨日の報告でベクターの討伐証明部位のボックスの中にブラステルティーガーの尾が入っていたという話じゃないか?」
「その虎が…何だと言うんだ⁉︎」
ホルトは馬車牢の中からヴェイガストに質問をした。
「ブラステルティーガーは、俺達ですら互角か…苦戦をする位の魔獣なんだよ。 それがCランクのベクターのチームに討伐出来る訳ないだろ!」
「だが、その子供はソイツを倒していたぞ!」
「倒せて当たり前だ! 彼はテッド・リターンズ…魔王ヴァルサリンガを倒した英雄なんだから‼」
「この子供が…英雄テッド・リターンズだったとは⁉」
あれ?
魔王ヴァルサリンガを倒したのはキッドだった筈?
何で僕が倒した事になっているんだろう?
僕はヴェイガストに小声で聞いてみた。
「ヴェイガストさん、魔王ヴァルサリンガを倒したのは…」
「君のお兄さんのキッド・リターンズだろ? 国王陛下が魔王を倒したのは君のお兄さんと発表したのは君の住んでいる島の中だけで、世界には君が倒した事になっているんだ。 キッド君が注目が集まるのは面倒だと言って、テッド君に押し付けたので…そう言う話になっているんだ。 ただし、Sランクの者達には真実が伝えられているんだけど、それ以下のランクの者達には伝わって無いから…」
なるほど…だからさっきガストに僕の名を明かした時に僕が魔王を倒したという様な言い方になったのか。
面倒くさがり屋のキッドは、注目が集まらない様に態と僕に手柄を譲ったのか…まぁ、今の僕はキッドと同じレベルだし、今の僕なら魔王ヴァルサリンガも倒せない事はない…とは思うけど。
ただ、キングギヴェリアンの姿以外なら…という話だけど。
「なぁ、テッド君…聞きたいのだが、ベクターが他のチームの戦利品を奪うという可能性はあるか?」
「いや、それは恐らく無理でしょう。 他のチームは討伐と解体の班を分けていますからね、それを掻い潜って奪うというのは彼等ではしないと…いや、出来ないと思いますよ。 少数チームの僕等から…とかならともかく。」
「という事は、彼らのチームは今は相当焦っているだろうね?」
「僕達から素材を奪えない、またも順位を落とすとなれば。」
「さて、彼らはどう出ると思うかい?」
「とりあえずキャンプに戻って来て、馬車牢に捕らわれている彼らを見てどんな反応をするかが楽しみですねw」
ベクターのチームは明らかな違反行為を行っていたのは明白。
こんなのでは、Bランクに昇格どころか…ランク降格も在り得る。
いや、下手したら冒険者資格の剥奪…いや、僕達を襲って武器を奪うとか話していたから、騎士団に連行されて処罰される可能性が高いか。
僕と妹達は、ヴェイガストに言って他のチームの応援に行く事にした。
そのチームはローファスの所のチームだった。
・・・・・・・・・一方、ベクターは?・・・・・・・・・
「あいつらおせぇな! たかがガキから武器を奪うだけでどれだけ時間が掛かっているんだよ⁉」
知らぬが仏とはこの事だろう。
ベクターのチームは、思った以上のポイントを稼げないままキャンプ地に戻った。
そして馬車牢に捕まった仲間を見てベクターは…?
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だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。
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私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
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HOTランキング20位になりました。
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