幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!

アノマロカリス

文字の大きさ
上 下
40 / 47
第三章

第七話 ゴルディシア大陸(魔王城に向かいます!)

しおりを挟む
 僕は現在、ゴルディシア大陸の魔王サズンデスがいる魔王城を目指していた。
 移動には飛翔魔法を使用し、レイリアとクリアベールはギルドマスターのヴォルガンと紅の騎士クレアに任せて来た。
 今迄は一緒に冒険をして来たが、流石に魔王城を構える大陸に足手纏いの2人を連れて行くのは賛成出来なかった。
 少し待たせてしまう事になるが、僕はさっさと終わらせたいので、こうしてゴルディシア大陸に到着をしたのだが…?
 港らしき場所にライオンのぬいぐるみがいて、王冠を被っていて腕を組んで立っていた。

 「よく来たな…ガウッ、我は魔王サズンデス様配下…三元将の壱元・獅子王クラウンカイザーだ…ガウッ‼︎」

 シリアス調に威嚇をして凄んでいる様に見せているんだろうけど、顔がファンシーなだけに恐さが全く伝わらなかった。
 何でこんなのが魔王の配下に…とも思っていたが、サーディリアン聖王国に侵攻して来た魔王軍の幹部の中に、ピンクのくまとか茶色いくまとかが何匹か見掛けた。
 …という事は、このライオンのぬいぐるみが奴等の頭なんだろうけど…?
 正直言って、なんかやる気が削がれる顔をしていた。
 魔王サズンデスは、何でこんなのを作り出したのだろうか?
 魔王の印象を和らげる為に…か、何かウケを狙った物なのかな?

 「えーっと………君は何しに来たんだ?」
 「我は魔王様がいるこの大陸に足を踏み入れようとする不届者を成敗する為にいるんだ……ガウッ‼︎」
 「その…取って付けたような語尾をやめい!」
 「これが無いと我は……威厳が無いと言われ…」
 「はなからそのファンシーな顔で威厳とか無いから。」

 僕はクラウンカイザーにそう伝えると、クラウンカイザーは落ち込んで見せた。
 コイツは、思った以上に打たれ弱いのか?
 鑑定魔法で見ると、このクラウンカイザーは三元将の一角を成す程に強いという事は分かる。
 …ただなぁ?
 顔はファンシーなライオンで、胴長短足に加えて腕も短い。
 正直言って、どんな攻撃を繰り出して来るのかが…少々考え難い。
 
 「悪いけど僕は、君の様なぬいぐるみには用は無いんだ。出来れば、このまま魔王城に通してくれると嬉しいんだけど…」
 「それはならん相談だ!我はこの大陸の守護を任されている!」
 「この大陸の守護って…この大陸はかなり広いが?」
 「他の場所には部下達を配置している。連絡を受ければ、我がその場所に向かうだけだ!」
 
 その場所に向かうって、そんなに素早い奴だったのか?
 どう見ても、胴長短足の身体からは想像も出来ないが…?

 「君が強いというのは分かるが、連絡を受けたらすぐに向かうって…君はそんなに動きが速いのか?」
 「我は兄妹達の能力を全て持っているんだ…あ、ガウッ!」
 「その語尾のガウッ!という言葉だけど、定着していないから付けるのを忘れていただろ?」
 「……無くてもいいか?」
 「任せる…」

 クラウンカイザーはホッとした表情になった。
 先程も威厳が…と言っていた感じからすると、本人も望んだ語尾ではなかったみたいだった。

 「んで…、この大陸の守護と先程言っていたけど、僕はもう上陸しているんだが…この場合はどうなるんだ?」
 「上陸する前に倒すのがセオリーだが、上陸してしまったのは仕方がない。なので…この場で早速始末してやるぞ!」

 クラウンカイザーはそう言い終わると同時に、目の前からフッと姿を消した。
 そして僕の背後に現れると同時に、クラウンカイザーの団子みたいな手から伸びた爪で僕の身体を引き裂いた。

 「流石の英雄も…我の速さには追い付けなかったか!」
 「残像だ…」

 クラウンカイザーは僕の身体を引き裂いたと勘違いしたみたいだったが、目の前から僕の姿が消えると驚いている様だった。
 かなり速いスピードだったけど、これ位だったら僕も魔法を使わなくても同じ速度を出せていた。
 幹部達との戦いで大幅にレベルが上がっていたから、こんな事が可能だったのだろうが…?
 リアやベルとレベル差が出来てしまったみたいだな。
 さて…?

 「自信満々だった爪…が空を斬った感想は?」
 「我の目にも捉える事が出来なかった…なんだ、貴様は本当に人間か⁉」
 「う~~~ん…多分!」

 レベルが上がると、様々なステータスがアップする。
 日本にいた時にレベルの制度なんかなかったから、仮に潜在能力の効果が発揮されたとしても、ここまでの性能は無い筈だよなぁ?
 何度も考えていたけど、やはりこの辺は未だに理解出来ない謎なんだよなぁ。

 「中々の速さだが、我の速さがこれで精一杯だと思われても困るな!」
 「ほぉ…?すると、まだまだ速度が出るのかい?」
 「当然だ!」
 「ふむ…?」

 僕は海沿いの道を目で辿って行くと、10㎞位先に大きな大木を見付けた。
 
 「なら、速度を試してみたいな。その言葉がハッタリではない事をね。」
 「ふん!何で証明する?」
 「僕の指の先を見てくれ、遥か先に大木が見えるだろ?そこをゴールにして、辿り着いたら勝利というのはどうだ?」
 「よかろう…」

 僕はスタート用の線を引いてから、合図はコインが地面に落ちてからと言った。
 クラウンカイザーもそれで承諾し、僕はコインを空高く放り投げた。
 そして構えると、コインが地面に落ちたと同時に…クラウンカイザーは全速力で走りだして行った。

 「なるほど、先程言ったっ言葉はハッタリでは無かったか!」

 僕は…その場でクラウンカイザーの走りを見ていた。
 クラウンカイザーは余裕を見せているのか、「フハハハハハー」という声を発していた。
 辿り着いたら勝利とは言ったが、僕は勝負をするとは一言も言っていない。
 なのでこの隙に僕は、魔王城を目指して向かって行った。
 距離はかなりあるだろうし、クラウンカイザーはどこで嘘だったと気付くだろうか?
 …ところが、僕が魔王城を目で捉えたと思ったら、クラウンカイザーが僕の前に立ち塞がって憤っていた。

 「貴様、我との勝負はどうした⁉︎」
 「勝負?何の事だ?」
 「我との勝負だ!我は先にゴールして待っていたが、一向に貴様の姿が見えないのでな!」
 「分からないなぁ?何でそれで僕がこっちに向かったと気づいたんだ?」
 「我の配下の目を配置して場所を連絡するようにしている。なので、貴様が主君の城に向かっていると報告を受けて、真っ先に向かってきたんだ‼︎」

 配下の目というのは、空に浮かんでいた巨大な目玉の事だったか!
 僕が大陸に来る際にも、飛んでいる姿を見ていたので…ただ飛行をしているとばかりのただの魔物だと思っていたが、あれが監視役だったんだな…納得。

 「貴様、何を頷いているんだ?」
 「いや…んで、なんだっけ?」
 「貴様…いつまでも我を舐め腐りやがって!こうなれば、貴様に後悔を抱かせて葬ってくれるわ‼︎」

 クラウンカイザーは、両手を振り上げてから威嚇のポーズをしていた。
 …が、ファンシーな顔の所為で恐怖感が一切伝わらなかった。
 
 「覚悟しろよ、英雄ダン!全ての能力を兼ね揃えたぬいぐるみ族最強の力を思い知らせてやる‼︎」
 「何か…やりにくいなぁ。」
 
 こうして、クラウンカイザーとの死闘が切って落とされるのだった。
 …いや、死闘になるのか?
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

処理中です...