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第二章

第十一話 愚か者達の末路(今回だけの犯行では無かった様です。)

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 「荷物持ちのクリアベールは、死んだのです! 依頼のバードラルゲーターに突然現れて、一瞬で喰われて…」
 「貴方達は、彼女を置いて逃げて来たのですか?」
 「仕方ないのよ、私達のランクではあの化け物には勝てない強さだし…」

 3人の冒険者は、ギルドの受付のカウンターで説明をしていた。
 僕とレイリアとクリアベールは、3人の後ろで聞いていた。
 3人は言いたい放題、好き放題に語っていた。

 「後で依頼の場所に赴き、彼女の遺品が残っていれば持って帰ろうと思います。 死んでしまった彼女の為にも、依頼の報酬を戴けませんか? せめて、供養だけはしてあげたいので…」
 
 僕達は3人のリーダーを見て、中々の役者だなぁ…と思っていた。
 するとギルドの受付嬢は、僕達に気付いた。
 そしてクリアベールの存在にも気付いたが、僕は口にひと指し指を当てて黙る様に表現した。
 受付嬢は小さく頷いて、3人と話を再開した。

 「今回の依頼は、4人が揃っていないと受けれない物でしたが、4人が無事に生還していないと成功にはならない為に報酬は支払えません。 今回は失敗として処理致しますね。」
 「だから、彼女は喰われてしまったと言っただろ! 調査はしたんだから、全額でなくても報酬は受け取る事は出来るだろ!」
 
 話を聞く限り、クリアベールの話はどうでも良い風に捉えた。
 先程までは供養するからと言っていたのに、今では報酬の支払いだけの話になっていた。
 僕は受付嬢に話しても構わないと合図を送った。

 「本当にクリアベールさんは亡くなられたのですか?」
 「だから、さっきからそう言っているだろ!」
 「では、貴方達の後ろにいる人は…クリアベールさんのゴーストですか?」
 「「「え?」」」

 3人はクリアベールを見て驚いていた。
 僕等は、隣のカウンターに行って受付嬢に話した。

 「僕のパーティに新規加入者のクリアベール・クリクラさんです。 登録をお願いします!」
 「えーとですね、クリアベールさんは現在他のパーティに加入しておりますが?」
 「それは大丈夫ですよ、他のパーティでは死亡扱いになっているみたいですし…そうですよね?」

 3人の冒険者の受付嬢に尋ねると、受付嬢は承諾をした。
 これで、クリアベールは正式に僕のパーティに加入で来た。
 だが、3人は悪足掻きを始めた。

 「クリアベールが生きていたんだから、報酬は成功だろ!」
 「いえ、失敗です。 パーティの4人が揃っていないので…それにクリアベールさんは、もう貴方達のパーティメンバーではありませんし。」
 「だが、こうして生きているんだから、報酬が貰えるのは当然だろ‼︎」
 「貴方は先程、バードラルゲーター喰われて死んだと言ってませんでしたっけ? ならこれはどういう事ですか? ギルドに虚偽の報告をした事になりますが…ギルドの規則は分かっておりますよね?」
 
 3人は立ち尽くしてた。
 だが、リーダーはクリアベールの元に駆け寄ろうとしていた。

 「お前が生きているからこんな事に!」
 「見苦しいぞ! 自分の非を認めるんだ!」

 僕はクリアベールの前に出て、リーダーの胸倉を掴んで言った。
 そして離すと、3人は何も言えなかった。
 
 「さて…受付のお姉さん、ギルマスを呼んでもらえませんか? 報告したい事があるのですが…」
 「その必要はない! 連絡が来てな、もういる。」
 「それは手間が省けますね。 この3人の面白い物をお見せしますので、御覧下さい。」

 僕はスマホで撮影した映像を、空中に投影した。
 そこで、リーダーがクリアベールの足を引っ掛けて転ばしてから、3人がクリアベールに対して吐いた言葉が鮮明に映し出されていた。

 「ふむ…冒険者は命懸けの職業で、パーティを組んでいて仲間が死ぬケースもある。 だが、これは明らかな規約違反と判明した! 3人は冒険者の地位を剥奪、並びに殺人容疑で逮捕!」
 「冗談じゃない! こんな所で捕まって堪るか!」

 3人はその場から逃げようとしたので、僕は少しでも身動きすると感電するライトニングバインドで3人を拘束した。
 3人はそれでも逃げようと動こうとした。
 だが強力な電流が全身に流れて、感電して動けなくなっていた。

 「こいつらの言動や遣り口は、慣れた物だったから…他にも余罪があると思いますよ。」
 「あぁ、俺もそう思う! 騎士に連絡をして、徹底的に吐かせるんだ!」

 数十分後…3人は騎士達に拘束されて連れて行かれた。
 僕はギルドマスターから感謝をされた。

 「ダン殿、感謝する! 大事な冒険者が命を落とすところだった。」
 「いえいえ、それに大事なのはそれだけではないですよ!」
 「どういう意味だ?」
 「クリアベールを鑑定で調べてみたのですが、彼女も僕達同様にエクストラジョブの持ち主だったんです。」
 「何だと⁉ クリアベールがエクストラジョブの持ち主だったとは…? 本当に命が助かって良かった…」
 「これであの3人の罪が更に重くなりますね?」
 「あぁ、もうあいつらが日の下を歩く事は無いだろう…」

 その言葉を聞いて、クリアベールは涙を流した。
 全てに決着がついた安堵の涙なのだろう。
 クリアベールは細かい手続きをする為に、受付で話をしていた。
 僕とレイリアは待っていると、クリアベールが蔓延の笑みでやって来た。

 「ダン様、レイリアさん、今度こそ本当に宜しくお願いします!」
 「あぁ、宜しく…けど、様付けはやめてくれ!」
 「なら師匠で!」
 「私もさん付けはいらないからね。」
 「わかりました、じゃあ…リアって呼んでも良いですか?」
 「いいよ、宜しくねベル!」

 僕等はギルドを出て、ホテルに向かった。
 そこでもクリアベールは驚いていた。
 そしてこの国で、もう1人仲間になるのだが…?
 そうなるには、もう少し先の話になる。

 城に連行された3人は、他にも悪事を行っていた。
 彼らの遣り口は、新人冒険者を仲間に引き入れて、人数が揃っていないと出来ない依頼を受けてから、報酬を渋る為に新人冒険者を危険地域に置いて行き殺害を企むという非道な手口だった。
 それが他にも数十件確認され、彼等は遺族に賠償金を支払う為に、鉱山送りをされる事になった。
 なので、一生…日を見る事は出来なくなるだろう。
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