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第七話 任務失敗?

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 工場からテレシアお嬢様を担いで走って行った。

 そして適当に公園のベンチにテレシアお嬢様を寝かせると、ボクは目が覚める迄近くで待っていた。

 「う…ん、ここは?」

 「お目覚めですかお嬢様。」

 「あなた…⁉ そういえば他の子達は⁉」

 「さぁ? 護衛対象はお嬢様だけですし…他の令嬢達がどうなろうと知った事ではありません。」

 ボクの護衛対象はあくまでもテレシア伯爵令嬢のみで、他の令嬢を護れという指示は受けていない。

 なので死んでいようが生きていようが、どうでも良い話であった。

 「あなたの力があれば救い出せたかもしれないじゃない‼」

 「かも…知れませんが、彼女達の事を思って引いたんですよ。」

 「彼女達は捕らわれていたのよ!」

 「彼女達はボクに以前言いましたよ。 剣技や魔法の技術を自慢し、次に襲われても見事に撃退すると…そんな彼女達のプライドを護るために引いたのですから、過ぎた事をいつまでも話していても何も変わりませんよ。」

 「彼女達は…?」

 「多分殺されているでしょうね、奴等の仲間も大半を処分しましたし…彼女達の親が攻めて来たら奴等には防ぐ手立てはないでしょうから、彼等のやり方は優位であれば彼女達を使って脅す事を選ぶでしょうが、劣勢と感じれば目撃者は消して逃亡する道を選ぶでしょうからね。 まぁ、仮に生きていたとしても…二度と学園に来られる様な事は無いでしょう。」

 公爵令嬢や侯爵令嬢がいるのなら、身代金を請求する事や奴隷として売る事も考えただろうけど。

 仲間の大半を減らした訳だから、彼等もそんな状況でリスクを犯す様な真似はしないだろう。

 本来の目的はテレシアお嬢様の誘拐がメインだから、時期を見てまた襲ってくるとも限らないと思うけど。

 「あなたは随分と淡々と物をおっしゃるのね?」

 「テレシアお嬢様以外の者がどうなろうと知った事ではありませんからね、でもまぁ…彼女達があの年齢で良かったと思いますよ。 成人に近い年齢だったら始末される前に凌辱されて弄ばれて尊厳を失う行為を行われたと思いますが、そういった事なく始末されたのですから。 まぁ中には女とみれば成人だろうが幼女だろうが関係なく行為に及ぶ外道も存在するでしょうけど。」

 するとテレシアお嬢様は顔を青くしていた。

 「あの…あなたの力なら盗賊達を撃退する事は可能ですわよね?」

 「盗賊達だけ…では済みませんけどね。」

 「それはどういう意味ですか?」

 「先程もお話した通り、ボクの護衛対象はテレシアお嬢様だけなので…他の者達が生きていようが死んでいようがどうでも良い事なのですよ。 まぁ、ボクの素性を知られない為に盗賊達を始末したら令嬢達にも死んでもらいますが。」

 「あなたは何者なんですの?」

 「どうせ依頼は失敗になる訳だし別に良いか! ボクは闇の組織の人間ですよ。 まぁ、それ以上は詮索したり他者に話さない事をお願いしますよ。」

 「もしも話したりしたら…どうなるんですの?」

 「依頼を請けている間はテレシアお嬢様は護衛対象ですが、依頼が終われば次は始末される対象に変わるかもしれませんが…それでも良いですか?」

 メタルスライムを召喚して、空中に無数の剣をテレシアお嬢様に突き付けた。

 テレシアお嬢様は無言でコクコクと頷いていた。

 「賢明な判断ですね、くれぐれもご内密に。」

 ボクは指を鳴らすと剣は消えていった。

 そろそろ騒ぎを聞きつけて動いていると思うんだけどなぁ?

 {ファスト、護衛対象は?}
 
 {ネフェか…護衛対象は目の前で青い顔をして震えているよ。捕まっていた貴族令嬢達はどうだった?}

 {伯爵令嬢と子爵令嬢は助けられなかったが、公爵令嬢と侯爵令嬢は無事だ。 ただ…公爵令嬢の方は口から出血をしていて、侯爵令嬢の方は太腿から出血してたが命に別状はない。 ただ戦っている所を見られてしまったから始末しておきたかったんだけどなぁ…}

 {その辺はヴィヴィがファストの記憶だけ消しているから問題は無いだろう。}

 {了解、ならば護衛対象を依頼者の元に連れて戻ると伝えておいて。}

 {ん!}

 そこでネフェとの会話が終了した。

 ネフェとヴィヴィについては後日存在が明らかになるが、今はそれよりもテレシアお嬢様を依頼人に連れて行く必要がある。

 ボクはテレシアお嬢様を担いでから依頼者のバーンズシュタイン伯爵家に届ける事にした。

 さて…目の曇った伯爵様はどう出るのかねぇ?
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