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第五十九話 全滅…?

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 誰かが私の張った結界に無理矢理強い衝撃を当てている音がうるさくて目を覚ますと…?

 そこには魔王が何かの魔法を放って結界を破壊しようとしていた。

 『何故だ! 何故壊れん⁉︎』

 魔王…そう言えば、名前なんだっけ?…は、私の結界を壊す事が出来なくて苛立っている様だった。

 私の結界は物理攻撃で壊せられる様な代物では無いので、魔王の攻撃も徒労に終わるだろう。

 …っていうか、何で魔王なのに物理攻撃なの?

 「そういえば…何で私を攻撃してくるんだろう?」

 この地には、五万人の騎士や冒険者達がいる。

 私は周囲に目をやると、騎士達や冒険者達は地面に伏している様な感じで、ほぼ全滅している感じだった。

 全滅と言っても…全員が死んでいるというわけではなく、行動不能という感じだった。

 そして聖女達もみてみると、一部の者達はかろうじて立っているという感じで、その他は…?

 「あれ? 大聖女クライネート様や戦えなさそうな聖女達は何処に行ったの?」

 倒れた騎士達の救護をしている…という感じではなく、一切の姿が見えなかった。

 「まさか…バックれたの?」

 過去に数度に渡る星の涙を生き抜いた大聖女って…戦線離脱をしていて功績だけ掻っ攫っていたのかな。

 まぁ、いない人の事はどうでも良いでしょう。

 「それよりも、問題はこっちね…」

 先程周りを見た時に、魔法が使われていた形跡がないところを見ると…?

 この魔王って脳筋なのかな?

 私の結界を物理攻撃のみで破壊しようとしているし、まぁ…腕が6本あって筋肉質ならねぇ?

 私は結界を解いた瞬間、ホーリーチェーンバインドで縛り上げた。

 『な、何だこれは! 全く解けんぞ⁉︎』

 「そりゃあ…拘束しているんだから、簡単に解けたら拘束の意味がないでしょ!」

 この魔王は、筋肉を盛り上げて必死に拘束を解こうとしているんだけど、私は魔力を流してより巨大な鎖に変化させている為に簡単には解けない様にしていた。

 「仮にも魔王というからには、生半可な魔法じゃ効果がないかな?」

 私はそう言った後に、ライトニングの魔法を鎖に流してみた。

 『ギャアァァァァァァァァァ!!!』

 あれ?

 意外に効いている⁉︎

 魔王っていうからには、魔力耐性が強いと思っていたんだけど…。

 私は次に、空中に1m位のファイアボールを100個出現させてから魔王に浴びせまくった。

 これに対しても…魔王は悲鳴を上げていた。

 「もしかして…この魔王って、魔法攻撃に対してメチャクチャ弱いのかな?」

 魔王自身は魔法が使えないみたいだし、その可能性が高そうね?

 私は魔王に尋ねてみたい事があり、聞いてみた。

 「貴方以外の魔王が来る予定ってあるの?」

 『地上の雑兵など、我さえいれば充分だ‼︎』

 「まぁ、私以外は…そうだったかもしれないけど、私に歯が立たない時点で、貴方には勝ち目はないわよ?」

 『そんな事よりも、この拘束を解け‼︎』

 「解くわけないでしょ! この状態で貴方が死ぬ迄の間を攻撃して行くんだから…」

 『な、何だと⁉︎』

 「雷と炎をしたから、次は……次は土魔法ね! ストーンブラスト!」

 元々魔力の多い魔力でストーンブラストを使うと、ファイアボールと同様に石の大きさも1m位に巨大化する。

 私はストーンブラストを魔王に放つと…?

 『ギャアァァァァァァァァァ!!!』

 別に狙った訳じゃないんだけどね。

 どういう訳か…全て急所に目掛けて飛んで行った。

 『貴様は正々堂々と戦う意志はないのか⁉︎』

 「正々堂々と戦っておりますよ、私は魔法が得意ですので…」

 『我の言う正々堂々とは…って、さっさと拘束を解かんか‼︎』

 「解くわけなんかないでしょ! 頭沸いているの?」

 威力が低い魔法を使っているとはいえ、さすが魔王と呼ぶべきかしら?

 ダメージは負っているとは思うんだけど、弱っている素振りが見えないんだけど?

 私は残りの全属性の初級魔法を次々と浴びせて行った。

 だけど、それが不味かったみたいね。

 魔王は…進化をし始めたのだから。
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