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第五十八話 私は参加しないよ!

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 「遂に…魔王が現れましたね! 皆…それと聖女レイラ、残るは魔王だけですので…さっさと討伐致しましょう‼︎」

 …と大聖女クライネート様が皆に号令を掛けた。

 騎士達や冒険者達は、目の前にいる得体の知れない相手に攻めて行った。

 そんな中、私は傍観していた。

 「聖女レイラ、貴女も戦いに参加して下さい!」

 「え…嫌ですけど。」

 大聖女クライネート様は、私の発した言葉に呆けていた。

 「何を言っているんですか! 魔王を討伐するには、貴女の力が必要だということくらい分かっているでしょう?」

 「いや、だから…やりませんって。」

 「何故ですか⁉︎」

 大聖女クライネート様は私に対して捲し立てる様に言って来た。

 「いや、だって…星の涙の魔物の軍勢を私が大魔法を連発して討伐したのに、これ以上…私に働かせるつもりですか?」

 「聖女レイラ、状況を考えなさい!」

 このオバハン…自分が楽する為に言っているんじゃないでしょうね?

 魔物の軍勢の時に、特に何もしてなかった癖に…態度が大きいんじゃ無いかな?

 それに…各国の精鋭を集めて大体5万人以上になっているのに、魔王1匹を倒すのに何を躊躇う必要があるんだろう?

 「大聖女クライネート様は仰いましたよね、私は彼らの力を信じます!…なんて言って、ドラゴン相手に1人で向かわせようとしたのに…」

 「魔王とドラゴンでは相手が違います!」

 「いやいや、魔物の軍勢の中のドラゴンに立ち向かうと言っている訳ではありません。 魔王は1匹だけじゃないですか! 5万の軍勢に魔王1匹相手に何を仰っているんですか?」

 私も魔王を目にした事は…って、目の前にいるか!

 でも、魔王となんか戦った事は無いし、強さも能力も分からないから…疲弊している今の状態で攻撃して、ターゲットを私に向けられるのだけは勘弁してほしい。

 そんな事を考えていると、多くの騎士達や冒険者達が歯が立たなくてどんどん倒されて行った。

 「貴女はこの惨状を見ても…尚傍観するというのですか?」

 「流石に知り合いが倒れたりしたら…とは思うけど、全く知らない相手が倒れても別に…」

 「そうですか、貴女に期待した私が愚かでした。」

 そう言って大聖女クライネート様は戦場の方に戻って行った。

 いても大した戦力にはならないし、指示をするだけなのかしら?

 私は周囲に結界を張ってから、戦いを横目に眠りについた。

 並の冒険者や騎士達では相手にはならないかもしれないけど、この地で知り合った聖女やメナス達だったら、どうにかなるかもしれない。

 どうか、私が目を覚ました時に全てが終わっていますように…
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