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第二十五話 殺っちゃおうか!
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「そういう事だったんですね…」
そう言いながら、その人物は姿を現した。
私とメナスは完全に油断をしていて、声がした方を振り向くと…そこにはノースファティルガルドに居ると思っていたヴァッシュ殿下の姿だった。
「な、何で⁉︎」
「僕は昨日、宿に入った後に今後のことを打ち合わせをしようと、君達の部屋を訪ねたのですが…そこで面白い話し声が聞こえて来ましてね。 悪いと思いつつ全てを聞かせて貰いました。 まさか貴女がレイラ殿だったとはね!」
最悪だ…
私は辺りを見渡した。
「僕だけですよ、カリオス殿下はノースファティルガルドに残っておりますので…」
「そうですか。」
あの話はカリオスに伝わるのだけは非常にまずい。
だけど、カリオスがいないというのであれば問題は無い。
後は、ヴァッシュ殿下を上手く言い包められれば…?
「ヴァッシュ殿下…密航していませんか?」
私がどう切り出そうかを考えていた時に、メナスがそう言った。
「え、どういう事?」
「私は船に乗り込んだ後に、他にも誰か乗り込んでないか見張っていたんだけど、出港するまで誰も乗り込んだ人はいなかった。 なのに、こうしてヴァッシュ殿下が船にいるという事は…?」
「そういえばそうね…私達が出発する前に、ドレクスと話していた時にはいた筈なのに…」
「密航と言えばそうなりますね、僕は船に乗る為に遮断魔法で誰にも気付かれないように乗り込みましたから。」
なるほどね?
突然姿を現したし、私もメナス以外の気配を全く感じなかったと思ったら…遮断系の魔法を使用していたとはね?
「ヴァッシュ殿下、王族とはいえ…密航するのは許されないと思いますが?」
「君達との話し合いが終わった後に、事情を話す為に船長には話す予定だったんだよ。」
「…という事は、ヴァッシュ殿下がこの船に乗り込んだ事を知っているのは私とメナスだけ…という事になりますね。」
「まぁ、そうなるね。」
私の中であるよからぬ事を思い付いた。
私とメナスだけしかヴァッシュ殿下の存在を知らないのなら…?
口封じをしてしまえば、問題は無くなると思った。
目の前にいるのは、私の本当の姿を知る要注意危険人物。
接触を図って来たという事は、弱みを握って何か交渉して来ると思った方が良いという事ね。
でも、一応確認はしておきますか!
「ヴァッシュ殿下、態々私達の前に姿を現したという事は…私の弱みを握って、理不尽な命令や要求をしようと近付いて来たと思った方が良いのでしょうか?」
「いや、僕からはそんな要求をする事はしないよ。」
ヴァッシュ殿下はそう言いながら、優しそうな笑みを浮かべた。
私の秘密を知られる前だったら、その笑顔や言動に騙されていたかもしれないけど、今の状態でそんな事を言われても、胡散臭い上に全く信用出来るとは思えない。
それに今はそんな事を言っているけど、王国に着けばどうなるかなんて分かったもんじゃない!
いっその事、口封じをする為に…殺っちゃおうか!
私は杖を構えると、ヴァッシュ殿下も杖を取り出した。
冒険者や戦い慣れていなければ、すぐに出来る動きではないね?
私は風魔法のストリームアローを放った。
「まさか攻撃をしてくるなんて…パーフェクトバリア‼︎」
私の放ったストリームアローの矢が、ヴァッシュ殿下のパーフェクトバリアに全て弾かれた。
「それは…結界魔法ですか?」
「うん、如何なる魔法も弾き返す結界魔法だよ。」
如何なるものもねぇ…?
「なら、この魔法でも弾き返せるかなぁ? スパイダーラクーン!」
このスパイダーラクーンは拘束魔法の一種で、蜘蛛が獲物を捕らえた後に繭のように包み込む魔法である。
如何なる魔法も…とは言ったけど、それは恐らく攻撃魔法に対してであって、拘束魔法に関しては…?
案の定、結界魔法を包み込む様に覆うと…魔法を弾き返す事は叶わずに蜘蛛の糸で包み込まれて行った。
「な、何だこの糸は…⁉︎」
「拘束魔法のスパイダーラクーンです。 この魔法の糸は、鋼並みに硬いアラクネアスパイダーの魔糸で…火魔法で無いと焼き切る事は出来ませんが、ヴァッシュ殿下はダブルスペルマスターですか?」
「い、いや…」
「なら、結界魔法を解除して火魔法を使おうとすると、そのまま糸に絡まれますので…」
「この魔法を解除してくれないか⁉︎」
「私の事を知っているヴァッシュ殿下さえ消せば、他にこの話を知っているのは仲間だけですからね。 この話がレントグレマール王国の王族に伝わると、非常に厄介ですので…」
「僕は決して他言はしない! 約束する‼︎」
「宿屋で話した私の話を聞いてから接触をして来なければ、信じたかも知れませんが…」
ヴァッシュ殿下は色々叫んでいる様だったけど、私は一切を無視し…土魔法のアイアンパウダーで繭をコーティングすると、見た目は鉄の塊に様になって、ヴァッシュ殿下の声は一切聞こえなくなっていた。
「さてと…」
「ファスティア、まさかとは思うけど…?」
「うん、このまま海に沈めるつもり…」
「ちょ、ちょっと、本気⁉︎」
私は当然そのつもりだったんだけど、メナスは私の事を止めて来た。
「流石に殺人を犯すのはダメだと思うの。」
「でも、このまま生かしておいたら、私の立場も危うくなるから…」
「せめて、交流の無い無人島に飛ばす…なんて事は出来ない?」
メナスの話を聞いて、私も殺人を犯すのは…と思っていたので、メナスの提案に乗る事にした。
私は遠視魔法を使用して、大陸からかなり離れた無人島を探し始めると…丁度良い無人島を発見した。
「此処なら問題は無さそうね?」
「本当に無人島でしょうね? 海に落とそうとか考えてないよね?」
「大丈夫よ!」
私は鉄の繭を魔力で浮かせてから、先程マーキングした無人島目掛けて飛ばし放ったのだった。
「これで…無人島に着いたら魔法を解除するからね。」
「私には見えないけど…?」
「安心してよ、私を信じて!」
私はそう言っても、先程の行動の所為か…メナスは疑っている様な眼差しで見ていた。
飛ばした先はちゃんとした無人島ですよ。
ただし…島には生物が全く見掛けない、巨大な島だけど。
果たして…ヴァッシュ殿下の運命は⁉︎
そう言いながら、その人物は姿を現した。
私とメナスは完全に油断をしていて、声がした方を振り向くと…そこにはノースファティルガルドに居ると思っていたヴァッシュ殿下の姿だった。
「な、何で⁉︎」
「僕は昨日、宿に入った後に今後のことを打ち合わせをしようと、君達の部屋を訪ねたのですが…そこで面白い話し声が聞こえて来ましてね。 悪いと思いつつ全てを聞かせて貰いました。 まさか貴女がレイラ殿だったとはね!」
最悪だ…
私は辺りを見渡した。
「僕だけですよ、カリオス殿下はノースファティルガルドに残っておりますので…」
「そうですか。」
あの話はカリオスに伝わるのだけは非常にまずい。
だけど、カリオスがいないというのであれば問題は無い。
後は、ヴァッシュ殿下を上手く言い包められれば…?
「ヴァッシュ殿下…密航していませんか?」
私がどう切り出そうかを考えていた時に、メナスがそう言った。
「え、どういう事?」
「私は船に乗り込んだ後に、他にも誰か乗り込んでないか見張っていたんだけど、出港するまで誰も乗り込んだ人はいなかった。 なのに、こうしてヴァッシュ殿下が船にいるという事は…?」
「そういえばそうね…私達が出発する前に、ドレクスと話していた時にはいた筈なのに…」
「密航と言えばそうなりますね、僕は船に乗る為に遮断魔法で誰にも気付かれないように乗り込みましたから。」
なるほどね?
突然姿を現したし、私もメナス以外の気配を全く感じなかったと思ったら…遮断系の魔法を使用していたとはね?
「ヴァッシュ殿下、王族とはいえ…密航するのは許されないと思いますが?」
「君達との話し合いが終わった後に、事情を話す為に船長には話す予定だったんだよ。」
「…という事は、ヴァッシュ殿下がこの船に乗り込んだ事を知っているのは私とメナスだけ…という事になりますね。」
「まぁ、そうなるね。」
私の中であるよからぬ事を思い付いた。
私とメナスだけしかヴァッシュ殿下の存在を知らないのなら…?
口封じをしてしまえば、問題は無くなると思った。
目の前にいるのは、私の本当の姿を知る要注意危険人物。
接触を図って来たという事は、弱みを握って何か交渉して来ると思った方が良いという事ね。
でも、一応確認はしておきますか!
「ヴァッシュ殿下、態々私達の前に姿を現したという事は…私の弱みを握って、理不尽な命令や要求をしようと近付いて来たと思った方が良いのでしょうか?」
「いや、僕からはそんな要求をする事はしないよ。」
ヴァッシュ殿下はそう言いながら、優しそうな笑みを浮かべた。
私の秘密を知られる前だったら、その笑顔や言動に騙されていたかもしれないけど、今の状態でそんな事を言われても、胡散臭い上に全く信用出来るとは思えない。
それに今はそんな事を言っているけど、王国に着けばどうなるかなんて分かったもんじゃない!
いっその事、口封じをする為に…殺っちゃおうか!
私は杖を構えると、ヴァッシュ殿下も杖を取り出した。
冒険者や戦い慣れていなければ、すぐに出来る動きではないね?
私は風魔法のストリームアローを放った。
「まさか攻撃をしてくるなんて…パーフェクトバリア‼︎」
私の放ったストリームアローの矢が、ヴァッシュ殿下のパーフェクトバリアに全て弾かれた。
「それは…結界魔法ですか?」
「うん、如何なる魔法も弾き返す結界魔法だよ。」
如何なるものもねぇ…?
「なら、この魔法でも弾き返せるかなぁ? スパイダーラクーン!」
このスパイダーラクーンは拘束魔法の一種で、蜘蛛が獲物を捕らえた後に繭のように包み込む魔法である。
如何なる魔法も…とは言ったけど、それは恐らく攻撃魔法に対してであって、拘束魔法に関しては…?
案の定、結界魔法を包み込む様に覆うと…魔法を弾き返す事は叶わずに蜘蛛の糸で包み込まれて行った。
「な、何だこの糸は…⁉︎」
「拘束魔法のスパイダーラクーンです。 この魔法の糸は、鋼並みに硬いアラクネアスパイダーの魔糸で…火魔法で無いと焼き切る事は出来ませんが、ヴァッシュ殿下はダブルスペルマスターですか?」
「い、いや…」
「なら、結界魔法を解除して火魔法を使おうとすると、そのまま糸に絡まれますので…」
「この魔法を解除してくれないか⁉︎」
「私の事を知っているヴァッシュ殿下さえ消せば、他にこの話を知っているのは仲間だけですからね。 この話がレントグレマール王国の王族に伝わると、非常に厄介ですので…」
「僕は決して他言はしない! 約束する‼︎」
「宿屋で話した私の話を聞いてから接触をして来なければ、信じたかも知れませんが…」
ヴァッシュ殿下は色々叫んでいる様だったけど、私は一切を無視し…土魔法のアイアンパウダーで繭をコーティングすると、見た目は鉄の塊に様になって、ヴァッシュ殿下の声は一切聞こえなくなっていた。
「さてと…」
「ファスティア、まさかとは思うけど…?」
「うん、このまま海に沈めるつもり…」
「ちょ、ちょっと、本気⁉︎」
私は当然そのつもりだったんだけど、メナスは私の事を止めて来た。
「流石に殺人を犯すのはダメだと思うの。」
「でも、このまま生かしておいたら、私の立場も危うくなるから…」
「せめて、交流の無い無人島に飛ばす…なんて事は出来ない?」
メナスの話を聞いて、私も殺人を犯すのは…と思っていたので、メナスの提案に乗る事にした。
私は遠視魔法を使用して、大陸からかなり離れた無人島を探し始めると…丁度良い無人島を発見した。
「此処なら問題は無さそうね?」
「本当に無人島でしょうね? 海に落とそうとか考えてないよね?」
「大丈夫よ!」
私は鉄の繭を魔力で浮かせてから、先程マーキングした無人島目掛けて飛ばし放ったのだった。
「これで…無人島に着いたら魔法を解除するからね。」
「私には見えないけど…?」
「安心してよ、私を信じて!」
私はそう言っても、先程の行動の所為か…メナスは疑っている様な眼差しで見ていた。
飛ばした先はちゃんとした無人島ですよ。
ただし…島には生物が全く見掛けない、巨大な島だけど。
果たして…ヴァッシュ殿下の運命は⁉︎
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